

ビジネスシーンで「旦那」と言うのがNGな理由
「うちの旦那がね」と話しているのを聞くと、たいていの人は「自分の夫のことを話そうとしているんだな」と判断するでしょう。
もちろん、ほとんどの場合「旦那」とは「妻から見た夫」のことで、妻が他人に述べる時に使う言葉ですが、実は別の意味もいくつかあります。
今回の記事では、「旦那」という言葉の意味や語源、使い方のポイントや言い換え表現をご紹介します。
■「旦那」の意味や語源
まずは「旦那」の意味や語源について解説します。
◇本来「旦那」は妻以外の関係性の人も用いる呼び方
辞書で「だんな」を引くと、「檀那」と「旦那」、2つの表記があります。
だんな【檀那・旦那】
(1)[仏](ア)布施。(イ)仏家が財物を施与する信者を呼ぶ語。施主。檀越(ダンオツ)。檀家。
(2)家人召使が主人を呼ぶ語。
(3)妻が夫を呼ぶ語。また、妾や囲い者の主人。
(4)商人・芸人などが得意客を呼ぶ語。
(5)目上の男性を呼ぶ語。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
現在では(3)の「妻が夫を呼ぶ語」がほとんどでしょうが、他にもいろんな関係性において使われているのだと分かります。
意味を把握するために、もう少し掘り下げましょう。
◇「旦那」の語源はサンスクリット語「ダーナ」
上記の意味の中でも、(1)の布施や檀家の意味があるということについては、あまり知られていないでしょう。
「旦那」とはそもそも「布施」を意味する仏教語で、「檀那」の字が用いられていました。
その語源は、「布施・施し」という意味のサンスクリット語(古代インドの標準的文章語)「ダーナ」です。
仏法を広めるために布施をして、僧侶や寺院を支えることを「檀那」と呼び、やがて、布施をする人のことも「檀那」と呼ぶようになりました。
◇近世では「自分の仕える主人」を「旦那」と呼んでいた
仏教が広まるにつれて、「檀那」という言葉は一般化し、中世以降は仏教に関係なく「金品の提供を行う人」を指すようになり、「裕福な人。人を雇う主」と拡大解釈されるようになりました。
近世では、男女を問わず、使用人が武家や商家で「自分の仕える主人」を呼ぶ時の敬称となり、「旦那」と表記されることが増えました。
さらに時を経て、今では主に「妻が夫を呼ぶ時」に使われるようになったのです。
また現在でも「布施、施主」という意味は残っており、この場合は「檀那」と書き表します。
■「旦那」を使う上で知っておきたいポイント
「旦那」「夫」「主人」など、妻から見た配偶者を呼ぶ場合の呼称はいくつかあります。
では、どう呼ぶのが一番適切でしょうか?
◇本来なら配偶者の呼び方に正解はない
基本的に、こうした呼び名は互いの関係性や本人のキャラクターにも左右されるもので、本来はどれが正解と厳密に決めつけるものではありません。
例えば、気の置けない友人との会話では、「うちの旦那がね……」と自分の夫を「旦那」と呼ぶことは問題ありません。
子どもを通じて知り合った関係であれば、互いに子どもの名前を付けて「○○ちゃんパパ」などもあり得るでしょう。もちろん、「夫」「主人」でもOKなのです。
◇友人の夫の場合には「友人の呼び方に合わせる」
また、友人の夫を呼ぶ場合は、その友人の呼び方に合わせるとスムーズです。
友人が「うちの旦那」と呼んでいれば「旦那様」、「主人」と呼んでいれば、「ご主人様」と呼ぶと良いでしょう。
また、「様」ではかしこまりすぎるような場合、「旦那さん」「ご主人」でも良いでしょう。
◇目上の人が多い場での「旦那」は避けた方が良い
ただし、「旦那」という言葉はTVのバラエティー番組などでよく使われることもあってか、ややくだけた印象を与えがちです。
そのため、目上の人が多い公式な席に夫婦、もしくは一人で参加した時に「うちの旦那が……」という言い方をすると、妻が夫をぞんざいに扱っているように感じる人がいるかもしれません。
また、その逆で、妻が夫に対してへりくだり過ぎているという見方もあります。
冒頭でも少し述べましたが、「旦那」とは、近世以降では使用人が主人を、商人が顧客を呼ぶ時の呼び方でもあり、主従関係を連想させる呼び方でもあったからです。
働く女性が増え、夫婦関係が対等になりつつある現代には、少々そぐわないと考える向きもあるでしょう。
このように考えると、公式な席で妻が夫を呼ぶ場合に「旦那」という呼び方はあまりおすすめできません。
◇ビジネスなどの公式な場では「夫」と言うのが無難
その点、「夫」には関係性を限定するようなニュアンスはありません。ニュートラルな印象で、最も使いやすく無難な呼び方です。
公式な場に夫婦で出席し、他人に紹介する場合、互いに「夫」「妻」と言うのが無難です。妻だけが出席する場合でも、同様です。
このことは、取引先や目上の人が多いビジネスシーンでも言えることです。
仲の良い先輩との会話でなら「旦那」でももちろん問題ありませんが、上司に夫を紹介するような改まったビジネスシーンでは、やはり「夫」の方が良いでしょう。
ちなみに、親戚が集まる冠婚葬祭の席では、夫の名前で「○○さん」と呼ぶのも良い方法です。妻方の親戚に夫のことを自然と覚えてもらえるでしょう。
■「旦那」の言い換え表現(例文付き)
最後に、「旦那」に代わる言葉を、「夫」「主人」も含めて以下に紹介します。
◇「夫」
妻が配偶者を指して呼ぶ言い方です。対義語は「妻」。
報道でも使われ、最もオーソドックスな呼び方と言えます。
☆例文
・夫はただいま外出しております
◇「主人」
「家の主(あるじ)」を意味し、妻が夫を指して呼ぶ言い方です。
他人の夫の敬称でもあり、その場合は「ご主人」「ご主人様」と使います。
☆例文
・ご主人はご在宅でしょうか?
◇「夫君(ふくん)」
他人の夫の敬称。少々古風な言い回しです。
☆例文
・ご夫君によろしくお伝えください
◇「亭主」
「家の主」という意味で、妻が夫を指して呼ぶ言い方。対義語は「女房」。
やや古風な言い回しです。
また、茶道で客人をもてなす主催者のことも指します。
☆例文
・ご亭主とは最近あまりお会いしていませんが、お元気ですか?
◇「良人(りょうじん)」
妻が夫を指して呼ぶ言い方で、古風な言い回しです。
☆例文
・良人のある身ですので、ここで失礼します
◇「パートナー」
英語で「配偶者」を意味しており、対等な関係性を示す言葉としても使えます。
配偶者の他、仕事のパートナーという意味もあります。
☆例文
・私のパートナーをご紹介します
配偶者や家族の呼び方には「その人」が表れる
いかがでしたか? 今回は、「旦那」の意味や使い方についてご紹介しました。
配偶者や家族の呼び方には、マナー以上にその人のスタイルや考え方、キャラクターなどが反映されます。
働く女性が増えた今、夫婦の呼び方や関係性にも多少の変化があるのは当然です。お互いにどう呼び合うのがベストか尋ねるのも良いでしょう。
もちろん、それが気楽な席か、かしこまった席かにもよります。臨機応変に使い分けると良いですね。
(前田めぐる)
※画像はイメージです
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