

北村匠海が“運命的”と語る役柄との出会い「のぶの思いをどれだけ純度高く受け取れるかと考え演じています」<あんぱん>

今田美桜が主演を務める連続テレビ小説「あんぱん」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)。同作は、「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかしと妻・暢をモデルにしたオリジナル作品。戦前から戦後と激動の時代を生きた“ハチキンおのぶ”こと朝田のぶと、夫となる柳井嵩があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでの人生を描いた愛と勇気の物語。
「あんぱん」の物語も第2週の放送を終え、のぶと嵩も成長していく。WEBザテレビジョンでは、のぶの幼なじみであり後の夫・柳井嵩を演じる北村匠海にインタビューを実施。作品・役柄への思いを語ってもらった。
オファーをいただいた際の言葉に心を打たれました
――初の“朝ドラ”出演。オファーを受けた際のお気持ちはいかがでしたか?
オファーをいただいた時は本当にびっくりしました。役者にとって“朝ドラ”や“大河ドラマ”は役者人生の指標になるようなものだと思うので、僕に務まるのだろうかという不安も初めはありました。ですが、自分の人生の一つのチャレンジとしてやってみたいという思いと、オファーをいただいた際に「北村さんの人生観とやなせたかしさんの哲学というものが合致し、あなたしかいない」と言って下さったことに心を打たれて。
やなせさんを演じるということにすごくやりがいを感じますし、やなせさんを自分に降ろして、今の時代だからこそ伝えなければいけないメッセージというものが非常に多くあると思っています。「あんぱん」という温かさを常に持っているドラマだからこそ、普遍的に伝わるメッセージが必ずあると思っていますので、そのきっかけの一つを僕に任せていただいたならば、精一杯頑張らせていただきたいという思いでした。
――事前にやなせさんの本なども読まれたと伺いました。
たくさん読みました。もちろん文字で読む情報も蓄えつつ、僕が特に見ていたのがインタビュー動画でしたね。やなせさんがインタビューを受けられている映像なのですが、やなせさんの思考や哲学、戦争に対する思い、アンパンマンの話などをお話しされていて。声を聞き表情を見ることで、“逆転しない正義”というものへの思いも学べましたし、やなせたかしさんという偉大な方をモデルにした役を演じる上でいろんなことが腑に落ちたような感覚になり、とても助けになりました。
――お話しされているやなせさんをご覧になり、演じる上での思いに変化はありましたか?
僕も含め、多くの方が知っているやなせたかしさんは、「アンパンマン」が世の中に広まり、メディアなどに出られている人生経験を積まれたやなせさんの姿だと思うんです。そのやなせさんは、すごくユーモアがあり、物腰の柔らかさを感じる方で。僕は、そのやなせさんの姿がゴールだと感じたんです。今回、柳井嵩を10代から演じる際に、自分が抱いているやなせさんのイメージのままやってしまうのは違うなと。演じる自分が、いま持っているやなせさんのイメージに最終的に行きつかなければならない、ここに至るまでの人生経験を柳井嵩として歩まなければならないと道筋が見えた思いでした。
この先戦争を経て、嵩がのぶに正義というものを言語化して伝えるというシーンがあるのですが、そこに至る達観というものを、戦争中に経験しなければという思いで撮影に臨んでいます。
「飢え」というものを経験しなければと思っていました
――戦争のシーンの撮影に向けて、準備されたことはありますか?
体重の増減に関してはずっと意識していますね。学生時代は骨の細さ、きゃしゃな体付きを見せたかったので、痩せているんです。その後美術学校へ行き、東京に出る際には、体重を増やして顔に充実感が出るようにと意識していました。そしてそこから戦争に入っていき、最終的には水をも抜くということをしていましたね。体重の増減に関してそれが画としてどう映っているかはもちろんですが、自身のメンタリティーの問題もすごく大きかったと思います。「飢え」というものを経験しなければと思いましたし、その中での芝居でこそ、説得力が生まれると思っていたので。人の生き死にもそうですし、「アンパンマン」が生まれるに至る“食べ物”というものなど、この先の柳井嵩を作り上げる要素が詰まったパートなので、極力リアリティーを持って向き合いたいと思っていました。
――戦争のシーンでは軍服を着用されているかと思います。軍服に袖を通されて撮影に臨まれた率直な思いをお聞かせください。
戦争というものは悪だと思いました。「あんぱん」の現場は変わらず明るいですし温かいですが、戦争というもののつらさが演じているキャスト全員の中に漂っていたような気がします。軍事所作指導の方もすごく丁寧にいろんなことを教えて下さって。芝居自体も、声量も含めて感情を殺さなければならない。個性というものがなくなるんです。嵩としてはすごく窮屈に感じる部分もありますし、戦争のシーンは全てが大変でした。ですが、このような役と機会をいただき、今この時代だからこそしっかりと描いていきたいと身を粉にして臨んでいます。
皆がすてきな感受性を持っている現場だと思います
――撮影現場の雰囲気はいかがですか?
ずっと温かさがある現場です。「あんぱん」という作品は、明るさだけではなく苦しいシーンもたくさんあるのですが、スタッフチームがすごく寄り添って下さって。キャスト陣はどんどん人が移り変わっていきますが、現場全体の空気感は変わらないという印象ですね。撮影を終えて前室に戻ると、メーク部が涙していたりと、皆がすてきな感受性を持ち作り上げている現場だと思います。
――柳井家のシーンも多いと思いますが、ムードメーカーはいらっしゃいますか?
