横浜流星

横浜流星は“べらぼう”な努力をして、大河という戦いに挑むに違いない【てれびのスキマ】

2025.02.01 07:00
横浜流星

中3で極真空手の世界王者に

「岡田准一と戦う」(「日曜日の初耳学」2024年11月24日TBS系)

横浜流星は、最近の目標を聞かれて、そんなふうに答えた。岡田准一といえば俳優界屈指の格闘家。ジークンドーやUSA修斗などのインストラクター資格を持ち、ブラジリアン柔術は黒帯。世界大会にも出場した。

対して横浜は中学3年生のときに極真空手の世界大会で優勝し、プロボクシングのライセンスも取得している生粋のストライカー(打撃系)。グラップラー(組技系)の岡田とは対照的なタイプゆえ、本当に実現すれば極めて刺激的な対戦になるだろう。すぐに東京ドームを押さえてほしい。

ところで一口に極真空手世界王者といっても、極真には様々な流派があり、その規模は大きく異なる。彼が所属していた極真会館下総支部松伏道場は、いわゆる松井派。極真の最大派閥といっても過言ではなく、その権威は絶大だ。

チャンピオンから俳優の道へ

同じく極真空手出身で小学生時代から大会で顔を合わせ、現在も仲が良い那須川天心(横浜の2歳年下)も「(芸能界で)空手やってただけみたいな感じの人って結構いるじゃないですか。じゃなくて、もう本当に強かったんですよ。このままキックボクシングとかやったら本当にチャンピオンとか行けるくらい」(「櫻井・有吉THE夜会」2022年1月13日TBS系)と語っている。

事実、横浜は空手専門誌「ワールド空手」2012年5月号で、「下総支部松伏道場 その強さの秘密に迫る」という特集内で、道場の「エース的存在」として取材を受けている。このとき既に俳優としても活動しており、初のテレビドラマ「仮面ライダーフォーゼ」(2011〜2012年テレビ朝日系)に出演中。

取材時も仕事が遅くなり、稽古には間に合わなかったという。俳優の仕事で「空手の稽古時間が少なくなることが悩み」と吐露しているように、このときはまだ比重は空手寄り。一方で、俳優としては、同じ事務所の岡田将生や市原隼人が目標だと語っていた。

“ピンク髪”で大ブレーク

そんな彼は、2年後のスーパー戦隊シリーズ「烈車戦隊トッキュウジャー」(2014〜2015年テレビ朝日系)でトッキュウ4号/ヒカリを演じた。空手の道に進むか、俳優一本でやっていくか迷っていた彼が、この1年半の撮影を通して「芝居の楽しさを知り、『役者としてやっていきたい』と思えた」(「MANTAN WEB」2025年1月3日)という。

だがその後、約1年間、ほとんど仕事がなく、「オーディションで落ちるたびに人生の選択を間違えたのかと悩んだり、自分がやるべきことを見失って迷走していた」(「東洋経済オンライン」2023年8月15日)と振り返っている。この頃は、高い身体能力を活かして「―最強スポーツ男子頂上決戦」(TBS系)にも出演し、「ハードジャンパー」では3位に輝いていた。

そんな地道な活動の末、2019年に初めてプライム帯の連ドラにレギュラー出演した「初めて恋をした日に読む話」(TBS系)でピンク髪の由利匡平を演じ大きな話題を呼び、ブレーク。その後、毎クール出演作が続き、2020年の「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(日本テレビ系)では、GP帯連ドラ初主演を果たした。

少年時代から常に戦いの場に身を投じてきた横浜の“ストイック”さ

プロボクシングのライセンスを取得したのは、2023年公開の映画「春に散る」でボクサー役を演じたため。制作陣からそれを求められたわけではなかったが、ボクシングにもリスペクトがある彼は、「生半可な気持ちではやれない」(同前)と、その覚悟として挑戦した。試合シーンの撮影前日は、体重をフェザー級の57・15㎏に合わせる(しかも前日計量の試合同様、当日はリカバリーして60㎏にまで戻した)ほどのこだわりよう。

「不器用」だからできる限り役になりきりたいし、そのほうが楽しいと横浜は言う。「自分にとって厳しい道をつねに進んでいきたい」(同前)と。そのストイックさに驚くが、それをストイックと言われると違和感があるとも語っている。「自分ができることを本気で取り組んでいるだけ」だと(「CLASSY.」2023年9月26日)。それを世間ではストイックと言うのだが、少年時代から常に戦いの場に身を投じてきた彼にとっては当たり前のことなのだろう。

そしてついに「―トッキュウジャー」終了から10年を経て、2025年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合ほか)で主演を果たした。横浜は、“べらぼう”な努力をして大河という戦いに挑むに違いない。

文=てれびのスキマ

1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2025年3月号

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