「あんまり浮かれさせてもらわれへん」ダイアン・ユースケの“感情が振れない”芸人人生
ダイアン・ユースケの初著書『なんなん自分』(KADOKAWA)が1月21日に発売された。些細なことが気にかかるユースケの思考から生み出される独特なエッセイはどこか癖になり、多くの反響を呼んでいる。初エッセイ発売に際してインタビューを実施。ユースケは何を考え、これまでの芸人キャリアを過ごしてきたのか。話を聞いた。(前後編の前編)
――エッセイには少年時代の話も多くありましたが、どのようなお子さんだったんですか?
だいぶ序盤からもう今の感じでした。活発ではあったと思うんですけど、田舎育ちだったので、たまに知らないところに入れられると人見知りが出たりしましたね。
――では、輪の中心にいるようなタイプではなかったんですね。
全然ないですね。
――それでも人を笑わせるのは好きだったのでは?
いやいや。仲のいい友達の中だけで、人前に出てなんかやるとかはほぼほぼなかったかと思います。
――お笑いとの出会いはどこだったんですか?
テレビはずっと見ていましたね。保育園くらいからドリフであったり、関西だったのでダウンタウンさんの番組やとんねるずさんも見ていました。
――それがユースケさんの土台にはなっているんですかね。
いや、お笑いを好きになるきっかけではあったんですけど、今の芸風とリンクしているかというと、全然そんなことはないですね。
――そこから芸人になろうと思ったきっかけを改めて教えて下さい。
学生時代が終わり働かないといけないとなったとき、大体40年くらいは働かないといけないわけですよね。自分の好きじゃないものを仕事にしてしまうと、40年間苦痛が続いてしまうので、好きなものを仕事にしたほうがいいなと。何が好きやったかなと考えたときに、お笑いはずっと見ていたのでそういうことになりました。
――NSCに入学しますが、楽しく過ごせたのでしょうか?
いやいや、別に楽しいはなかったですね。楽しくなったのはだいぶ後で、最初の頃は楽しくもしんどくもなく、何も思ってなかったですね。「こういうもんなのかな」というのでやっていて。
――好きなお笑いでも特別な感じはなかったんですね。
自分らでネタ作って講師の人にネタ見せして、あとはバイトしたりとかだったんで。授業も褒められたりすることはなく、楽しいという感覚は正直あんまなかったです。同期の子とも最初は仲良くもなかったし、人見知りでもあったので、淡々とやっている感じでした。
――同期の南海キャンディーズの山里(亮太)さんはNSC時代からユースケさんの才能はすごかったとよく話されていますが、周囲から評価されている感覚もなかったんですか?
全然感じていなかったです。山ちゃんはよくそう言ってくれるんですけど、当時は山ちゃんのほうが目立っていました。僕らは講師の方に毎回褒められるとかでもなかったし、めっちゃええ感じやなというのもなかったです。
――ダイアンとしての見通しはいかがだったんですか?
なんでしょうね……自分らがいい感じとは思っていないですけど、周りにも「こいつらすげえな」というのがいなかったので、お笑いでご飯は食べられるんやろうなとは思っていました。
――それからNSCを卒業して、デビューとなります。
最初は、どっちかと言えば順調なほうでした。オーディションも早めに受かって、劇場の二軍メンバーになったり。ただ、めちゃくちゃいい感じでもないし、どっちかと言えば優秀なほうかなくらいで。
――ユースケさん自身は周りを見て、比較して悩んだりするタイプでしたか?
あんまなかったかもしれないです。例えば、同期でキングコングがいましたけど、売れるのが早すぎて何も思わなかったというか。良くも悪くも焦ったりがあんまなくて、今となっては逆にそれがよくなかったのかもしれないです。
――NSC時代と比べると、楽しく感じられるようにはなったんでしょうか?
そうですね。上の方が卒業して、笑い飯さん、麒麟さん、千鳥さんの世代になってからは楽しかったですね。仕事は全然なかったですけど、先輩と飲みに行ったりが楽しくて。劇場の仕事しかないので、ライブして夜飲み行って、朝まで過ごしてまたライブみたいな、そういうのが楽しく感じられました。
――なるほど。その時期から仕事を楽しめるようになったんですね。
ただ、今振り返るとそうなだけであって、当時はそれが普通やと思って「今めっちゃ楽しいな」とかはなくて。仕事が劇場しかないというのは自分たちでわかっているので、もちろんいい感じではないし、忙しい人は劇場以外の仕事も徐々に増えだしていました。焦りもあっただろうし、楽しいという感覚は後からついてきましたかね。
――その時々で感情にあまり振り回されていないんですね。
もちろん、自分の気持ちの中ではポジティブ・ネガティブはあるんですけど、どっちかに極端に振れていたみたいなことはずっとないです。
――いいことでもありつつ、もったいなくも感じてしまいますね。
あんまり浮かれさせてもらわれへん感じやったんです。劇場は女子中高生のお客さんが多かったんですけど、人気もなかったですしね。
――ダイアンさんのターニングポイントとして、2018年の東京進出があると思います。行く前はどういった思いだったんですか?
40歳超えてだったので、周りにびっくりされましたね。ただ、自分としてはあまりピンと来ていなくて、行く前や行ってから周りに色々言われて、なんか怖いことしたんやと気づきました。だから、「やばいかも」とか「どうしよう」みたいな感覚はあまりなかったです。
――東京に出てきてからのお仕事はいかがでしたか?
何かを達成して東京に来たわけではないので、知られてなくて難しかったですね。自分に合っていない変な役をやらされたり、いい感じではなかったですね。
――どこでそれが好転していったんでしょうか?
知らず知らずのうちにですかね。パンッと何かが変わった感じはなくて、グラデーションですかね。
――やはり千鳥さんやかまいたちさんといった近い仲間がいたことも大きかったんですね。
もちろんですね。フジテレビの『27時間テレビ』もそうですけど、千鳥さんメインでやって、大阪時代からやってきたので、そういうのはやはり大きかったですね。
――現在のように全国区の知名度となっても、感情の振れ幅は大きくは動かないんでしょうか?
細かいことで言ったら全然あります。例えば、NSCのときに初めて講師の方に褒めてもらえたときはいまだに覚えていますし、街中で声かけられるのも嬉しいです。その時々では嬉しいと思っているんですけどね。
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