

八代目尾上菊五郎・六代目尾上菊之助、親子インタビュー 襲名への気持ちや放送作品にちなんだエピソードを披露

CS衛星劇場では「特選歌舞伎~八代目尾上菊五郎 六代目尾上菊之助 襲名特集~」と題して、5月・6月に八代目尾上菊五郎と、六代目尾上菊之助の作品を特集放送。5月はテレビ初放送となる『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』、『摂州合邦辻 合邦庵室の場』などの演目に加え、2人の特別インタビューを盛り込んだ「八代目尾上菊五郎 六代目尾上菊之助 襲名記念特別番組」も放送する。今回、放送を記念し、菊之助改め八代目 尾上菊五郎さんと、丑之助改め六代目 尾上菊之助さんに襲名への思いや、放送される演目について話を聞いた。
襲名に向けて今の気持ち、テレビ初放送となる演目の見どころは?
――今年5月、6月の歌舞伎座で、菊之助さんが八代目尾上菊五郎を、丑之助さんが六代目尾上菊之助を襲名されます。今の率直なお気持ちをお聞かせください。
菊五郎:2年前に父(七代目尾上菊五郎)から「お前、(菊五郎を)継げよ」と言われまして、それからさまざまな準備を通して少しずつ気持ちが襲名に向かっている最中です。菊五郎という名前は、その時代ごとに名を刻んできた名優が揃っています。そんな大名跡を継ぐという緊張感もありますが、菊之助として勉強させていただいたことを大切にして、八代目菊五郎として先人たちに顔向けができるように修行してまいりたいと思います。
菊之助:最近はお稽古や取材、撮影などがありまして、菊之助を襲名する心構えが少しずつ調ってきたように感じています。お稽古は型をどんどん覚えて、歌舞伎の基本的な動きを学びながら、役に気持ちを乗せることを心掛けて励んでいるところです。お稽古時間は日によって変わりますが、長いときは朝から夕方までみっちり行なっています。お稽古は厳しく、大変ですが、上達するために頑張ろうという気持ちを奮い立たせています!
――衛星劇場では5月に「特選歌舞伎~八代目尾上菊五郎 六代目尾上菊之助 襲名特集~」と題して、『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』(2023年11月・歌舞伎座)を放送します。作品の思い出や見どころを教えてください。
菊五郎:宮城聰先生の『マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜』を2014年に拝見して、歌舞伎でも上演させていただきたいと思ったところから始まった舞台です。インドにとって大切な物語である『マハーバーラタ』をいかに歌舞伎に落とし込むか、というところから作品作りをしていきました。物語は、パンダヴァとカウラヴァというふたつの勢力の対立を描いていて、勢力争いを繰り返す人間たちを神々が嘆く場面で幕を開けます。注目していただきたいのは、悲哀を秘めた悪女・鶴妖朶(づるようだ)王女を演じている中村芝のぶさん。魅力あふれる鶴妖朶を演じてくださって、芝のぶさんはこの役で読売演劇大賞の選考委員特別賞を受賞されました。稽古を重ねるにつれ鶴妖朶に進化されていく芝のぶさんの姿が印象に残っています。本作は、舞台こそインドですが、その展開は日本でいうところのお家騒動ものに近いものがあり、通し狂言としても非常にわかりやすい物語になっています。一座で知恵を出し合って作り上げた作品です。神と人間の壮大なお話をどうぞお楽しみください。
菊之助:小さいころに『マハーバーラタ戦記』の初演時の映像を見て、特に第三幕の立廻りのシーンにあこがれをもっていました。そんな本作に出演が叶い、とにかくうれしかった思い出があります。僕は、風韋摩王子(びーまおうじ)の息子・我斗風鬼写(がとうきちゃ)と、富と知恵、幸運の神・ガネーシャの二役を演じたのですが、印象に残っているのは、我斗風鬼写からガネーシャへの早替りです。我斗風鬼写のメイクの上に金色の隈をとってみたらどうかと、先輩にアドバイスをいただいて実践したところ、神様らしく見えていい顔になったんです!附立や総ざらいは先輩方に見つめられて緊張してしまい、うまくいかないこともありましたが、お稽古を進めるうちに本番は納得のいくお芝居ができたと思います。
