村田染工がレディスブランド「オーメ」を立ち上げ 天然藍の美しさを引き出す
伝統工芸をモダンなドレスで――藍染工房「壺草苑」を運営する村田染工(東京、村田敏行代表取締役)はレディスブランド「オーメ」を立ち上げた。同社はかつて織物で栄えた東京都青梅市にあり1919年創業、江戸時代から続く染色方法「天然藍灰汁(あく)発酵建て」を継承する。「次世代にも藍の魅力を伝えたい」とオーメを始めた。
ディレクターに百貨店やセレクトショップで長年バイヤーをしてきた加藤マリン素子さん、デザイナーに国内で広く活躍する鈴木里香さんを迎えた。「職人が作る〝ジャパンブルー〟の美しさに引かれた」と加藤さん。より多くの女性に手に取ってもらえるように、ミニマルで洗練された雰囲気の服を作った。
25年春夏向けは、藍染め2色と草木染3色でドレスを中心に10型揃えた。手仕事による繊細な染めの美しさを引き立たせるためシルエットに配慮した。生地の分量を多く取り、ドルマンスリーブやフレアなどで柔らかなフォルムを描いた。生地はプレスしてしわを伸ばし、クラフト感を抑えた。
今回は米国を代表する女性画家、ジョージア・オキーフの装いがイメージソース。深みのある独特な藍色や西洋茜(あかね)染めのピンクも、彼女の鮮やかな色使いから着想を得た。中心価格はTシャツで税抜き2万7000円、ドレスで7万~10万円台。素材はすべて綿100%で、秋冬物ではウールやシルクも採用する考え。
天然藍灰汁発酵建ては蓼(たで)藍の葉を乾燥、発酵させた蒅(すくも)と灰汁、日本酒、ふすま、石灰で作った染液を使い、時間をかけて染め上げる。7月に東京で開いた展示会では、同社で働く若手もスタッフとして接客した。藍色に染まった手を見せながら「天然藍は生き物で、藍と対話しながら状態を常に確認して染めている」と語り、「藍染めや草木染は命の色。命が循環して素敵な洋服になり、うれしい」と笑顔を見せた。
納期は25年2月。販路はセレクトショップや百貨店を想定し、自社ECも開設する予定だ。
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