いい人でいなきゃいけない理由なんてない。小芝風花が考える“自分の人生を生きるコツ”

いい人でいなきゃいけない理由なんてない。小芝風花が考える“自分の人生を生きるコツ”

2025.06.25 11:10

取材・文:瑞姫

撮影: 大嶋千尋

編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部

ヘアメイク:青山佑綺子(BOND)

スタイリスト:小川未久

「人生の主演は自分」そう頭では分かっていても、頼まれごとを断れなかったり、本音を飲み込んで笑ってごまかしたり……。本当は嫌なのに、“いい人”でいようとして、気づけばいつも他人を優先している。そんな経験に心当たりがある人も少なくないはず。

俳優・小芝風花さんが主演を務めるAmazon Originalドラマ『私の夫と結婚して』の主人公・神戸美紗も、まさにそんなふうに“いい人”として、人生の主導権を他人に渡してきた。

本作の原作は、NAVERウェブ小説『私の夫と結婚して』。韓国でウェブ漫画化され、LINEマンガでランキング1位を記録し、昨年韓国での実写化ドラマも大ヒットを記録。そんな人気原作の日本実写化を韓国のクリエイターと日本のキャストで挑む。最愛の夫と親友に裏切られた美紗は、37歳で命を落としてしまう。しかし、目を覚ますと10年前の27歳の自分に戻っていたというストーリーだ。

二度目の人生で美紗は、夫・友也と親友・麗奈に復讐することを決意。2人を結婚させ、自らの過去を清算する計画を練りながら、今度こそ自分の人生を“脇役”ではなく“主演”として生きるべく模索していく。

小芝さんはそんな美紗に過去の自分を重ねながら「日本人が共感しやすいキャラクター」と表現する。今回は韓国版とはまた違った日本版の魅力と、美紗という役を通して感じた“自分らしく生きる”ヒントを聞いた。

■丁寧に演じ分けた、美紗の葛藤と成長

一度目の人生では“いい人”を演じていた美紗。そして、二度目では自分の気持ちに正直に生きようと奮闘する美紗。同じ人物でありながらもまったく異なる心情の人物像を、小芝さんはどのように演じ分けたのか。

「一回目の人生の美紗は、周りの空気の変化にすごく敏感で、ちょっとでも“あっ、これ今否定したら空気悪くなるな”とか“不機嫌になっちゃうな”っていうのを察知して、自分の気持ちを抑えて、周りに気を遣って合わせていたんです。けれど、二回目の人生の美紗は今までは当たり前に受け入れていたことに対して『やっぱりこれっておかしいよね?』って気づいて、今度はちゃんと攻撃していくんです」

その“攻撃”の演じ方ひとつをとっても、監督と相談を重ねながら演じ分けた小芝さん。監督含め、製作チームが韓国ということもあり、言語の壁は多少あったそうだが、きちんとコミュニケーションを取った上で作品作りができたと語ってくれた。

「美紗の攻撃も“すごく分かりやすくトゲを出す”のか、表情とかはいつも通りなのに“言ってることがちょっといつもと違うって麗奈に思わせる”のか、『ここは思いっきりやろう』『ここは普段の雰囲気で毒を吐こう』とどちらの方が効果的なのかをそれぞれのシーンで監督と色々相談して決めていきました」

復讐を計画する中で、美紗は一度目の人生では接点のなかった上司・鈴木亘と思いがけず親密になる。クールな外見とは裏腹に純粋で一途な彼との出会いは、復讐のみに傾いていた美紗の心に新しい風を吹きこむ。

小芝さんは「亘さんに“あなたは悪人になりきれないから助けたい”って思ってもらえるような存在でいないといけないので、美紗の真っ直ぐさはブレたくない」と“強くなった美紗”の中にも優しさや迷いが残るように意識したそう。そのバランスにこそ、小芝さんが大切にしたヒロイン像がある。

「変に気が強くなりすぎても、美紗のキャラクターに矛盾が生まれてしまうような気がしたんです。復讐するために強くならなきゃいけない部分もあるので、ちょっと嫌味を言ったり、攻撃するところはあるけれど、視聴者の方や亘さんが『応援したい』『ちゃんとこの子には幸せになってほしい』と思ってもらえるような、ヒロイン像にしたいなっていうのはずっと思っていました。

美紗のいいところは、亘さんが助けてくれようとした時に『助けてもらったら一度目の人生と変わらない。自分でちゃんとやらないと意味がない』とハッキリ言えるところだと思うんです。心細かったり、頼ってしまいたくなる中でも、“ちゃんと自分の意思で立ちたい”という芯がしっかりあるところが強くてすてきだなって」

■自分の人生の主役を譲ってはいけない

ちなみに小芝さん自身は美紗と似ている部分はあるのかと聞くと、「私も周りの目を気にするタイプだったので分かります」と過去の自分と美紗を重ね、今回の台詞には深く共感したと教えてくれた。

「今回のモノローグ、人生が台本だとした時に、“自分の人生の主役は自分以外に譲ってはいけない”っていうのも、本当にその通りだなって。自分にとって、『嫌だな』とか『一緒に居てしんどいな』って思う人と無理して関係を続ける意味もないし、なるべく自分の人生が楽しく、楽に生きられる選択をする。だって、私の人生は私のものだからっていうのは、自分も勉強になりました」

10人いれば10人全員に好かれたいし、誰かに嫌われたくない。そんな思いから周りの目を気にしすぎて無理をしてしまった過去や、周囲の理想像で“こういう人でいなければいけない”とがんじがらめになっていた時期もあったという小芝さん。けれど、年齢を重ねてさまざまな役と出会うなかで、少しずつ「自分らしく生きる」ことの大切さに気づいていったと言います。

