岐阜県のミスコン、なぜか上位に男性と犬が入賞してしまう 「ポリコレの最先端」と話題に…

2025.05.26 11:15
提供:Sirabee

特に応募基準を設けていない岐阜県のミスコンが話題に。女性はもちろん、男性や犬が入賞している様子が「ポリコレの最先端」と注目を集めた。

「多様性」への理解が求められる一方、「ルッキズム」に対して厳しい視線が向けられる昨今。ミスコン等のイベントを見直し、廃止した団体も少なくない。


しかしそんな中、岐阜県で行われているイベントの「ポリコレ最先端」なルールに対し、X上では称賛の声が相次いでいるのをご存知だろうか。



このミスコン、何かがおかしい...


ことの発端は、Xユーザー・NiziUのメンバーさんが投稿したポスト。


「岐阜のミスコンでは特に応募基準を定めていないため普通に男性や犬が入賞している」という、何度読み返しても意味が分からない文章が綴られた投稿には、「濃姫まつり」なるイベントのミスコン結果の画像が添えられている。


濃姫グワンプリ

グランプリを獲得したのは綺麗なロングヘアが印象的な女性だが、なんと準グランプリは男性、そして「グ“ワン”プリ」は2匹のコーギーが獲得していたのだった。



「ポリコレの最先端」と称賛相次ぐ


濃姫グランプリ

一見すると「何でもアリ」な無法すぎるイベントにも感じられるが、同ミスコンの募集要項には「年齢、性別、国籍を問わず(生体不問)、『濃姫グランプリ』として岐阜を盛り上げたいという気持ちをお持ちの方』などの条件が多数定められている。


決して、伊達や酔狂で開催されているようなイベントではないのだ。真の意味での「多様性」を反映させたかのようなイベントは、X上で瞬く間に話題に。


濃姫準グランプリ


Xユーザーからは「生体不問なんて単語初めて見たぞ」「これもう、ポリコレの最先端だろ」「下手に配慮するより、これくらいで良い」「これは納得の入賞メンツ」「多様性すぎるだろ」「ワンちゃんたちの名前にも『さん』付けしているのが素晴らしい」など、驚きと称賛の声が多数寄せられていた。


そこで今回は「ポリコレの最先端」と名高い「濃姫オーディション」の詳細について、濃姫まつり実行委員会の会長・佐藤徳昭氏に、詳しい話を聞いてみることに。


すると同イベントをめぐる、戦国武将もびっくりなエピソードが多数明らかになったのだ。



イベント1週間前に「濃姫」が逮捕


「濃姫まつり」の歴史について、会長・佐藤氏は「岐阜には『ぎふ信長まつり』と『道三まつり』という二大英傑にまつわるお祭りがありますが、信長の妻であり道三の娘の濃姫(帰蝶)のお祭りが無く、女性を称えるお祭りが無いのは寂しいと思い、自分で作ろうと思ったのがスタートです。当時、アイドルイベントを主催していた人物と一緒に発足しました!」と、振り返る。


このように、当初は「女性が輝ける」「女性をもてなす」といったテーマに、重点を置いていたイベントなのだ。そして、2019年に開催された記念すべき第1回の「濃姫まつり」を悲劇が襲う。


佐藤氏らは初代濃姫を看板にしてイベント準備をしていたのだが、なんと開催1週間前、翌年の大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)で濃姫を演じる予定だった女優・沢尻エリカが逮捕されるという、センセーショナルな事件が勃発。


そのため、テレビ局を含む各方面から「濃姫が逮捕されましたが、濃姫まつりは開催するのですか?」という問い合わせが多数寄せられたという。イベントの象徴たる「濃姫」にネガティブなイメージがついてしまったのは、あまりにも致命的である。


濃姫まつり


しかし、佐藤氏たちは逆転の発想で「ピンチをチャンスに」と考え、イベントを中止するどころか積極的にPRを重ね、無事にイベントを開催したのだった。



当初は様々なルール制限があったが...


当初は年齢幅が狭く、岐阜県在住、女性限定といったルールが課せられていた「ミス濃姫コンテスト」は、毎年少しづつ基準を変えていく。


その背景について、佐藤氏は「我々はミスコンをやりたいのではなく、濃姫まつりを通じて岐阜の魅力を外に伝えたい...という思いを叶えるには、どうすればいいかと考え、毎年変化させてきました」と、振り返る。


そこでコンテスト名に「ミス」を付けるのをやめ、募集要項の性別欄から「男・女」という選択肢を削除したのだ。


そして第5回ではついに、年齢、性別、国籍、生体種別不問という条件に変更。大胆な路線変更の経緯について、佐藤氏は「ペットやVTuber、AIアバターなどからの応募も可能にしたかったからです」とも説明していた。


濃姫まつり


今回Xを通じて大きな話題となった件について、佐藤氏は「多くの方に『濃姫オーディション』を注目して頂けたこと、非常に光栄に思います」「性別も年齢も国籍も、さらには種を越えて、誰もが『私は濃姫です』と名乗ることができる。そんな寛容で、少し不思議で、でもとても人間味あふれる空間が、今回の反響の根底にあると感じています」と、笑顔を見せる。


続けて、「岐阜県にはテレビのネット局がひとつも無く、供給元は名古屋か東京大阪となります。供給は受けるけれど、吸い上げはされない...という仕組みで、岐阜の情報が外に出ることは稀なため、SNS時代においてバズることはとても重要になります。しかし、バズったから喜ぶと言うよりは、その先に『何を伝えるか』『何が残るか』が問われる中で、濃姫まつりが“地域の光”として少しでも希望を届けられたなら、これほど嬉しいことはありません」と、語ってくれたのだ。


濃姫まつり


ひょっとしたら世界の最先端は、ドバイでもニューヨークでも東京でもなく、岐阜に存在するのかもしれない。



執筆者プロフィール


秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。


新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。


X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。


(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)

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