

もしも、もう一度会えたら…死んだはずの彼女がいる世界でのラブストーリーに「せつない…」の声【漫画】

コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、『ベツフラ』にて連載中の三つ葉優雨さんが描く『キミガイルセカイ』をピックアップ。
三つ葉優雨さんが2月28日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、5,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、三つ葉優雨さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
急死してしまった彼女がいる世界
主人公の黒男は、母子家庭で母親を早くに亡くし、その後引き取ってくれた祖母も14歳の時に他界。それ以来独りで暮らしていた。「生きていることと死んでいることに大差はない。どっちでもいい、なんでもいい」と生きていた黒男。ある日、自分の家で餌をあげている野良猫・ぼん太をきっかけに、同じクラスの風花と出会い、付き合うことで少しずつ心をとかしていく。
しかし、風花は交通事故により17歳という若さで亡くなってしまう。
「風花が死ぬくらいなら 俺が 俺が死ねばよかったんだ…」
風花を失い絶望する黒男。何もやる気がでず家で転がっていた黒男のもとに、久しぶりにぼん太がやってくる。すり寄ってくるぼん太に餌をあげていると、自身も空腹であることに気づく。涙を流しながら食べる黒男を慰めるように、ぼん太は黒男の膝に乗ってきた。さらに“ついて来い”と言っているかのように、ぼん太がある場所へ連れて行く。そこは路地裏にある一軒の空き家で、ぼん太の寝床となっている場所だった。
「またメシ喰いに来いよ」と声をかけ、その家を後にする黒男。門を出ると不思議な感覚に襲われ、「黒男」と名を呼ばれた気がした。気になって空き地へ出てみると、そこには死んだはずの風花が大輔と呼ばれる男子生徒と一緒に猫を探していたのだった…。
作品を読んだ読者からは、「なんだこの切ない話は」「読んでいて切なく、そして優しい気持ちになるとても良い作品」など、反響の声が多く寄せられている。
作者・三つ葉優雨さん「描きたいのはいつも、登場人物のリアルな心情」
――『キミガイルセカイ』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
もともとパラレルワールドに興味があり、パラレルワールド関連の作品を見たり、ネットで書き込みや投稿を検索し読み漁っていた時期がありました。特に、実際に「パラレルワールドに行ってきた」系の投稿がリアリティがあって好きです。そこから、パラレルワールドというものが存在するなら…自分とは違う人生を歩んでいるもう1人の(無数の?)自分が居るとしたら…と想像しました。
そして、私はいわゆるエモい物語が大好きなので、人が運命的なものを感じる時、胸がキュンとする時、何が作用しているのだろうと常日頃から考えています。“運命”と呼ばれるものにはきっと具体的には色々あって、例えば、マンガ的に言うなら実は血縁があったとか、前世からの縁があるとか…。今作で題材としているパラレルワールドも、私たちにそういった運命的なもの、エモい感情をもたらす要因になっているかもしれない…と考えたところから、今作が生まれました。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
私が描きたいのはいつも、登場人物のリアルな心情です。今作のように非現実的な世界観の中でも、登場人物の存在感、感情が読者の方にリアルに伝わり、身近に感じてもらえることを目指しています。そのために、キャラクター本人が私の設定したことを超えて自ら動き出し、喋り出すような感覚になるところまでキャラを作りこんだり延々悩んだりします。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
第1話の、主人公黒男が泣きながらカップラーメンを食べるシーンです。そもそも食事をするシーンを描くと、登場人物の存在がぐっとリアルに、身近になると思うんです。今作のこのシーンでは、屍のようになっていた黒男が身体の要求に応えて食事をし出す。すると感情も動き出して涙があふれます。それでも、泣きながらでも食べる。これは黒男の生きる、前に進む意思を表しています。
――普段漫画を描かれる際、作品のストーリーやキャラクターなどはどのようなところから着想を得ることが多いですか?
“ふっと思いつく”ことが一番多いように思います。ただこれは、何もないところから湧いてくるわけではないな、と割と最近気付きました。色々な刺激が私自身の中に蓄積され、食べ物のように消化した頃にアイディアとしてふっと出てくる、という感じです。なので、蓄積物がなくならないよう、普段から人間観察をして、隣り合った人の何気ない会話を聞いておいたり、様々な作品にふれたりして刺激を得るように心がけています。
ちなみに、このふっと思いつくタイミングは〆切前、作業に没頭しているタイミングだったりします。今そんなヒマないんだけどな、と思うのですが、そのタイミングでメモをしておかないと忘れてしまうので、必ずメモするようにしています。
――三つ葉優雨さんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
お陰様で今年でちょうど、デビュー20年目となりました。しかしまだまだ未熟でして、物語を考えるときもウンウン悩み、作画する時もああでもないこうでもない、やり直し!みたいな感じでマンガを描いています。そういうのってきっと読者さんにも伝わってしまうと思うので、もっとラクに描けるようになって、ラクに読んでもらえるようになれたらなあと思います。その一方で、どんどん膨らむマンガ業界の中で、私が20年漫画家を続けさせてもらえている意味についても考えます。きっと、未熟ながらも私にしか描けないものがあるから描かせてもらえているのだろうと思います。なので、これからも私自身が真に描きたいものを、自分の内側へ粛々と掘り進むことを続けていきたいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
最近は特に遅筆が加速し(ややこしい)お待たせしてすみません…。星の数ほどあるマンガの中から、私の作品を見つけて読んで下さる皆さまに心より感謝申し上げます。
さて皆さま、身体を柔軟に保つことでケガを防ぐ効果があると言うじゃないですか。心も同様かと思います。私の作品に限らず色んな物語にふれて、感情をぐわんぐわん動かして心を柔らかくして、また日常に戻ろうではないですか。しなやかにしたたたかに、生きてゆきたいですね。
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