「私は“自分らしく生きる”とか、“周りがなんと言おうと、自分が好きなものは好き”とか、メッセージ性があるいろんな役を演じるごとに、自分の人生だし、そりゃそうだなって本当に思えるようになったんです。

自分も何かされたわけじゃないけど、なんか合わない人とか、苦手だなって思う人がいるように、別に私が何をしてもしてなくても、私のこと嫌いな人は絶対にいるよなって思ったら、そこまで自分を押し殺してまでそういう人に好かれなくてもいいなって。

本当に少しずつ、少しずつ、年齢を重ねるごとに役の力をもらうことで、考え方が変わってきた。一番自分が楽でいられるように、自分らしく生きたいなというのはすごく思います」

人生は一度きりだと分かってはいるものの、改めて言われるとハッとさせられる言葉が多い本作は、改めて自分の人生を見つめ直すきっかけになりそうだ。

■未来の自分が後悔しない生き方を

今回の役を通じて、小芝さんご自身の人生を振り返るきっかけもあったのかを尋ねると、「高校生活、もっと遊んでおけばよかったなぁって。なんか変に真面目だったから」と、少し照れくさそうに笑いながら語ってくれた。

「当時、事務所のレッスンが毎日17時ぐらいからあったので、放課後遊べなかったんです。でも、一日ぐらいサボって遊びに行けばよかったなって(笑)。テスト勉強をファーストフード店で友達とするのが夢だったんですけど、できてなくて……。自分に厳しすぎたところもあったので、もう少し学生生活で楽しい思い出を作りたかったとは思います。

でも、そのおかげで今があるのも確かなんです。サボらずに毎日レッスンに行っていたから、信頼関係を築けた。全部は全部否定しないけど、少しでも先の自分が振り返った時に、あの時は全力で楽しんでたとか、全力で仕事できてたって思える自分でありたい。10年後の私が後悔しないような生き方を今の私ができたら、一番いいなって」

私たちは、美紗のように人生をやり直すことはできない。けれど、未来の自分が後悔しない選択をすることはできる。最後に、役を通して改めて感じた“自分の人生を生きるコツ”を聞くと、小芝さんは「基本的に、自分よりも人を優先しちゃう人って、自分よりも人を思いやれるってことだからすてきだと思うんです」としつつも、「ストレスなくそれができる人だったらいいけど、自分が苦しい思いをしたり、悩んだり、無理をして人を優先して“いい人”でいなきゃいけない理由なんてない。自分の周りの身近な人だけに優しくすることを心がけてたらいいんじゃないかなって。私自身も、ちょっとずつ自分を楽にする方法を模索してます」と自身の経験を踏まえてアドバイスをくれた。

他人を思いやる優しさも、感受性の強さも、悪いことではない。ただ、それが“我慢の上”に成り立っているなら、未来の後悔に繋がってしまうかもしれない。同じような経験があるからこそ分かる、変わることの難しさを理解した上での決して上から目線ではない言葉は、スッと心に入ってくる。

「会いたいと思う人に会う。誘われても、うーんってなるんだったら、会わなくてもいい。なんか気を遣っちゃうなとか、ちょっとしんどいなとか、その気持ちを大事にしていいんじゃないかなと思います。無理に好かれようとするよりも、自分が大事にしたいと思える、自分を大事にしてくれる人との時間につかう。なかなか難しいですけど、無理しないと友達でいられない人は、何かされても傷つかない心の距離感で居るのがいい気がします」

誰かに合わせすぎていると、いつのまにか自分を見失ってしまう。でも、自分の人生の舵を握るのは、他の誰でもなく“自分”でいい。人は急に変わることはできないけれど、小芝さんが演じた美紗のように少しずつでも、他の人ではなく自分の気持ちを優先できるようになった時、人生は今よりきっと軽やかになるはずだ。

小芝さんが心情の変化や葛藤、成長を丁寧に演じた美紗の物語は、「自分の人生の主演に戻るための一歩」をそっと押してくれるだろう。

Amazon Originalドラマ『私の夫と結婚して』

“いい人”として生きてきた神戸美紗は、37歳で最愛の夫と親友に裏切られ、不幸な死を迎える。目覚めると、なぜか10年前の27歳に戻っていた。二度目の人生では、自分を陥れた夫・友也と親友・麗奈への復讐を決意する。彼女は最悪の過去を清算するため、夫を親友と結婚させる計画を立てる。

しかし、その復讐計画の途中で、一度目の人生では言葉を交わすこともなかった上司・鈴木亘と親密になっていく。かつて『脇役』として生きてきた美沙は、避けられない運命のシナリオのキャスティングを入れ替え、『主演』としての生き方を模索していく。

復讐心と新しく芽生えた恋の狭間で、美紗は自分の人生の主人公として、自分らしい生き方を見つけていく、ロマンス・リベンジドラマ!

6月27日より毎週金曜日2話ずつPrime Videoにて配信

話数:全10話

キャスト:小芝風花 佐藤健 ほか

原作: LINEマンガ 「私の夫と結婚して」(作者 sungsojak)

監督:アン・ギルホ

脚本:大島里美

企画:CJ ENM Japan、STUDIO DRAGON

制作:JAYURO PICTURES ENT.、松竹撮影所 

© 2025. CJ ENM Japan/ STUDIO DRAGON all rights reserved

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