童話の名作をパロディ化…手袋を買いにきた“こぎつね”の様子に「お手々がかわいすぎる」の声【漫画】

2025.05.14 18:30

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、新解釈のおとぎ話を描いた『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』の作者である安堂友子さんに注目し、以前X(旧Twitter)に投稿された『なにかおかしい手袋を買いに』をご紹介しよう。

同作は、児童文学作家の新美南吉さんによる『手袋を買いに』をパロディ化したショート漫画。Xにポストされると、多くの人の関心を集めて10万もの「いいね」が寄せられている。そこで作者の安堂さんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。

手袋を買いにきたこぎつねに興奮する帽子屋さん

ある冬の雪が積もった日、帽子屋の扉が少しだけ開き、すきまから「こぎつね」の小さな手だけが伸びてきて「このお手々にちょうどいい手袋ください」という声だけが届く。店主といえば、「えっきっきつね？こぎつね？まっ前足？いや、お手々？えっプリティ」「うわ～この距離からでもうカワイイ！もっと近くで眺めたい」と興奮している様子。

しかし、奇声を発してしまったら怖がらせてしまうと思った店主は“商売人モード”に切り替え、「先にお金をください」と伝える。それでも心の中では「きっと木の葉で買いに来たんだな」「それともどんぐり？」と思っていたものの、本物の硬貨を出して見せるこぎつね。まさかの展開に、店主は“お手々を見せてくれたうえに儲けまで出させてくれたこと”に心から感謝するのだった。

読者からは「こぎつねのお手々が本当にかわいすぎる」「帽子屋さんの反応に共感」などの反響が上がっている。

作者の安堂さんが好きなおとぎ話は『聞き耳頭巾』と『ねずみのすもう』

――『なにかおかしい手袋を買いに』を創作した経緯を教えてください。

描こうと思ったきっかけは「たまたま思い浮かんだので…ネットにあげられる内容だと思ったから…」です。発端は「子狐の手が覗いても、別に普通に嬉しいな」と思ったことからです。そのまま作中の帽子屋さんの描写になりました。もととなる『手袋を買いに』は授業で習ったのと、絵本が自宅にあったので、幼い頃から親しんできたお話です。季節的にちょうど良かったのもあり、冬の間にと思って描きました。

――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあれば教えてください。

帽子屋さんのモノローグを大量に足していますが、原作から削った台詞はないところです。フキダシ内のセリフとモノローグの一部は原作にそのままの形で載っています。

個人的には混乱と歓喜の混じった3コマ目と「えっプリティ」が気に入っています。読まれた方には「誠実アニマル」という表現がウケていた印象です。

――同作の他にも著書『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』のように、おとぎ話をリメイクした作品が多いですが、こういった作品を描くようになったきっかけがあったのでしょうか？

きっかけは特にないですが、パロディネタが好きでたまたま数が出せたからです。ただ「元ネタを知っている人向け」になるので、メジャーなお話を扱うよう意識しています。

――安堂さんが個人的に最も好きなおとぎ話は何になるのでしょうか？

動物が酷い目に遭わないハッピーエンドのお話が好きなので、『聞き耳頭巾』(ききみみずきん)や『ねずみのすもう』が好きです。どちらも桃太郎などに比べるとメジャーではないので、漫画のネタに採用したことはないのですが。　『聞き耳頭巾』はアニメ『日本昔話』のデータベースにもあるのですが、そこに描かれている子狐の絵がとても可愛いのです。

――読者へメッセージをお願いします。

『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』第4巻(電子版)を作成中です。他の過去作の電子配信も予定しているので、Xやブルースカイをチェックしてもらえると嬉しいです。