羽生結弦氏、66年ぶりの連覇を達成した平昌五輪は「頑張ってつかんだ金メダルという感じでした」＜NumberTV＞

2025.05.23 21:00

プロフィギュアスケーターの羽生結弦氏が、5月22日にLeminoで配信された「NumberTV」の第21回に登場した。19歳で世界の頂点に立ち、男子シングルとして66年ぶりとなるオリンピック連覇、その実績と実力で国民的な人気を博した羽生氏。国際大会デビューから華々しい成績を積み上げてきたが、それらは“王者ならではのプレッシャー”や“けがや病気といったトラブル”などを乗り越え続けて成し遂げたもの。番組ではそんな羽生氏の軌跡をたどった。(以下、ネタバレを含みます)

オリンピック初出場で金メダル

同番組は数々のアスリートのドラマを伝えてきたスポーツ総合雑誌「Sports Graphic Number」とLeminoの共同プロジェクトによって誕生した、トップアスリートの人生にフォーカスを当てるオリジナルドキュメンタリー。

4歳でスケートを始めた羽生氏は、2009年にジュニアの国際大会「ジュニアグランプリ(GP)シリーズ・トルン杯」で初優勝したのを皮切りに、同年の「ジュニアGPファイナル」を史上最年少で初優勝、2010年には「世界ジュニア選手権」初優勝と、その才能を開花させていく。

2010年に高校1年生でシニアデビューすると、2年後には「全日本選手権」で初優勝。2013年には連覇を達成し、夢舞台であるオリンピック出場が視界に入ってくる。羽生氏は「それまで“勝てないな”という時期もありましたし、練習しても『うまくならないな』とか『うまくいかないな』という時期もたくさんあったし、『このシーズンだけは絶対負けないわ』というシーズンもありましたけど、この時期はまだまだ自信がなくて、ひたすら自信をつけるために、ただがむしゃらに前を向いて走り続けていた頃ですね」と回顧した。

念願のオリンピック初出場を決めた2014年のソチ五輪。ショートプログラム(SP)は史上初の100点超えで首位発進、フリーでも頂点に立ち、圧倒的な強さでフィギュア日本男子初の金メダルを獲得した。

羽生氏は「自分としては、この試合は割と実力でもぎ取ったというよりも、運も味方して“取れちゃった”というぐらいの感覚だったので、うれしいはうれしいですし、ものすごく努力してきたので、それが報われた瞬間ではあったんですけど、『次の金メダルに向けて頑張らなきゃ』と思っていた」と告白。

追い掛けられる立場になって注目度や期待度が高まったことで周囲の変化に戸惑いながらも、気持ちを切ることなく勝ち続ける“強さ”を求めて競技に向き合う中、2014年11月の「中国杯」最終日、演技直前の練習中に他の選手と衝突して流血。どうにかフリー演技をやり遂げたものの、11月下旬の「NHK杯」では4位に。12月の「GPファイナル」では日本男子初となる2連覇を飾るも、今度は病気が見つかり手術・入院することに。

復帰初戦が平昌五輪「足が震えるほど緊張していて…」

けがや病気と付き合いながらも、2015年に「全日本選手権」4連覇、2016年に「GPファイナル」4連覇、2017年の「世界選手権」では2度目の優勝と快進撃を続けたものの、2度目のオリンピック出場の3カ月前の2017年11月「NHK杯」の公式練習中に右足関節外側靭帯損傷という大きいけがに見舞われてしまう。それにより平昌五輪までの全試合を欠場することに。

満足な練習もできないまま不安を抱えながらの復帰初戦となった平昌五輪だったが、羽生氏は男子シングルとしては66年ぶりとなる五輪連覇を達成。当時について「ショートに関しては本当に足が震えるほど緊張していて、当時は『これが自分のオリンピック最後だ』と思っていたので、『この光景を全部脳裏に焼き付けておこう』と思って、意図的に記憶に残すようにした試合でした」と振り返った。

さらに、あらためて五輪連覇という偉業について「ソチオリンピックは“狙ってはいるんだけど、焦点が定まり切らずにいつの間にか取ってしまった”という形の金メダルだったんですけど、平昌オリンピックは焦点を定めて、照準を定め切って『目の前にあるから、思いっ切り手を伸ばしてつかむ』と思って、頑張ってつかんだ金メダルという感じでした」と述懐していた。

なお、6月19日(木)にLeminoで配信される第22回は、バスケットボール・渡邊雄太選手が登場する。

◆文=原田健