――同じく5月にテレビ初放送される『摂州合邦辻 合邦庵室の場』(2024年9月・歌舞伎座)の思い出などをお聞かせください。
菊五郎:2024年1月31日に文楽の豊竹咲太夫師匠がお亡くなりになり、この年は咲太夫師匠に教えていただいた時代物を多く上演していきたいと考えていました。そして、この『摂州合邦辻 合邦庵室の場』を2024年の秀山祭で上演させていただきました。物語の主人公は、高安家の後妻・玉手御前。継子の俊徳丸を御家騒動から救うために偽りの恋をするという異色のお話で、私が演じた玉手御前は祖父・尾上梅幸が大切にしていた役ですし、私にとっても歌舞伎座が建て替えで閉場している際に大阪で初めて團菊祭が開催されたときに挑戦した役でした。また、通し狂言で勤めさせていただいたことも強く印象に残っています。咲太夫師匠の教えを生かして、俊徳丸への恋の思いを大切にしながら玉手御前に向き合った、思い出深い1作です。
――『雪暮夜入谷畦道 直侍』(2008年10月・歌舞伎座)も放送されます。
菊五郎:『雪暮夜入谷畦道 直侍』は、お尋ね者の片岡直次郎が、降りしきる雪の中で、病に臥せっている恋人の花魁・三千歳のもとへ行くが、追手が迫り……という河竹黙阿弥の名作です。直次郎に手を握られる際に三千歳の手が生暖かいと、会えなかった寂しさが出ないのではないかということで、手を冷やして三千歳を勤めた覚えがあります。
お互いの共通点に……「ないです!」と即答?
――お互いの似ているところと似ていないところを教えてください。
菊之助:似ているところはないです!
菊五郎:即答でしたね(笑)。でも、私もそう思います。基本的には似ていないですが…まじめで突きつめるところは似ているのではないかと思います。いったんスイッチが入ると集中してとことん追求するという一面は似ていますね。
菊之助:やりたいと思ったことを一生懸命掘りさげるところは父譲りです。
――お稽古に打ち込む菊之助さんに、菊五郎さんはどのような気持ちで接していらっしゃいますか?
菊五郎:懸命に食らいついてくるので、こちらは厳しく稽古をつけています。稽古はどうしても厳しくなってしまうものなんです。そのかわり、稽古が終わった後の気分転換を大事にしています。ふたりで食事に行ったり、旅行に出かけたり…。今は襲名の準備に追われて、なかなか旅行に行けないのですが、落ち着いたら温泉に行きたいですね。
――今後の目標を教えてください。
菊五郎:名を継承して、発展させて、広くお伝えするということが襲名の意義だと捉えています。この1年を通して、まずは八代目菊五郎を皆さまに知っていただかなくてはならないので、今は襲名に向けての準備に明け暮れていますが、新作歌舞伎もまた挑戦していきたいですね。また、国立劇場は現在閉場中ですが、復活狂言も引き続き取り組んでいきたいと思っています。
菊之助:菊之助を襲名するので、父のように立役に挑戦して、世話物・時代物の舞台に立ちたいと思います。もちろん、音羽屋は「兼ねる役者」の伝統があるので、女方も挑戦したいです。立役も女方も、“役を演じる”ということに変わりはないですし、心情を大切にするということも一緒です。立役ができるからこそ女方ができるのであって、女方ができるからこそ立役もできるのだと思っています。
――最後に、衛星劇場をご覧の皆様にメッセージをお願いします。
菊五郎:今年5月から襲名興行が始まります。5月・6月の歌舞伎座から始まり、7月は大阪松竹座、10月は愛知御園座、12月は京都南座、そして来年6月に福岡博多座にまいります。衛星劇場をご覧の方で、もしお近くにお住まいの方がいらっしゃいましたら、ぜひ劇場にお越しいただいて、私たち親子の襲名を見届けていただければ光栄です。同時に、テレビでもこれまでの舞台をどうぞゆっくりとお楽しみください。
菊之助:菊之助としての人生の第一歩となる襲名興行が始まります。歌舞伎座、松竹座、御園座、南座、博多座へどうぞお越しください!
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