撮影:荻原大志

ダイアン・ユースケが明かす漫才と思考の裏側「M-1用にシステマチックに作ってました」

2026.02.20 07:03
提供:ENTAME next

ダイアン・ユースケの初著書『なんなん自分』(KADOKAWA)が1月21日に発売された。些細なことが気にかかるユースケの思考から生み出される独特なエッセイはどこか癖になり、多くの反響を呼んでいる。その中でも、まっすぐに向き合っていたことを明かしている『M-1グランプリ』について話を聞いた。(前後編の後編)

――ダイアンさんはM-1グランプリ初年度から出場しています。優勝を目標としていたのか、それともステップアップのための階段と見ていたのかどちらでしょうか?

当時は両方ですかね。今もですけど、当時は優勝すれば劇的に変わる時代でもあったので、優勝もしてステップにするという意識でいました。

――M-1に向けて漫才のネタ作りは変えたんですか?

そうですね。自分らがやっているネタをそのまま大会に持ち込むという人ももちろんいて、すごいなと思ったんですけど、僕はM-1用に作っていました。

――M-1用というと、どのようなものにしたんでしょうか?

システマチックにしていました。よりインパクトを与えるような、普段劇場でやっているようなネタではないものにしていました。初めて決勝行った2007年は持っている一番いいネタで行ったんですけど、翌年は設定をひとつ乗せてシステムに当てはめるようにして、決勝に行けましたね。

――狙い通りのネタが作れて結果も出たんですね。

実際は途中からですね。最初にそのネタを作ったときは15分くらいあって、本にも書いてるんですけど、それを劇場でかけてかけて4分にしていったんです。システムをチェックして、手応えもなかったんですけどやり続けていって。それを続けていくうちにすごくいい感じになってきて、最初は無理かもなと思っていたけど、固まってきたくらいから「これは行けそうやな」と。

――いざ決勝の舞台に立ってみていかがでしたか?

事前の抽選でトップバッターを引いてしまったんです。あんだけやったのに、ここでトップを引いてしまうというのがショックでしたね。でも、それでも行けるなと思うくらいで。結果は全然ダメでしたけどね。

――本番直前までネタに対しての自信は揺らがなかったんですね。

そうですね。それくらいやったという自負があった。2回目の決勝行ったときに、名前が呼ばれてもやったという感覚はなかったですね。「そらそやろ。そんだけやったし」という感じで。

――M-1ラストイヤーを終え、卒業されたときの気持ちはどうだったんですか?

1回目の2009年はやっとという気持ちが大きかった。優勝もしていないですけど、10年が過ぎたので出なくていいという。最後の3年はやりきったという思いもあったので、安心感とその両方がありましたね。

――M-1を卒業して、システム的な漫才から解放されたと。

そうですね。いわゆる自分らが普段やっているようなネタに変わっていくんですけど、それをやるようになってからこういうネタのほうが合っているなと気づきましたね。もちろん、M-1用のネタも完成度高いと思っていましたけど、普段やっているネタのほうが合っているし好きだなというのは改めて気づきましたね。

――気持ちとしても今まで以上に気楽にネタをできる感覚はありましたか?

M-1出ていたときも気楽にやっていましたけど、何かに縛られることもないので、より楽になりました。ただ、M-1のときは劇場で反応を試しながらやるというやりがいもあったので、感覚はまた違いましたかね。

――改めて書籍『なんなん自分』についても伺います。書籍をオファーされたときの率直な感想はいかがでしたか?

コロナ禍で周りの先輩たちが『note』をやっていて、僕もやろうかなと思って始めました。そのくらいの頃にオファーをいただいたので、やりたいなと。

――書くことに抵抗はなかったんですね。

そうですね。書くのが好きではありました。

――テレビに出て喋るのとはまた違うと思いますが、何か意識していたことはありますか?

読んでいるときに心地良いようにしました。自分で読み返したときに「ここテンポ悪いな」とかは気にして直していました。

――書籍も拝読しましたが、ユースケさんの声で再生される感がすごいなと思いました。

それはよく言ってもらいますね。自分の書いたこと、実際に言っていること、心のなかで呟いたことが混じっているので大丈夫かなと思っていたんですけど、そういう感想が届くのは素直にありがたかったです。

――書いていく上での苦労はありましたか?

書こうと思って書き出したけど、うまく書けないやつもあったり、途中まで書いたけどやめてしまったりもありました。テーマによるというか、自分がどう思っているかが文字にするときに大事なんかなというのは思いました。

――エッセイの中に「作詞」というテーマもあり、異質の存在感を放っていました。

なんか、ほんまに作詞してみたくて。こういう機会なので、全部エッセイよりはそういう遊びもあっていいかなと思って入れてみました。

――頭の中に音楽は流れていたんですか?

いや、それはないですね。音楽に文字を合わそうと思ったら大変なんで、作詞自体に興味があってやってみただけですね。

――すでに書籍は大好評というお話は伺っており多くの方の手に渡っていると思いますが、どういう風に読んでもらえたら嬉しいでしょうか?

共感してもらえても嬉しいですし、共感しなくても「こいつこんなん思ってんねや」とかそういう風に思ってもらえると嬉しいですね。

――今回はエッセイという形でしたが、次に書籍を出す場合はどのようなものに挑戦したいですか?

今回は、他人に対して気になる行動や自分自身に対してのテーマが自然と多くなって、それは自分の嫌なところでもあるんです。そういうのをなくしたいと思っているので、例えばテーマを設けてそれを軸にエッセイをやってみたいです。あとは、僕は小説を読んだことがないんですけど、興味なくはなくて。本1冊も読んだことがない人の小説なんてめちゃくちゃになりそうですけど、興味はありますね。

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