禁煙なはずの飛行機、トイレで灰皿発見され「どうして?」と乗客が困惑 設置の経緯をJALに聞いた
禁煙のはずの飛行機トイレに、なぜか「灰皿が設置されている」と話題に。機内喫煙を「重大な犯罪行為」と注意するJALに、設置の経緯を聞いた。
「令和では考えられない昭和の常識」という話題になると、ほぼ必ず上がるのが当時のたばこ事情。駅のホームや職員室、病院内など、現代の常識では考えられない様々な場所で灰皿が見受けられた。
しかし令和も8年を迎えた現代、とある「信じられない場所」で発見された灰皿が話題になっているのをご存知だろうか。
なぜこんな場所に灰皿が?
今回注目したいのは、Xユーザー・ゆーすけさんが投稿したポスト。
「この前JAL A350のトイレに入った時気になったのですが、これって灰皿ですか? 禁煙のはずなのになぜこんな設備が...」と綴られた投稿には、ドア(壁?)に埋め込まれた設備の写真が添えられている。
https://twitter.com/Z_Yusuke_cooper/status/2047089414703296933
動かすと何やら窪みが確認でき、こちらの設備には「たばこをもみ消す」ピクトグラムが描かれていた。

これらの情報から、当該の設備は「灰皿」と考えて間違いないだろう。
「昔の名残?」と疑問の声
しかし、ここで浮かぶのが「なぜ飛行機内の設備に灰皿が?」という疑問。
やはり当該のポストには「確かに、飛行機って禁煙だよね?」「30年くらい前は飛行機の中でもたばこが吸えてたし、喫煙席と禁煙席があった。昔の機体を使い続けているだけなのかな」「昔の名残りでしょうか」といった疑問の声が多数寄せられていた。
一方で、何らかの事情を知っていると思われるユーザーからは「設置が義務付けられています」という指摘も寄せられている。
灰皿発見の経緯について、ポスト投稿主・ゆーすけさんは「トイレから出ようとしてドアノブを探していたら、偶然発見して『なんだこれ』と思い、撮影したのが投稿のきっかけです」と、振り返る。
過去に何度も飛行機に乗っているゆーすけさん、自身は喫煙者ではないため「これまでは気に留めなかったのかもしれません」とも語っていた。
なお、トイレを出た後でドアを確認したところ、外にも同様の設備があって驚いたという。
JALは「法で義務付けられている」と説明
そこで今回は、機内に灰皿を設けた背景・経緯をめぐり、日本航空(JAL)に話を聞いてみることに。
こちらの理由について、JAL担当者は「機内の化粧室に設置されている灰皿は、昔機内でタバコが吸えたことの名残ではなく、法律で設置が義務付けられている『重要な安全装置』です」と、前置き。

続けて「設置されている理由は、『機内の化粧室でたばこを吸ってしまうこと』による火災を防ぐためです。もし灰皿が無ければ、吸い殻を紙くずが詰まったゴミ箱に捨ててしまい、機内火災を引き起こす恐れがあります」と、説明してくれた。
まず前提として、現在は飛行機内でたばこを吸うこと自体が禁止されている。しかし悲しいことに、この世から犯罪が無くならないように、全ての人がルール守り、モラルを持って生きているワケではないのだ。
JALの担当者曰く、「機内でたばこを吸うことは禁止だが、万が一の際に安全に消火できる場所だけは確保しておく」という、航空業界の徹底したリスク管理(フェイルセーフ)の考え方に基づき、これら灰皿は設置されているという。
53年前の痛ましい事故が切っ掛け
機内に灰皿が設置されるようになったのは1973(昭和48)年、トイレでのたばこの不始末が原因とされる火災による飛行機墜落事故が、フランスで発生したことが切っ掛けだという。
JALの担当者は「当該の事故以降に世界中で厳格化され、現在はアメリカの連邦航空局(FAA)の基準や、それに倣った各国の航空法により、『機内化粧室のドア付近には、必ず灰皿を設置しなければならない』と定められています」と、補足していた。
...と、ここで気をつけたいのは、灰皿の設置を受けての「曲解」である。
JALの担当者も「機内喫煙は重大な犯罪行為で、決して『灰皿があるから吸ってもいい』わけではありません。機内での喫煙(電子・加熱式タバコを含む)は航空法で厳しく禁じられており、命令に従わない場合は、罰金が科せられることがあります」と、説明。
加えて、「機内での喫煙は、航空機内での火災に繋がる恐れがあり、大変危険です。発生場所によっては、飛行機のコントロールに欠かせない重要なケーブルなど、航空機の運航に不可欠なシステムに重大な損傷を与える可能性があります」「また、航行中の喫煙が原因で目的地以外の空港へ緊急着陸(ダイバート)する可能性もあり、旅程通り目的地までご案内できないことも考えられます。安全で快適な空の旅のために、ご協力をお願いします」と、呼びかけていた。
「飛行機」という空間の中では消化設備や人員には限りがあるため、安全なフライトを確保するには、乗客一人ひとりの協力と理解が不可欠。
喫煙者の諸君は、禁止された場所での喫煙はくれぐれも謹んでほしい。
執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
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