竹野内(豊)さんですね。意図して笑わせようというということではなく、ふとした瞬間に笑いが起きるような、すごくチャーミングな方でした。ちょうど撮影中、竹野内さんが出演されたドラマが再放送されていて、皆で「かっこいいな、ロン毛にしたいな」なんて話していましたね(笑)。
自問自答しながら演じています
――作中、絵を描くシーンは吹き替えなしで臨まれたと伺いました。
絵を描くということは僕にとってすごくなじみのあることでした。小学生の頃から絵画教室に通い、学校の選択授業もずっと美術にしていましたし、本当は美大に行きたかったくらいなんです。もしかしたら嵩と通ずるものがあるかもしれません。上手というわけではないのですが、多少なりとも描くということになじみがあったので。
――「アンパンマン」を描くことはされていますか?
もちろん描く練習をしています。誰しも一度は「アンパンマン」を描いたことがあると思うのですが、いざうまく描こうとすると全然うまく描けなくて。高知でロケをした時も、ホテルの部屋にあるメモにアンパンマンを描いていました(笑)。まず丸を描くのが相当難しいのですが、迷いなく描けるようになりたいと思っています。
――ご自身が絵を描かれるからこそ、やなせたかしさんがモデルの役ということへの思いはありましたか?
やなせさんとお会いしたことはないですが、運命的な出会いだなと感じます。数年前、大人になって改めて「アンパンマン」に出会い直したんです。そこから僕が柳井嵩に出会うまで、子供の時よりももっと深い目線でやなせたかしさんの作品に触れていたので、とても運命的なものを感じています。
――実在の人物を演じる上で、大切にされていることを教えてください。
役者としてアプローチを変えることはないのですが、偉大な方であるからこそ史実的なことも含めさまざまな情報を自分の中に蓄積できることの良さを感じています。とはいえ、やはり実在する方を演じることは自問自答の日々でもあります。やなせさんなら、嵩なら、と自分に問い掛けながら作っていますね。それが楽しさでもありますし、「やなせたかしさんをモデルにした柳井嵩でこの表情ができたから良かったな」と思える瞬間もたくさんあるので、充実しています。
今田美桜さんと二人、一日中泣くお芝居の日もありました
――やなせさんと暢さんの関係についてどのような印象をお持ちですか?
やなせスタジオに伺った際に“果物のむき方”についてのエピソードをお聞きしたのですが、暢さんとやなせさんがお二人でいる時にはやなせさんは暢さん流のむき方でむくんだそうです。ですが、お話して下さった方の前では「本当はね、自分のむき方があるんだけれど、彼女があまりに幸せそうにむくから、僕も一緒に同じように果物をむくんだ」と。暢さんがこれだけ笑顔だからとか、これだけ楽しそうだからとか、そんな温かい優しいエピソードを伺い、その優しさがお二人のあり方だったのだなと思っています。「あんぱん」でも、のぶに対しての優しさを持ちながら、周りから見た時に本当にやなせさんと暢さんのように見えるといいなという心を持って日々過ごしています。
――のぶを演じる今田さんとのお芝居では、彼女のやりたいように、という思いがあるのでしょうか。
のぶとのシーンでは、どちらかというと感情的な面も含めてのぶが引っ張っていくところが多いので、僕は彼女の思いというものをどれだけ純度高く受け取れるかと思いながら演じていますね。二人で一日中泣くシーンの撮影の日もありましたが、お芝居の中でお互いがすごくピュアにやっているからこそ流せる涙というものがあったと思うんです。今田さんに気負わせないような立ち振る舞いや、芝居での受け答えというものを、嵩として意識しています。
――一日中泣いたという撮影はどのようなシーンだったのでしょうか。
各種いろいろな山場が詰まった日があったんです(笑)。のぶと嵩にとってシーソーがある空き地がすごく大事な場面になっていくんですね。空き地では何かが起こると思っていただいて構いません(笑)。本当に涙腺が壊れた日でした。
嵩は「誰かと手をつないで歩きたい」と思っていたのだと思います
――最後に、嵩はのぶのどんなところを好きになったと感じられていますか?
のぶは嵩にできない生き方を真っすぐにしている人です。嵩自身、自分の中でこれが恋だと気付くまでには時間が掛かるんですよね。ライクなのかラブなのか、明確ではない瞬間が多くて。のぶはずっと嵩の前を走っていたと思うんです。のぶが走っていった道が光っていて、嵩はその光る道をたどって歩いていた人生だからこそ、東京に出た時にふとのぶのことを思ったりする。自分の人生に今足りないものはなんだろうかと理解したときに初めて、のぶのことを好きだと気付いたのだと思っています。
人生は一人で生きるのはなかなかに大変です。嵩はずっと誰かと手をつなぎたいのだけれども、それがかなわない人生で。弟の千尋は横で肩を組んでくれるけれど、“自分は誰かと手をつないで歩きたいんだ”という思いがあったのだと。のぶは嵩の前にいたからこそ、なかなか気付くことができなかったのですが、お互いの人生経験を経て初めて横に並んだ時に、この人が大切な人なのだと分かる。そんな物語だと思っています。
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