ドラマ初出演のさや香・新山、監督のスイッチで役柄が激変「後半になるにつれて狙いにいってました」＜トーキョーカモフラージュアワー＞

Travis Japan・松倉海斗が主演を務め、ヒコロヒーが脚本を手掛けるドラマ「トーキョーカモフラージュアワー」(毎週土曜深夜2:30-ほか、テレビ朝日系)が3月22日(土)の放送で最終回を迎える。

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同作は、会社の辞令で突然上京した会社員・宇都宮宏人(松倉)が、バーで出会った年上女性とワンナイトしたことをきっかけに、本音と理性のはざまで揺れ動く男女の恋愛模様が描かれる。

そんな宏人が働く職場では、宏人の話し相手になる新入社員の馬場(大倉空人)と先輩の野田が物語のアクセントになっている。特に野田は宏人とヒロインが出会うきっかけを作る一方、エリート商社マンだが女性との付き合い方に難があり、さまざまな問題に巻き込んでいく一面も。その重要な役どころをお笑いコンビ・さや香の新山が好演している。そこで新山にドラマ初出演の感想や現場での思い出などを語ってもらった。

初めての役柄はうっとうしいけど憎めない

――連続ドラマ初出演が決まった時の感想を教えてください。

いろんなジャンルの仕事をさせていただきたいと思っている中で声をかけていただいたので、うれしかったですね。

――ドラマに出てみたいお気持ちはありましたか？

ありました。やっぱり売れてる感じがするし(笑)。東京に売れに来ているので、そういう意味ではうれしかったですね。

――周りの反応はいかがでしたか？

もらった役柄も商社の先輩サラリーマンということで、「合ってそうやな」みたいなことは言われて、楽しみにしてくれている感じでした。

――脚本はヒコロヒーさんが手掛けましたが、脚本を読んだ感想を教えてください。

僕も脚本を読むのが初めてだったので、まずは自分のせりふのところだけ読んでいたんですけど、お話的には出てくる人にアドバイスしたくなるような役が多いかなと感じました。見ていて一言言いたくなるみたいな、みんながそういう意見を持てるような感じにしているのかなと感じて、それが楽しいというか、自分も参加できるような内容になっているのかなと思います。

――演じる役柄はご自身から見てどんな人物ですか？

最初は、「ほんまに何やこいつ？」みたいに思っていたのですが、途中からだいぶかわいく見えてきて、大倉くんとも合間に話して「野田先輩が一番純粋ですよね」みたいな。かわい気がどんどん出てきて、うっとうしい感じだったのが、どんどん話が進んでいくにつれて憎めない感じがあって、その部分が僕に合っているかもなって。

僕もどちらかと言うと人間関係は嫌われる方から入るタイプなので、蛙亭のイワクラさんとすごく仲が良いんですけど、NSC(吉本総合芸能学院)で出会った当初は僕のことをすごく苦手だったらしくて(苦笑)。僕は思ったことをパンっていうタイプだったからぶつかることも多くて、でもそういうタイプだと分かってから仲良くなったので、野田先輩もそんな感じなのかなと…。女性の誘い方も素直過ぎてストレート過ぎて引かれているけど、悪いやつじゃないんですよ。

――恋愛マスターとしてはどのように感じていますか。

野田先輩はモテへんやろな、とは思いますね。やっぱり馬場が一番モテるでしょうね。でも、馬場が一番悪いんちゃうかっていう説を大倉くんと話してて、すぐ帰るし、結婚は早いし、指輪を外すときは外すし…「馬場くんってたぶんやばいぞ！」って一番悪いんじゃないかなと思ったりしているんですけど、そういう人がモテるんですよね。

みんなで作るのも楽しい

――初めての役を実際に演じてみていかがでしたか？

まず緊張はすごかったです。それと、ドラマ撮影ってこんな感じでやっていくんだって驚きました。最初に段取りをしたと思ったらすぐテストがあって本番って続いて、その早さにびっくりして…。こっちは緊張しているのにせりふが標準語で普段使わないイントネーションだし撮影のテンポは早いしで、余計に緊張していましたね。

――どのようなことを思いながら演じていましたか？

僕も初めてドラマでお芝居をさせてもらいますし、結構ガチガチで一言一句ちゃんとやらなあかんと思っていたので、語尾を変えるなんてできないなって最初は脚本に忠実に演じていたんです。それが徐々に慣れてきて、言葉の順番とか間違えても、テイクを重ねるのであまり気にしないように思い始めたらちょっと楽になって、それで空気をつかめた感じですね。

