「絶対にやりたくない職業」中世の“粉挽き人”を取り巻く過酷すぎる労働環境に驚きの声続出【作者インタビュー】

2025.02.01 09:00

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回注目する漫画家は「COMICリュウ」で『ブルターニュ花嫁異聞』を連載中の武原旬志さんで、以前X(旧Twitter)にポストされた『半分冗談だと思っていた粉塵爆発のお話』という作品をご紹介しよう。

同作は“中世の小ネタ”を解説した一作で、当時の粉塵爆発についてまとめた漫画に1万もの「いいね」が寄せられている。多くの人に注目された同作の作者である武原さんに、創作した経緯について話を伺った。

少しのミスが命取りになる「粉挽き人」とは

中世には、水車や風車を利用して小麦を製粉する「粉挽き小屋」というものが存在した。「粉挽き人」が少しの小麦と引き換えに製粉を請け負うのだが、実は、この製粉作業には多くの危険が伴っていたという。ひとつ例を挙げると、小屋による「巻き込まれ事故」だ。自然の力を利用しているため、緊急停止ができるわけもなく、巻き込まれた後の状態といえば悲惨なものだった。

また、粉を挽く石臼にも危険が潜んでおり、何かの拍子に割れ、さらに石を複数組み合わせた鉄のベルトが切れ、それが人に直撃すれば、ただ事では済まない。そして、粉挽き小屋において最大の事故といえば「粉塵爆発」で、小麦粉は炭水化物によってよく燃える構成らしく…。

想像以上に厳しい環境である粉挽き人の仕事に対し、読者からは「想像しただけで身震いする」「絶対担当したくない仕事」など様々な反響が寄せられていた。

粉塵爆発は当時、冗談抜きで危険視された大事故だった…

――『半分冗談だと思っていた粉塵爆発のお話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

自分の連載作の中で中世ヨーロッパの粉挽き小屋が出てくる話があり、当時の仕組みや風習を調べていたところ、意外と粉を挽く水車小屋が危険に満ちた設備だったとわかりました。それが面白かったので描いてみました。

――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあれば教えてください。

やはり粉塵爆発ですね。それまで小麦粉の粉塵爆発事故は、鉄粉や化学薬品に比べて起こる確立が非常に低い現象だと思っていたんです。創作物語の中で出てきても半分冗談のように受け取っていたのですが、実際は製粉を扱う人たちにとっては危惧すべき身近な偶発事故だったようです。投稿に集まった意見にも過去日本の粉挽き小屋で爆発が起きた話や、縫製工場の糸くずで爆発が起きた話なんかも聞けました。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

石臼が割れて破片が飛んでくるシーンですかね。石臼はゆっくり回るのですが、ひび割れるとそこに大変な圧がかかるため割れた破片は弾丸のように飛んでくるそうです。描いていて一番恐ろしいなと思いました。

――同作にマスクのようなものを被っているキャラがコメントしていますが、こちらは武原さん自身を表したキャラでしょうか？このビジュアルにしたきっかけがあればぜひ教えてください。

はい、自分です。中世ヨーロッパ好きということで最初はわかりやすく鎧兜を被っていたのですが、実際には持っていない貧乏人なので思い直してダンボールの兜に変えてみました。とても気に入っています。

――今後の展望や目標をお教えください。

Xでは連載で描ききれなかった中世の小ネタをよく投稿しています。専門家ではないので資料から見つけた話を紹介するだけなのですが、面白いネタを今後もSNSで他者と共有することで自分の作品にも興味をもっていただけたらと思います。

――読者へメッセージをお願いします。

現在『ブルターニュ花嫁異聞』という中世フランスを舞台にした時代劇漫画を「COMICリュウWEB」にて連載しております。12月13日に5巻も発売されました、試し読みもできるので良かったらチェックしてみてください。