

義務感ではなく「自分が望む行動」を選択する方法
仕事や家事をするときなどに、義務感でやっていると感じることはありませんか? 立場上やらざるを得ない。やらないわけにはいかない。そんなふうに義務感で行動してばかりいると、ストレスがたまってつらくなっていきます。
義務感によるストレスでつらくなっているときはどうすればいいでしょうか? その対処法について、説明しましょう。
■義務感とは?
義務感とは、「何かをするとき、それをすることが自分の義務だと思う気持ち」のことです。一般的には、あまり気が進まないことをするときに義務感という言葉を使います。
例えば、上司にバレンタインデーのチョコレートを買う場面で、仕事上の関係があるから仕方なくという気持ちのときには「義務感で買っている」と感じてしまいます。対して、日頃からとてもお世話になっているから、という感謝の気持ちがあるときには「義務感で買っている」とはまず思いません。
つまり、義務感は、「あまりやりたくはないけれども、どうしてもやらざるを得ない」と思うときに感じるものなのです。
逆に考えると、義務感でやっていると思うときには、それはあまり気が進まないことをやっていることになります。
仕事が終わらなくて残業をするとき、一人暮らしのアパートに親が泊まりに来るので部屋の掃除をするとき、キャリアアップのために英会話レッスンに通うとき、友達の買い物に付き合う約束をしたとき……。そういったときに「仕方がないけど、やらないわけにはいかない」と義務感を覚えているとしたら、本心では「それをやりたくない」と思っているということです。
■義務感を抱き生きている人に見られる特徴
義務感を抱きながら本当はやりたくないことをやっていると、人はどのような態度を取るようになるでしょうか? 義務感を抱き生きている人に見られる典型的な態度には、次のようなものがあります。
◇(1)常にイライラしている
やりたくないことをやっているとストレスがたまります。そのストレスのせいで常にイライラし、周りの人に対して思わずキツイことを言ったり、「あなたは何もしなくていいから楽でいいわね」といった嫌味を言ったりします。
時には、八つ当たりをしてしまうこともあって、周囲からは距離を置かれるようになることも。
◇(2)愚痴が多くなる
「なぜ私だけこんなに苦労しなければならないの?」「ちゃんとやらない人がいるなんて許せない」といったような、被害者意識を持っています。そのため、口を開けば「私ばっかり」「周りはずるい」といった愚痴をついつい漏らしてしまいます。
◇(3)「面倒くさい」が口癖
「本当にやりたくない。でも、やらないわけにはいかないし……。あー、本当にもう面倒くさい!」といった思考が常に頭の中でグルグル回っていて、それがついポロッと口に出てしまいます。
何をやるにしても「面倒くさい」が口癖のようになっています。
◇(5)意地でも手を抜かない
「立場上やらないわけにはいかない」と自分で自分に強制している手前、自分が適当に手を抜いてやることを許すわけにもいきません。
「仕方なくとはいえ、やらなきゃいけないのだから、徹底的にしっかりやってやる」そう考えて、意地でも完ぺきにこなそうとしてしまうのです。
◇(6)手伝いを拒否する
イライラして愚痴を言いながらやっている状態を見かねて、中には「手伝おうか?」と言ってくれる人もいます。しかし、そういう人に対して「大丈夫。私一人でできるから」と手伝いの申し出を拒否します。
「しっかりやりたいから、他人に任せるより自分でやった方がいい」というこだわりがあるのと同時に、心のどこかに「私だけつらい思いをしている」と、悲劇のヒロインを演じたい気持ちがあるのかもしれません。
■義務感を抱いてしまう心理
やりたくないのであればやらなければいいだけの話なのですが、義務感を抱き生きている人にとって「やらない」という選択をするのはとても難しいことです。
それはなぜかというと、たとえやりたくないことであっても、それをやることが自分の存在価値の証明になるからです。
別の言い方をすると、自分がこうありたいという理想像があって、その理想通りの生き方をすることで自分の存在価値を確かめているのです。義務感で生きる人が持っている理想像の例を挙げながら、もう少し具体的に説明しましょう。
◇理想像(1)義理堅い人でありたい
「バレンタインデーのチョコレートを職場の男性全員に買う」「何かしてもらったら必ずそのお返しをする」といったように、義理を果たすことに義務感を抱く人は、「私は義理堅い人でありたい」という理想像を持っています。
義理堅い行動をすることで、「私は良い人間だ」と実感することができて、その自己肯定によって自分の価値を確認しているのです。
◇理想像(2)常識やルールを守る人でありたい
「旅行に行ったら必ず同僚全員にお土産を買ってくる」「お付き合いのある人全員に毎年必ず年賀状を送る」といったように、社会人としての常識を貫くことに義務感を抱く人は、「私は常識を守る人でありたい」という理想像があります。