――監督からはどんな演出をされましたか？

そこなんですよ。最初の打ち合わせで聞いた話と全然違くて。原作の世界観をそのまま出したいって言うんですけど、漫画を見るとドラマっぽい演技っていうよりは自然で身近な演技だったので、僕も極力抑え気味に意識していたんですけど、途中から監督がスイッチ入ったみたいで、「新山さん、ここもうちょっと表情出せます？」「でも、最初自然にっておっしゃっていましたよね？」「うん。もうそれ大丈夫です」って(笑)。表情とか間が欲しいとおっしゃっていただいて、やってみたら面白がってくれて…、後半になるにつれてどんどん狙いにいってました。

――現場での思い出があれば教えてください。

撮影に余裕ができてから松倉くんと大倉くんとたくさん話しました。最初は「家でどんな練習しているんですか？」とか演技の基礎的な部分を聞いていたんですけど、途中からは「どこで飲んでるの？」みたいな普通の話をしていました。

撮影が終盤に差し掛かった頃は大倉くんと馬場についての考察が楽しくて、実はこのキャラこうなんちゃうかって。でもそれって俳優さんも普段からよくするんでしょうね。大倉くんも監督に「ここってこうした方がいいですか？」って積極的に相談していたんですけど、だからこそそういう提案ができるのだと思います。そこは勉強になりました。

それから中打ち上げがあって、ヒコロヒーさんと一緒にみんなで1、2話を見させていただきました。「新山以外全員うまかったよ～」みたいな軽口を言われましたけど、ヒコロヒーさんらしいですよね(笑)。

――またドラマの仕事が来たら挑戦したいですか？

やりたいですね、本当に楽しかったので。今までは自分が作りたい漫才を作ってそのままやっていたので、最初はどうなのかなと思っていたんですよ。芸人さんもタイプによっては自分で作りたい人って多いじゃないですか。

みんなで作るものの一員になることをしてこなかったので、人が考えたせりふを言うのってどうなんやろなって思っていたんですけど、やってみたらすごく楽しかったし、スタッフさんも含めて皆さん優しかったので、本当に演じやすかったです。

東京に来てから起伏が楽しい

――2024年の4月に東京に上京されましたが、心境に変化はありましたか？

大阪時代はルーティンが決まっていたところがあったので、アップダウンがそんなになかったんですよ。だから東京に来てから起伏が楽しいというか、失敗しても「しゃ～ないか」って思うのも楽しいんですよね。ガラッと環境が変わったことが新鮮で、毎回勝負みたいな、プチチャレンジみたいな感じがいいですね。

――作中で主人公たち登場人物がカモフラージュして見栄を張る姿も描かれますが、新山さんがカモフラージュした、見栄を張ったエピソードはありますか？

東京は百貨店が身近にあるので、ブランド品を見ながらルミネとサンローランを行ったり来たりして、そういう見栄を張ったりしています。でも、見栄を張るのは悪いことじゃないと思うんですよね。

僕は結構自信がないタイプなんですけど、自信家に見られがちで。そんなことないんですけど、でもやっぱり自信満々でいった方がええんやろなって。ある種、見栄を張り続けることでそれが本物になったり、心構えがあると見栄を張っている分それに近付こうとしたりする部分がありますからね。

――最後に、見どころとメッセージをお願いします。

物語は笑えるとこも突っ込みたくなるところもあって共感してもらえるだろうし、身近にいる人の延長線上の話なので間違いなく楽しめると思います。

あとは、個人的に僕自身の成長も楽しんでもらいたいです。話数が進むごとに慣れてきて緊張感みたいなものが無くなっていくし、特に後半はいろいろ挑戦しているので見どころですね。自分で見るのも楽しみだし、皆さんにも最後まで楽しみにしてほしいと思います。

「トーキョーカモフラージュアワー」最終回あらすじ

山形のアンテナショップでデートした後、宏人(松倉海斗)は勇気を振り絞って思いを告げ、その気持ちを受け入れたかのようにみえた曽根ちゃん(片山友希)。

二人の新たな人生が幕をあけるのかと思った矢先、「結婚するの、私…」という、曽根ちゃんから飛び出したあまりにも衝撃的な報告に言葉を失う宏人。

しかしその裏には、曽根ちゃんから宏人への1つのうそが隠されていた。曽根ちゃんがこれまでカモフラージュし続けてきた宏人への思いとは。その思いが飽和の量を超えた時、二人の人生は大きな転機を迎えるのであった。

撮影・取材・文＝永田正雄