ある日、小学生の息子が学校に行けなくなった…作者が体験したリアルな問題に「大変すぎて涙出てきた」「ママさん本当にすごい…」の声【作者インタビュー】
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、花森はなさんがX(旧Twitter)上に投稿した漫画「息子が学校に行けなくなりました。」だ。12月23日時点で2800以上のいいねがつく反響が集まり、話題となっている。今回は作者の花森はなさんに制作の背景を伺った。
小学3年生の息子が突然登校を嫌がる
花森はなさんの息子さんが、小学3年生の3学期の時のこと。冬休みが終わってすぐにインフルエンザに罹ってしまい、クラスも学級閉鎖になってしまう。気付けば、息子さんが学校に行くことを嫌がり学校に行けなくなってしまった。それでも花森さんが付き添い、登校をする日々。
花森さんが原因を探ると、特にいじめられているといった具体的な理由はなく、担任の先生に聞いても教室に入ると普通とのこと。実際に学校から下校すると「楽しかった!」と言うほどだった。
しかし、ある夜寝る前に息子さんが「実はな先生がこわいねん」と、担任の先生が怖いことを打ち明ける。
花森さんは春休み中にどうにか解決したいと思い、児童メンタルクリニックの門をくぐった。
そこではある薬を処方され、その薬を飲むが特に効果は見られなかったのだ。
今作は、そんな花森さんと息子さんが実際に体験したノンフィクション作品である。
実際に漫画を読んだ人達からは「大尊敬」「大変すぎて涙出てきた」「ほんますごい全国のお母さん」「ママさん本当にすごい…」と、いった声があがっている。
今回は、作者の花森はなさんに『息子が学校に行けなくなりました。』の制作について話を伺った。
作者・花森はなさんの創作背景とこだわり
――「息子が学校に行けなくなりました」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
きっかけはやはり子供が不登校になったことです。不登校のあと、少しづつ私が付き添いすることで学校に行くようになったのですが、付き添い登校をした漫画ってあまりないな…と思い、描いてみることにしました。
付き添い登校がこんなにしんどいものと思わなくて、リアルタイムでも他の保護者の方に驚かれることが多かったので、付き添い登校をしている保護者から見た学校という場所の現状や、そのしんどさを少しでも知ってほしいという考えがありました。
――「息子が学校に行けなくなりました」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはありますか?
どこもこだわりなのですが、あえていうのなら、作品を通して「自分の周りにもこういう子はいないかな」というところに気づいてほしいかなと思います。
学校に通い続けていくなかで、しばしば学校の中で困っている子供に出会うことがあります。授業中だけど教室に行きたくなくて座り込んでいたり、学校から逃亡しようとしたり、遅刻してなかなか門に入れなかったり…そういった子は周囲からの視線に敏感です。
私たち親子もさまざまな目で見られました。でも漫画を通して、「こういう子もいるんだな」と頭の片隅に置いておいて頂けたら、「しょうがない子」から「困っている子」に見えたりしないかな…と。作品を通して、そんなお手伝いができないかなと思っています。
――花森はなさんがお子さんのことを漫画にしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
元々コミックエッセイは好きだったのですが、それまで育児エッセイには全く興味がありませんでした。ですので、自分がまさか育児コミックエッセイを書く事になるとは全く思いませんでした。
教室でパニックを起こした息子をなんとか連れ出して、 疲労困憊になりながら非常階段に二人で座っていた時にふとこういったことを漫画にしたくなり、「いつかこのこと漫画にしてもいいかなぁ?」と息子に尋ねたのを覚えています。その時息子は快諾してくれましたが、本人はもう覚えていないので、定期的に「この時の話を描くけどいいかな?」と意思確認をしています。
――普段作品を描く時に大切にしていることや意識していることはありますか?
こうして現実に起きたことを漫画にするにあたって、どこまで真実を正直に描くかというところです。
本当はこの時、悲しくて悔しくて一晩中涙が止まらなかったということをしつこく描いたとしても、作者の自己満足になってしまうので、悲しみは短く、なるべくソフトに。だけど、悲しい感情は確かにここにあったのだということが残るような気持ちで描いています。
――花森はなさんの今後の展望や目標をお教えください。
実は私は40歳を過ぎてから、初めて書籍化のお話をいただいて本を出させていただいたのですけれど、このことが意外にも不登校の息子のちょっとした希望になったようです。
いくつになっても人生は始められるし、変えられる。子供が不登校になったことで一度は絵の仕事も諦めたのですけれど、死ぬまで描き続けたいと思っていますし、不登校だけでなく、さまざまな悩みを持った方々に寄り添えるような作品が描きたいです。
――最後に作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
読者の方からたまに「子供も読んでいます」とお声をいただくことがあります。内容的には、保護者寄りの話ですし、学校のしんどいことを描いたものですのに「自分と同じだ」と言ってくれたりするそうです。
今自分が行っている学校には、学校がつらいと感じて行きづらくなっている子はもしかしたら一人に見えるかもしれませんが、うちの息子も含め全国単位で見るとたくさんいます。
そういった子の気持ちも含め、「ひとりじゃないよ」とメッセージをこめてこれからも描き続けていきたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします。
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