カラオケの「アジカン割」について『サクラミーツ』／テレビお久しぶり#147

2025.04.11 19:00

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『サクラミーツ』(テレビ朝日)をチョイス。

カラオケの「アジカン割」について『サクラミーツ』

櫻坂46のメンバー(井上梨名、大沼晶保、武元唯衣、増本綺良、小島凪紗)と人気芸人が掛け算されるバラエティ番組『サクラミーツ。』今回の乗数はレインボー。とあるクラブに足を踏み入れたジャンボたかおが、キャストの女の子たちと、日常で遭遇する”二択”について議論していく。個性豊かで非常に魅力的な櫻坂メンバーたちと人柄の良いレインボーの掛け算は成功。非常に面白い番組であった。

二択トークっていいよね。私、こういう話をずっとしていたい。年を取るにつれ、自分の「内側」の話が、なかなかできなくなってきた。自分の悩みや不安であったり、将来のことや恋愛のことであったり……おそらく、自分自身ですべてどうでもいいと思っているのだ。空っぽだから、その空っぽの模様を人に話すまでもないし、こういった二択トークのような、「外側」の話が好きなのだ。共通のテーマがあって、それについて話す、というのが、非常に落ち着く。年を取ると、より自分自身に真剣になっていくかと思っていたのだけど、どうやらそうではないらしい。つのっていくのは諦念ばかりだ。

いくら何でも辛気臭すぎる話をしたところで、実際に番組内で提示された二択について考えてみよう。まず一つ目は、先輩に奢ってもらったあとのお礼メールをするか、しないか。私は、絶対にしたほうがいいと思う。だって奢ってもらってるなら、直接お礼を言うのは大前提で、別れてからも追撃する必要があるだろう。仮に奢ってもらえなかったとしても、別れ際に「今日はありがとうございました。また！」くらいのお礼を言うはずで、奢ってもらったのならば、プラスアルファで何かが必要だと思うのだ。ただ、私はお礼メールってしたことありません。奢ってもらった記憶は数多くあるのにね。ということで私は、いる(自分はしないけど)派です。

二つ目は、旅行のスケジュールを事前に決めるか、その場で決めるか。いや、これに関しては、私は断然その場で決める派。もう、絶対と言ってもいい。もしガチガチのスケジュールを出発前に提示されたら、ちょっと行きたくなくなるくらい。何時にどこに行って、何を食べて、そのあとここに行って……と、工程通りに過ごすことを、旅行と呼ぶのか？少なくとも私にとって、それは旅行ではなく、確認作業である。知らないものに出会いたい。だから旅先でGoogleマップも極力使わない。道に迷ったら、それもそれ。私は初めて新潟に旅行に行ったとき、駅前のサンマルクで２時間過ごした。一体何をやってるんだろうと思ったが、非常に充実した時間で、まったく後悔は無かった。時間すべてを愛するのが旅行だと私は信じている。

そして三つ目は、カラオケで店員が入ってきたら一旦止めるか、歌い続けるか。私は絶対に、一旦止める派。同じく止める派の大沼晶保が「赤の他人に自分が歌ってるところを見られたら死んじゃいます」と言っていたが、まったく禿同。私も死ぬ。対して、元カラオケ店員であるレインボー池田が「客の歌にマジで興味ない」と語るが、私が店員だったら「おっ。歌ってるねえ。盛り上がってるねえ！」としっかり思うから、あまりアテにならない。前から思っているのだけど、刑務所みたいに、部屋の外から料理や飲み物を渡せる仕組みを作ってほしい。まあ、「刑務所みたい」なのは問題かもしれんが、私と大沼晶保は赤の他人に歌ってるところを見られたら死ぬのだから、刑務所みたいなほうがマシ。検討の余地はあると思う。ついでにもうひとつ。私が以前から提唱している「アジカン割」(デンモクにアジカンしか入っていない代わりに安くなる)についても、あわせてご検討いただきたい。

■文／城戸