ドラマ〈未成年~〉柴田啓佑監督が語る本作で大切にしたこと「役を背負った2人から生まれるリアルな感情を大事にしてあげたいという気持ちをずっと持っていました」【インタビュー前編】
本島純政と上村謙信(ONE N' ONLY)がW主演を務め、繊細な人間ドラマとBL描写が注目を集めているドラマ「未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~」(毎週月曜深夜1:35-2:05、読売テレビ)がいよいよ佳境を迎える。今回、WEBザテレビジョンでは3、4話以外の演出を務める柴田啓佑監督にインタビューを敢行。「熱量の高いキャストとスタッフで作り上げている」と明かす本作へのこだわりはもちろん、本島&上村の芝居の魅力や現場の様子、クライマックスの見どころまでたっぷりと語ってもらった。
2人の主人公の立場や家庭環境みたいなところの“障害”も含めて、丁寧に描けないかなと思いました
――柴田監督は今作のオファーを受けて原作漫画を読まれたそうですね。最初の印象はいかがでしたか?
“未成年”という思春期ならではの悩みや揺らぎ、同性愛みたいなものがしっかり表現されている作品だと思いました。こういうものを(監督として)描けるんだ、面白いなっていうところで今回のオファーを引き受けることになりました。
――韓国発の作品ですが、制作サイドがこの原作を見つけた経緯は聞かれていますか?
(製作の)エイベックス・ピクチャーズさんが原作の会社と前からご縁があって、その中で見つけたというのは聞きました。日本語訳も出版されていますし。ただ、韓国の漫画なのでドラマの脚本にしていく上でどうしたら日本の作品として成立させられるかというのはいろいろ想像力を働かせました。韓国の原作ならではの良さもちゃんと残るようにしたいと思いましたし。
――監督も脚本に携わっていらっしゃるのですか?
まずは脚本家の方が書いてくださって、それにこちらが意見を投げて…というラリーを繰り返して練り上げた形です。プロデューサーの方など制作サイドも含めて「どういう風にしていくのか」という話を密にしながら。とはいえ、脚本家さんの構成が最初から素敵だったので、基本的にはそこに原作をどうフィットさせていくか、という作業でした。
――日本のドラマとして馴染ませるという部分は、やはり苦労されたのですか?
原作に出てくるいじめなどのエピソードがまさにそうなのですが、ちょっと難しい感じがしました。他にも、文化の違いなどで、日本だとこれは起こり得ないという部分もあって。完全に抜くわけではないけど匂わせる程度にしたり、セリフも“原作のままだとこの言い方は少し変だね”という部分を調整したり。もちろんフィクションではあるんですけど、「ドラマだから仕方ないよね」となるのは避けたかったんです。だから、その部分はこだわってディスカッションしました。「ここは乗り越えられるけど、ここは無理ですよね」とか。基本、どんな作品もそこは真剣に考えるんですけど、許される範囲と許されない範囲があって、その精査を疎かにしてあぐらをかいてモノを作るのは違うなと思っているんです。特に今回は深夜ドラマで、全方位の視聴者というよりは見たい人が見る作品なんじゃないかと思って。その方たちを僕らが軽んじない…という言い方も変ですけど、好きなキャストが出ていて、その人たちが演じていればいいみたいなドラマにはしたくないなと思っていました。
――人物の背景、機微などをしっかり描いていこうと思ったのですね。
“皆さんもこういうことあったよね”みたいな、誰もが通る思春期の揺らぎがありつつ、その中での初恋をしっかり描くということですね。2人の主人公の立場や家庭環境みたいなところの“障害”も含めて、丁寧に描けないかなと思いました。
2人は最初から、現場で芝居をやり出すと水無瀬と蛭川に既になっている感じがあった
――そんな2人の主人公を演じるのは、若手俳優の本島純政さんと、ONE N' ONLYのメンバーとしても活躍する上村謙信さんです。
本島くんは「仮面ライダーガッチャード」(2023年、テレビ朝日系)で主演を務めていて、知っていたんです。上村くんも、EBiDANのお仕事をいろいろやらせてもらっている関係でONE N' ONLYの存在はもちろん知っていました。仮面ライダーで主役を演じた本島くんと、アーティストとしてしっかりエンターテイメントを発信している上村くんという2人のポテンシャルの高さはやっぱりすごいです。どちらも「お芝居の経験があまりないんです」とおっしゃっていたんですけど、毎回、すごく体当たりでやってくれて、監督として彼らのいろいろな魅力やこういう顔が素敵だなっていうのをいつも探しながらやっていました。
――本島さんは他人に無関心な優等生・水無瀬仁、上村さんは“不良”という仮面で本心を隠している問題児・蛭川晴喜の役がとてもハマっています。
そうですね。2人は最初から、現場で芝居をやり出すと水無瀬と蛭川に既になっている感じがあって。普通は数日かかるものなんですけど。それがすごいなって思っていました。本島くん本人の性格はすごく真面目で真っすぐ。それが水無瀬の実直なところや頑固な部分にリンクしていると思いますし、ご自身の中でも、そこを役と重ねながらやっているんじゃないかなって。
――本島さんは儚い表情の演技やモノローグのセリフもいいですよね。
おっしゃるように、本島くんの儚い表情や言葉が出る瞬間というのはすごく良くて、僕も見入ってしまいます。泣けてくるといいますか。ストーリーテラーとしての引っ張る力も強いですよね。この作品は、蛭川に動きがめちゃくちゃあるのでどうしても蛭川に感情を持っていかれやすいんですけど、観客の目線は水無瀬と一緒なので実はそこがすごく大事な部分なんです。水無瀬にはストーリーテラーとしての存在感が必要で、本島くんの水無瀬にはその力がすごくあるなと思います。
――上村さんはいかがでしょうか?
