

どっちが正しい? 「これを機に」と「これを期に」
「これを機に」は、「これをきっかけとして」という意味。ビジネスでもプライベートでも、さまざまな場面で役立つ言葉です。
特にビジネスでは、タイミングの良し悪しに成否が左右されることは多いもの。しっかり意味を把握して効果的に使えるように、「これを機に」という言葉を掘り下げてみましょう。
■「これを機に」の意味
まず、「機」の意味は次の通りです。
き【機】
(1)はたおりの道具。
(2)物事のおこるきっかけ。はずみ。
(3)素質。機根。
(4)大事なところ。主要。枢要。要
(5)飛行機。また、それを数える語。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
「これを機に」の「機」は、(2)の意味で、「きっかけや機会」を表しています。
以上のことから、「これを機に」とは、物事を前向きに進める時やより良い変化をもたらしたい時に、「これをちょうど良い機会として」という意味で使う言葉だといえます。
■「これを機に」と「これを期に」の違い
「これを機に」は、その字面から「これを機会に・きっかけに、ということかな?」と想像がつきますが、耳で聞くと「これを期に」と混同する人もいるようです。
音が同じであるため、「機」と「期」が取り違えられやすいのでしょう。
しかし、一般的に「これを機に」は「これを良い機会として」という意味なので、「これを期に」とは言い換えできません。
「期」とはある一定期間のことであり、そもそも「これを期に」という慣用句もありません。
「“これを機に”の“機”は、“機会”の“機”」と覚えておくと、間違わずに済みますね。
■「これを機に」はどんな時に使えるのか?(例文付き)
「機会」とは、「何かをするのにちょうど良いタイミングやチャンス」のことです。
「これを機に、よろしくお付き合いくだされば幸いです」など定型文のように使え、「これを機に、転職も考えたい」「これを機に、資格を取りたい」など、新たな可能性を探って行動を起こしたい意欲を表現する時にも使えます。
具体的にどういう時に使えるか、例文と一緒に紹介します。
◇商品やサービスをお勧めする時
商品やサービスに相手が関心を持っている場合、キャンペーンや割引などを示して、気持ちを後押しする時に使います。
☆例文
・ただいま、工事無料のキャンペーン中です。これを機に、ご購入を検討されてはいかがでしょうか?
◇ビジネスで物事が一歩前進する時
コンペ通過など、ビジネスで良いきっかけがあった時にも使えます。
☆例文
・今回は、弊社の提案を選んでいただき、ありがとうございます。これを機に、一層お役に立てるよう努めたいと思っております。
◇相手との交流を深めたい時
名前は知っていたけれど初対面だったり、長く会っておらず久しぶりに再会したり……といった場面でも使えます。
☆例文
・お名前は存じ上げておりましたので、お目にかかれて光栄です。これを機に、今後ともよろしくお願いいたします。
■「これを機に」の言い換え表現
「これを機に」と同じような意味合いを持つ言葉を以下に挙げます。
◇「この機に」
「これを機に」とよく似た言葉ですが、「今この機に」というように、タイミングをより強く印象付ける表現です。
☆例文
・テレビが壊れてしまったので、この機にテレビのない生活をしようと思う。
◇「これを転機に」
「転機」とは、「他の状況に変わる機会」のこと。
「これを転機に」は、単なる機会ではなく、その後の状況を変えたい場合に使います。
☆例文
・入院することになったのは残念ですが、せっかくなのでこれを転機に、オンライン講座でも受けて資格を取りたいと思います。
◇「これを節目として」
「節目」とは、「物事の区切り」を意味する言葉です。
竹の節のように、人生にもさまざまな節目があります。用途は限定されていませんが、大きく飛躍したい時などにぴったりでしょう。
☆例文
・入社10年目なので、これを節目としてさらに頑張ろうとビジネスバッグを新調しました。
◇「これを機縁として」
「機縁(きえん)」は、元々は仏教語で「仏の教えに出会うこと」を意味しており、転じて近年では「人や学びなどとの出会い」を意味する言葉としても使われています。
☆例文
・これを機縁として、弊社の理念を実現できるよう一層邁進したいものです。
◇「これを契機に」
「契機」は、「原因となるきっかけ」を意味する言葉です。
☆例文
・これを契機に、御社とのご縁を大切に育んでいけたら幸いです。
■「これを機に」でチャンスの種をまこう
「これを機に」という言葉の意味や使い方を説明しましたが、いかがでしたか?
人と人が出会う場面で、言葉というものは意外と心に残るものです。
その時すぐではなくても、後になって「あの時○○さんが、“これを機に仲良くしたい”と言ってくれたな」と思い出してもらえるかもしれません。
相手を思う気持ちを大切にしながら、「これを機に」という言葉を通して、きずなを深める種をまきたいものですね。
(前田めぐる)
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