撮影:西邑泰和

SKE48荒野姫楓“ずぶ濡れショット”大バスりのロードバイクが切り拓いた選抜の夢舞台

2026.03.13 18:09
提供:ENTAME next

初選抜――。その言葉を聞くまでに約7年の歳月を要した。それがSKE48・荒野姫楓(あらのひめか)だ。横浜から名古屋へとアイドルになるためにやって来た女子高校生は、いかにして選抜メンバーの椅子を勝ち取ったのか。

昨年12月のある日のこと。名古屋市内のレッスン場にいた荒野姫楓はマネージャーに呼び出された。

荒野「その日はライブのリハーサル期間中だったので、練習をしていたのですが、。マネージャーさんから『大晦日配信(SKE48 年忘れ13時間テレビ ~SKE(サカエ)の大晦日はまだ終わらん 2025→2026~)のVTRを撮るから来て』と言われ、とある部屋に入ると、スタッフさんが座っていて、カメラが回っていました。そこで『36枚目シングルの選抜メンバーとして参加してほしい』と言われました」

予想していなかった荒野は、「おっ、おー……はい。ありがとうございます。頑張ります」と反応した。そこには涙もなく、初選抜なのに大きなリアクションはなかった。

荒野「なんか噛みしめちゃいました。もしいつか選抜メンバーに入れた暁にはふざけてやろうと思っていたんです。だって、爪跡を残したいじゃないですか。それこそ椅子から転げ落ちてやろうと思っていたけど、何もできなくて。それが心残りです」 離れて暮らす両親にはLINEで伝えた。すると、「よかったね」というスタンプがぽんと返ってきた。

メンバーには自分から伝えないように努めたが、そうはいかなかった。

荒野「選抜メンバーと伝えられて、レッスン場に戻ると、さとかほ(佐藤佳穂)さんがすすっと寄って来て、『ひめたん、嬉しい……。ずっと待ってたんだよ』とくねくねしながら言ってくれたんです。『選抜メンバーに入りました』と伝えたわけではないけど、察してくれたようです」

選抜メンバーが発表されると、荒野のファンは歓喜にわいた。

荒野「ファンの方は3作前のシングルから選抜メンバーに入れるんじゃないかという期待を抱いてくれていました。3作前に入れなかったとき、SNSや握手会では『次は楽しみにしてるからね』という声をたくさんいただきました。選抜メンバーが発表される度に、ファンの方は『次こそは!』と燃えてくれました。私もその気持ちに応えようとしました。この3作は私を成長させてくれました」

彼女が語る「成長」とはどういうことなのだろうか。

荒野はもがいていた。選抜メンバーに入るためにはどうしたらいいのだろうか。そのことばかり考えた。同期にはセンターに立ったメンバーもいれば、個人仕事をいくつももらっているメンバーもいる。選抜メンバーに入る/入らないは置いておいても、一人前のアイドルとして認められたい。そのためには、今までの自分ではいけないと考えた。

荒野は行動に打って出た。趣味であるロードバイクを前面に出したのだ。

名古屋市内から羽豆岬までロードバイクで自走する動画をアップした。羽豆岬は、SKE48の楽曲タイトルにもなっている、いわば聖地だ。知多半島の最南端にあり、市内からは約60㎞。車で1時間以上かかる。この道程を動画に収め、編集し、YouTubeにアップした。その動画は瞬く間に評判を呼び、荒野=ロードバイクのイメージを植えつけただけでなく、思わぬ反響を呼んだ。

荒野「ロードレース関連のお仕事が急増したんです。ゲストライダーとしてイベントに呼んでいただいたり、関連番組に出演させていただいたりしました。サイクルジャージというロードバイクの格好をして握手会に来てくださる方もいらっしゃいます。『どうして来てくれたんですか?』と聞くと、『ツール・ド・フランスの放送の解説を聞いて、来ちゃいました』みたいな」

さらに彼女の知名度を高めたのは、1枚の画像だった。

荒野「去年の11月、サイクリングイベントが沖縄の石垣島で開催されました。ゲストライダーとして参加させていただいたんですが、その日は石垣島に新しい川が誕生するくらいの大雨で。レースの途中でずぶ濡れになった写真をXに載せたんです。これがバズりました」

この日、荒野が走ったのは89㎞。自己最長記録を更新した。道中のほとんどが土砂降りだった。

それもこれも、すべては自らが動画を作成して発信したことが発端になっている。

荒野「私がロードバイクにハマったのは、コロナ禍がきっかけでした。活動が激減している中、悩んでいました。ステージに立ちたくてアイドルになったのに、それができない。このままアイドルを続けていてもいいのかなと悩みました。そんな気持ちを忘れるためにひたすら自転車で走ったんです。走っているときは何も考えなくて済むから」

自転車は現実逃避の手段だった。それが今となっては、選抜メンバーという夢舞台へと運んでくれたツールとなった。風とファンの声が味方してくれた。

荒野「私が自転車に乗りたくなるときって、嫌なことを忘れたいときなんです。次こそは選抜メンバーに入りたいと考えていて、結局入れなかったときは特にペダルを漕ぎました。その過程が選抜に結びつくなんて予想もしていませんでした」

荒野がロードバイクにハマったきっかけは『弱虫ペダル』だった。二次元に目がない荒野らしい。

荒野「私、影響を受けやすいんです。『弱虫ペダル』を読んで、4年前に購入しました。(箱根学園の荒北靖友の愛車)BIANCHIのVia Nirone 7でした」

漫画やアニメは大切なことを教えてくれる。荒野も例外ではない。

荒野「『弱虫ペダル』からたくさんのことを学んでいます。巻島(裕介)先輩のセリフで、『自転車は回した分だけ強くなる』というものがあります。私もその言葉を胸にロードバイクに乗っています」

自転車に乗り続けると、自然と体力がつく。小学校でバスケットボール、高校でダンスを習っていた荒野だが、ペダルを漕いだ分だけ強くなった。

荒野「SKE48のダンスは激しいのですぐ息が上がっていたんですけど、自転車に乗るようになってからだいぶ楽になりました。心肺機能を上げるには、有酸素運動が必要なんですね」 念願の選抜入りを果たした今、毎日が楽しくて仕方ないという。

荒野「選抜メンバーとしての初仕事はMV撮影で、今日の取材が2回目です。まだふわふわしています(笑)。けど、ようやく選抜メンバーとしての自覚が芽生えてきました。この期間を楽しみたいです」

選抜入りの夢は叶えたが、まだまだ野望がある。

荒野「現地でツール・ド・フランスをリポートしたいです! 現役アイドルで観戦したアイドルはいないと思うんです。そのためにももっと発信を続けていきたいと思います」

偶然だろうか、今作の荒野の選抜衣装は愛車・BIANCHIのイメージカラーであるチェレステだった。チェレステとはイタリア語で「青空」を意味する。土砂降りから青空へ。まるで荒野のアイドル人生がそのまま表現されているようだった。

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