この作品の上村くんはもう、間違いなく大きな犬というか(笑)。
――(笑)SNSでも「大型犬っぽい」と言われていますね。
そこは僕も同意ですし、彼はやっぱり普段のアーティスト活動などを通していろんな自分の見せ方を知っている。かわいい、カッコいいという部分を、蛭川という役で嫌味なく出せている感じがいいなと思います。蛭川ってどこか懐に入るのが上手いというか、周りに勘違いされているだけでフタを開けたらただの映画オタクみたいなところがあるじゃないですか。それが、複雑な家庭環境とかで“不良”という見え方になってしまっていて…。本当は人懐っこくて人との距離も近い男の子なので、そこは上村くん自身とリンクするのかなと思いました。
2人のビジュアルと性格が実は逆というか、そういうギャップ萌えをどれだけ作れるかっていうのはポイントに置きながら演出していました。
――クランクイン前に、監督から2人に役の説明や演技のオーダーはされたのでしょうか?
いえ、衣装合わせのときに軽く話したり、現場で都度、確認作業をしている感じです。水無瀬に関しては「どこか男らしい部分もあるけど原作ほどツンツンしていなくていい。あくまで高校生だから、いつも一緒にいるクラスメイトといるときは普通の高校生でいいし、漫画に引っ張られそうな部分もあるけど、もっとリアルな高校生像に近づけたいと考えている」と言いました。蛭川は「本当にヤンキーなわけじゃなくて、ただマイペースに生きているのを勘違いされて周りにそういう人間が集まっているタイプだから無理してオラつかなくていい。そういう子の中に蛭川がいたら自然と蛭川もそう見えるから大丈夫。なんならどこか女々しいところもあるよ」という感じですかね。僕がどれだけ「こうだよ」って言っても本人たちの中に落ちていなければ芝居の表現に繋がらないので、そういう話を日々、雑談レベルで話していました。
――ロケの都合などで撮影の順が前後するとシーンの時系列の確認も必要になってきますよね。
はい。そこを見るのが監督の仕事なんですけど、本人たちはこういう長い連続ドラマが初めてで、最初は少し戸惑いがあったようです。それで「連ドラはこういうものなんだよ」って言いながら(笑)。「前のシーンはこうだったね。それだと次こうはならなくない?」とか、急にウェットな芝居を見せたときに「まだそんなに泣かない。その涙は後ろに取っておいて」とか。役に入り込むと、どうしても感情が溢れて止まらない瞬間ってあると思うんです。だから決してダメなことではないし、むしろめちゃくちゃ大事な気持ちだけれど作品上はそうじゃないよねっていう整合性の“調整”ですよね。役を背負った2人から生まれるリアルな感情を大事にしてあげたいという気持ちは、僕はずっと持っていました。
――お2人は次第に慣れていきましたか?
なんとなく、体感でつかんでいったんじゃないですかね。2人の吸収力がもうスポンジのようだったので。最初は戸惑っていたかもしれないけど、そんな感じはすぐになくなりました。
――2人が距離を縮めるシーンで演出のポイントに置いていたのはどんなところでしょうか?
まず本島くんって顔が圧倒的にかわいいじゃないですか。上目遣いとか上を向いた瞬間の顔がすごく女性的だなと思うんですけど…でも、言っているセリフは意外と男らしいんです。「家、来る?」みたいな誘いもしますし。逆に蛭川は、ああいう男らしい顔をしているけどしっぽを振ってついていくようなかわいらしい感じがあって。2人のビジュアルと性格が実は逆というか、そういうギャップ萌えをどれだけ作れるかっていうのはポイントに置きながら演出していました。
――他に撮影中のこだわりがあれば教えてください。
カットをなるべく割らず、長回しでいけるところは長回しで撮りたいと思っていました。大事なシーンは顔のワンショットをちゃんと見せるんですけど、できるだけ一連でお芝居をやる時間を作りたくて、そこに割と時間を使いました。お芝居を決める段取りの時間をじっくりとって、本番はもうババッと。あと今回は、それぞれの部署のスタッフが本当にこだわってくれて、例えば夕暮れはリアルに陽が落ちるタイミングで撮れるようにするなどいろんな調整をしてくれたんです。台本以上にいい時間で撮れたシーンもあって、画としてすごくグッとくるなと思います。
【後編へ続く】
■取材・文=川倉由起子
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