「山崎豊子生誕100年記念テレビ朝日ドラマプレミアム『花のれん』」で主演を務める北川景子にインタビュー!

北川景子が稀代の女性興行師に…「どんな状況でも希望を捨てずに頑張る姿から、パワーを受け取ってもらいたい」<花のれん>

2025.03.03 12:00
「山崎豊子生誕100年記念テレビ朝日ドラマプレミアム『花のれん』」で主演を務める北川景子にインタビュー!

昭和の名作家・山崎豊子の直木賞受賞作を北川景子主演で映像化するスペシャルドラマ「テレビ朝日ドラマプレミアム 山崎豊子生誕100年記念『花のれん』」(夜9:00〜、テレビ朝日系)が3月8日(土)に放送される。

明治から昭和、激動の時代を駆け抜け、日本のエンターテインメント界の礎を築いた女性の一代記を描く本作で、北川が演じるのは、主人公の河島多加。21歳のときに、大阪・船場の呉服店に嫁ぐも、夫・吉三郎(伊藤英明)は花街や寄席通いに明け暮れ、経営は傾く一方。そこで「いっそ、道楽を本業に」と夫婦で寄席商売を始めることに。その後、あっけなく他界してしまった夫の借金を返すため、多加は持ち前の根性と商才で寄席を拡大していく。

女性プロデューサーの先駆けとして道を切り拓いた稀代の女性興行師の半生を演じる北川に、その役どころや本作への思いなど話を聞いた。

「人間の複雑な感情をリアルに描くのが山崎文学の魅力」

――山崎豊子さんの生誕100周年を記念してドラマ化される本作。学生時代に山崎さんの作品を読みふけっていたとお聞きしましたが、山崎文学のどこに魅力を感じていらっしゃいますか。

私が山崎豊子先生の作品に出会ったのは、小学校高学年のとき。両親が山崎先生の作品が好きで、ほとんどの作品が自宅の本棚に並んでいたんですね。それがきっかけで私も読むようになったんですけど、山崎先生の作品は目の前に情景が浮かぶような文章で、登場人物の気持ちが手に取るように分かる。こんな作家さんがいるんだと、ハマってしまって。人間の美しい部分だけではなく、複雑な感情の部分。汚いところや人に見られたくないようなところも、しっかりとリアルに描いているところに惹かれます。

――本作の主人公となる河島多加は、日本のショービジネスに人生をささげた女性興行師。北川さんは20代から晩年まで、多加の約40年にわたる半生を演じます。

戦争が起きるなど時代がどんどん変わっていって、多加が携わるエンターテインメントの世界も寄席から漫才へと変わっていきますが、最初は付いていけずにどうしようかと迷うような部分が多加にも出てきます。最終的には時代の変化に合わせて、多加は柔軟に考えを変えていく。それが、寄せ商いというビジネスで成功することができた所以なのかなと感じました。人を大切にする熱い気持ち。そういったところは変えずに、ビジネスのやり方を柔軟に変えていく。変わったところ、変わらないところ。そのバランスを意識しながら演じていったように思います。

――多加に共感できるところはありましたか。

子育てをしながら、経営者として仕事に向き合う。その二足のわらじという部分は、私との共通点でもあるので多加を演じながら「私もまだまだやれることがあるんじゃないかな。頑張ろう」と思うことも多かったですね。多加からエールをもらっているような感覚がありました。自分のビジネスがうまくいけばいくほど、息子とうまくコミュニケーションが取れなくなっていくというシーンもありますが、仕事をすることで子供に寂しい思いをさせているんじゃないか、と働く女性の誰もが思うような多加の心情は、すごく理解できたし、共感できるところでした。

「子供たちが大きくなったときに見てほしい作品に」

――多加は困難に直面しても、常に全力で商いに向き合う女性です。その原動力はどこにあると感じていらっしゃいますか。

元々すごく胆力というか、強さを持って生まれた人ですよね。多加は、吉本せい(吉本興業創業者)さんをモデルに書かれたそうですが、周りの人を巻き込みながら自分の意志を貫く。その生まれ持った強烈なエネルギーというのはまねしようと思ってもできるものではありません。それに加えて、嫁ぐときに父親からもらった「船場の人間としてどうあるべきか」という言葉。それをずっと胸に持っていたのかなとも思います。