また、会社でやってはいけないと言われていること、やるべきだと教えられたことを律儀に守り通そうとするのは、「私はルールを守る人でありたい」という意識があるからです。
もし常識やルールを守らなかったら、「私はダメな人間だ」と自己否定し、「そんな私には価値がない」と感じてしまうのです。それを避けるためにも、常に常識やルールに沿った行動をしてしまいます。
◇理想像(3)思いやりのある人でありたい
「頼られたら忙しくてもつい面倒を見てしまう」「どんなに忙しくても友達の買い物に付き合ってしまう」といったように、他人をサポートすることに義務感を抱く人は、「私は思いやりのある人でありたい」という理想像を持っています。
他人をサポートすると、「私は思いやりのある良い人間だ」と自己肯定感を得ることができます。そうやって、「そんな私には存在価値がある」という安心感で満たされたいのです。
◇理想像(4)有能な人でありたい
「自分以外にパソコンに詳しい人が職場にいないので、パソコンが動かなくなったと言われたら残業してまで対応してあげる」といったように、自分でなければできないことに義務感を抱き行動する人もいます。思いやりの意識もありますが、自分に能力があることで誰かに貢献しているという満足感を得ている部分もあります。
こういう人は、「私は有能な人でありたい」という理想を持っています。自分の能力によって誰かの役に立っているときに、その理想が実現できているという実感が得られます。そのため「私は有能である」ということを自分自身に証明するべく、自分の能力を発揮できることをつい引き受けてしまうのです。
■義務感から自分を解放してあげる方法
義務感を抱き生きている人は、自分で選択しながらストレスを抱えるという矛盾した行動をしています。
この人の課題は、無自覚で自分がその行動を選択していることに気付くこと。そして、自分の意思で選択できるようになることです。
そのために役立つ取り組みを紹介しますので、ぜひ自分自身と対話してみてください。
◇(1)本当はどうしたいのか自問自答する
イライラしたり、愚痴を言ったり、「面倒くさいな」と思ったりなど、「私は今ストレスを抱えているな」と気付いたら、自分自身に問いかけてみてください。「私、本当はどうしたいの?」と。
「本当はやりたくない。でも、無理してやっているんだ」と自分の本心に気付くことができたら、今までの自分のパターンを変えるタイミングがやってきたということです。
◇(2)自分には常に存在価値があることに気付く
前述した通り、義務感を覚えるのは、自分自身の存在価値を確認しようとしているからです。
ここで考えてみたいのですが、人間の存在価値ってなんでしょうか? 自分の存在価値は誰が決めるのでしょうか?
結論からいうと、自分の存在価値は自分で決めるものです。そして、「これができたら存在価値がある」とか「これができない私には存在価値がない」といったことではありません。存在価値には条件は必要ありません。
「何かができた・できなかった」といったことで人間の存在価値が変わることはなく、全ての人間には常に存在価値があるのです。存在価値のない人間など一人もいないのです。
「私はこういう人でありたい」と理想を掲げて、それに向かって努力するのは素晴らしいことです。そうやって人は成長していくものだからです。でも、理想にとらわれてしまって、それによって存在価値が揺らぐのは間違いです。
そもそも理想の実現を目指しているだけで、既に素晴らしい人間だといえます。
自分に条件を付けるのをやめて、「自分には常に存在価値がある」ということに気付いてください。
◇(3)自分の行動を自分で選択する
義務感でやっているかどうかは別として、その行動自体は有益なものです。
もちろん、それをやるかどうかは自由です。また、どこまでこだわってしっかりやるかも状況次第です。
時には少し手を抜いたり、妥協したりすることがあっても、とにかくそれをやること自体が大切なときもあります。自分自身の本心を自覚し、その上で「自分はどうしたいのか、どうした方がいいと思うのか」じっくり考えてみてください。
そして、自分の行動を自分の責任で選択してください。そうやって取る行動が今までと同じだったとしても、以前のように義務感を覚えながら取る行動とは質的に大きく異なるはずです。
自分で自分を解放して、もう少し楽に生きよう
義務感を抱き生きている人は、前向きで、しっかり者で、人としてより良く生きたいという意識を持った尊敬すべき人物です。
でも、一人で頑張ってきたぶん、これまでたくさん苦労してきたことでしょう。
そろそろ、その苦労から自分を解放して、もう少し楽に生きてみませんか? それには、一人で背負い込まず、周りも頼りながら、できる範囲で無理せず精一杯のことをすればいいと考え方を切り替えることが必要です。
まずは、そこから始めてみてはいかがでしょうか?
(笹氣健治)
※画像はイメージです
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