「最後から二番目の恋」

中井貴一×小泉今日子の“ヒーローもヒロインもいない”恋愛ドラマ「最後から二番目の恋」最新作を機に振り返る名作の魅力

2025.05.05 10:30
「最後から二番目の恋」

2012年にフジテレビ系「木曜劇場」枠でスタートし、今でも根強いファンをもつ「最後から二番目の恋」。2014年の「続・最後から二番目の恋」に続き、2025年4月からはさらなる続編「続・続・最後から二番目の恋」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)が放送されている。ドラマ大国韓国でもリメイクドラマが制作されるなど、多くの人の心を掴んで離さない同作の魅力はどこからくるのか。普通の恋愛ドラマとは一線を画す本作品の魅力や見どころについて、深掘りしていく。

大人の男女のリアルを描いた恋愛コメディドラマ

「最後から二番目の恋」シリーズはテレビプロデューサーの吉野千明役を小泉今日子が、地方公務員の長倉和平役を中井貴一が演じる。タイトルに「恋」がつくため純粋なラブロマンスをイメージしがちだが、実態はコメディー色の強いホームドラマに近いとも言える。

2012年に放送された第一期では千明が45歳、和平が50歳でそれぞれ独身という設定。しかし2014年の第二期、2025年の第三期と回を重ねるごとに年齢も上がり、それぞれが演じる仕事上の肩書や役割も変化している。またダブル主演の2人以外にも、和平の妹役を飯島直子と内田有紀、弟役を坂口憲二が演じているのも特徴だ。キラキラした10代の恋愛ではなく、しっかりと年齢を重ねた大人同士の恋模様を描く。

ありがちな恋愛ドラマの描かれ方として、脇目もふらない一途で衝動的な若者の恋、世間の目や立場といった障害が立ちはだかるビターな大人の恋…といったテーマはよく見かける。

一方で同ドラマは、年齢を重ねた男女の等身大な恋を映し出す。年齢を重ねているからこその不器用さや臆病さが丁寧に描写されており、多くの視聴者の共感を呼んだ。フィクションほどのドラマティックさはなく、現実ほど冷たくはない。ちょうどいいコメディー要素もドラマの舞台である鎌倉の温かい街並みとマッチしていて、見る人が心穏やかに感情移入できる作品になっているのだ。

視聴者が思わず自分自身と重ね合わせてしまう主人公たち

物語のスタートとなる第一期は、テレビ局のプロデューサーとして働く千明が仕事や年齢に対する焦りから東京を離れ、鎌倉に移り住むところから始まる。親友と一緒に暮らそうと約束していた千明だが、直前になって約束をすっぽかされて途方に暮れていた。そんな彼女の前に現れたのが、若くして妻を亡くして独身生活を送っていた和平だ。

いかにも公務員らしい真面目で堅物な和平と、自由奔放で口が悪い千明。お互いの性格はまさに正反対で、2人はことあるごとに衝突を繰り返す。それでも根が悪いわけではないため、日常生活のなかで少しずつお互いのことを理解し合うように。和平のぶっきらぼうな優しさと、千明の素直になれないもどかしさ。それらは多くの人が「自分にも経験がある」と記憶が刺激されるような、リアルな行動、心の動きと言える。

かつての恋人をネットで検索してみたり、思わぬ若い芽からの好意に戸惑ったり、責任感から勤め上げてきた末に恋の仕方がわからなくなったり…。だからこそ、「もしかしたらさ、もうこの先…恋もしないで終わっちゃうのかもしれない」という言葉の重みが視聴者に強く深く響く。

リアルすぎるアラフィフ女子会の会話や50を過ぎた不器用な男の葛藤を克明に描いたのは、ドラマ「白鳥麗子でございます!(1993)」「イグアナの娘」のほか映画「いま、会いにゆきます」などの脚本も手掛けた岡田惠和。ちょっとした遠慮と苦み、自立した大人同士ならではの思いやりと反発心が垣間見える中井と小泉の掛け合いは、まさに岡田の真骨頂だ。

二期、三期でも2人はしっかり年齢を重ねていき、会話の内容も自然と落ち着いていく。それでも人間としての根本は年齢で変わらず、口の悪い千明はつい余計なことを言いそうになるし、和平はやっぱり言葉選びや態度の表し方が不器用。同作には誰もが恋するようなヒロインや、誰もが頼りたくなるようなヒーローはいない。だがだからこそ、10年という時を経てもなお愛される物語であり続けている。

まさに4月から放送が始まった「続・続・最後から二番目の恋」では、千明と和平がどんな人生の選択をしていくのかに注目したい。なお本シリーズはDVD/Blu-ray作品としてリリースされているほか、2016年にはチ・ジニとキム・ヒエの共演によって韓国でリメイク。この機会に名作を振り返っておけば、最新作のやり取りもさらに楽しめるに違いない。

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