あとは、夫への愛ですよね。夫が笑ってくれることが彼女の寄席商いの原点でしたから。その夫が思ったよりも早く亡くなってしまったので、残された息子とどう生きていくか。自分がしっかりと働かなくちゃいけない、ということもあったでしょうし。いろいろな状況が彼女を奮い立たせていたのかなと感じます。

――北川さんご自身が仕事に向き合うときの原動力は、どんなものでしょうか。

だんだんと変わってきたような気がしています。若い頃、子供が生まれる前はファンの皆さんのため、というのが一番だったんですね。もちろん、それは今も100%変わっていませんが、そこに自分の子供たちが大きくなったときに見てもらえる作品になったらいいな、という気持ちが加わったように感じています。

こういった時代物の作品は、子供たちにもいい影響があるのかなと思うんですね。こういう方々の生活があったからこそ自分たちの今の生活が成り立っているということを知ってもらうのにいい機会にもなりますし。今は、娘や息子が大きくなって見てくれたときに何か受け取ってほしい、という思いが大きいように思います。

「山崎先生の作品の世界観が好きな方は絶対に楽しめる」

――道楽好きな多加の夫・吉三郎を演じるのは、伊藤英明さん。北川さんとは3度目の共演ですね。

とにかく明るい方、という印象はずっと変わらないですね。誰に対しても分け隔てなくフレンドリーで、伊藤さんが現場に来ると雰囲気がパッと明るくなるんですよね。お芝居になると、スイッチがオンになるので、その切り替えもすごいなと。明るくて華やかで豪快なところは、今回の吉三郎にぴったりだなとも思いました。

――吉三郎亡き後、多加が心惹かれる紳士・伊藤友衛は上川隆也さんが演じます。

上川さんは今回が初めましてで、バラエティー番組でも共演したことがなかったので、お会いしたときに「本物の上川隆也さんだ!」と思ってしまったんですけど(笑)。インバネスを羽織って現れたときのオーラもすごくて。クールな方かなと思いきやお話しするととても穏やか。ニュートラルで落ち着いた雰囲気の方だなと感じました。それこそ(同じ山崎豊子作品の)「大地の子」(1995年、NHK総合ほか)のときのお話なども、いろいろ教えていただきました。

――そして、経営者としての多加を支える剣舞師で番頭のガマ口を演じるのは、甲本雅裕さん。甲本さんとの共演も多いですね。

そうですね。撮影のときは、大河ドラマ「どうする家康」(2023年、NHK総合ほか)のあとだったので、「また一緒だね」とお話ししたりしていたんですけど、甲本さんは私にとって初の時代劇だった映画「花のあと」(2010年)では夫婦役で、今回の「花のれん」では相棒のような関係性。ご縁があるなと思っていたんですけど、同じようなことを甲本さんも感じていらしたとおっしゃっていて、それがうれしかったですね。

――最後に本作の見どころを含めてメッセージをお願いします。

山崎豊子先生の生誕100年記念でのドラマ化ということで、山崎先生のファンの方に面白いと思ってもらいたいと撮影に臨みました。原作をリスペクトした脚本になっていますし、当時の大阪の言葉である“船場言葉”を徹底したこともあり、山崎先生の作品の世界観が好きな方には絶対に楽しんでいただけるドラマになっているかと思います。

個人的には、お仕事をする中で時代劇っていいなと常々思っているんですけど、今回のドラマは笑いあり、涙あり。若い方々にも時代劇って面白いなと感じてもらえるような内容になっています。構えずに気楽に見ていただけたらうれしいです。

また、戦後の復興をエンターテインメントの力で盛り上げるなど、どんな状況でも希望を捨てずに頑張る多加の姿から、何らかのパワーを受け取ってもらえたらとも思っています。苦しい状況に置かれていて、笑う余裕もないという方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう大変な状況の方にも心を寄せたい。そういった祈りもこの作品に込めました。

◆取材・文=吉田光枝

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