最終回を迎える「ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」より杉元佐一(山崎賢人)

<ゴールデンカムイ>植田Pが語るキャストの魅力「杉元のことを山崎賢人さんが一番理解している」最終回の中川大志“鯉登”にも感謝

2024.11.29 20:00
最終回を迎える「ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」より杉元佐一(山崎賢人)

山崎賢人が主演を務める「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」(毎週日曜夜10:00-11:00、WOWOWプライム・WOWOWオンデマンド)が現在放送・配信中。同作は、野田サトルの漫画「ゴールデンカムイ」を原作とし、2024年1月に公開された実写化映画の続編となるドラマシリーズ第1弾。明治末期の北海道を舞台に、山崎演じる元陸軍兵・杉元佐一らが莫大(ばくだい)なアイヌの埋蔵金を巡り争奪戦を繰り広げる一攫千金ミステリーであり、個性豊かなキャラクターたちが相まみえる冒険活劇だ。

第8話の放送を終え、残すは12月1日(日)放送の最終回を待つのみとなった。ますます熾烈(しれつ)になっていく埋蔵金を巡る争奪戦の行方、そして徐々に明らかになっていく登場人物それぞれの過去。そこに新たなキャラクターも登場し、新たな章へと突入していくことを予感させる。

WEBザテレビジョンでは、映画、そして今回のドラマともにプロデューサーとして携わった植田春菜氏にインタビューを実施。本作への思い、役者陣のすごさ、そして最終回の見どころを語ってもらった。

映画と同じ世界観、地続きの作品だと思ってほしかった

——ドラマ「ゴールデンカムイ」とても面白く拝見しています。

ありがとうございます!感想を言っていただけるとほっとします。

――映画からドラマへと、期待値がとても高かったと思います。第1話を拝見したときに地続きの作品なんだなと感じました。

はい、そこは意識した部分でもありました。映画と地続きの作品であり、一つの作品としての世界観のつながりを感じていただけるようにと、1話は映画版でメガホンをとった久保(茂昭)監督にお願いしました。ドラマ版の入り口として、見てくださる方に“同じクオリティー感だな”と思っていただきたいなと。

――第2話では強烈なキャラクター“辺見”(和雄/萩原聖人)が登場しました。

2話以降からはドラマ版ならではのテンションやトーンも出てきます。特に2話は“辺見”の回ですし、それまでとは違ったテンションの在り方への切り替えや、あんばいが悩ましい面もあったんです。でもそこを“辺見”の回だったからこそ、振り切ってうまく突破できたような気がしています。監督、キャスト、スタッフのおかげです。

演じる皆さんが自身の役を本当に愛しているんです

――撮影中現場の雰囲気はいかがでしたか?

ドラマ版に突入してからちょっとずついろんなキャラクターの違う側面が見えてきて、コメディー要素も増えてきています。そこは映画版からの変化かなと思うんですが、役者の皆さんも直前まですごくシリアスなシーンをやっていて、突然面白い感じになったり、またその逆もあったりで、初めはその切り替えに戸惑う部分もあったんじゃないかなと思います。

ですが撮影をしていくにつれて、その突然の緩急が「ゴールデンカムイ」だもんね、という感じで皆さん楽しみながらやっていたのが印象的ですし、良かったですね。

――緩急の付け方が「ゴールデンカムイ」らしさ、持ち味にもなっていった感覚でしょうか?

そうですそうです。なかなか他の作品ではここまで突然の切り替えがあるシーンは少ないので、その緩急の魅力をきちんと表現することが“ゴールデンカムイらしさ”だと皆さんすごく腹落ちしながら撮影してくださいました。

――演じる皆さんも自身の役を大切に演じられているような印象を受けます。

一言二言のせりふのみで出番的には少ない役の方も含めて、本当に皆さん自分の役が大好きで、自分が演じるキャラクターをすごく愛しているんです。メインキャストの皆さんはもちろんそうですし、役者の皆さんの自分の役に対するモチベーションの高さは、なかなか他の作品でも滅多にないくらいのものだと感じています。

――その熱量はどこからきているものなんでしょうか。求心力のようなものは感じますか?

やはり原作の力は大きいと思います。野田先生が描かれているそれぞれのキャラクターの粒立っている感じや、どのキャラも決して埋もれていないところ。見た目も、それぞれの生きざまも特徴があって。特徴のある役柄を演じるという喜びを皆さんが感じてらっしゃるように思います。そこはやはり原作でそれぞれ唯一無二の魅力的なキャラクターとして確立されていたことがすごく大きいんじゃないかなと感じています。

原作の魅力をそのまま詰め込んだ台本から読み取った圧巻の表現力

――第2話で話題になった辺見役の萩原聖人さんが原作を読まずに演じられたと拝見し驚きました。その中でも、辺見を愛して、杉元のことも大好きになったと。

萩原さんはゲストキャラクターでしたので、出番のところで数日間来ていただいて撮影をした形で、ずっと現場にいらしたわけではなかったんです。でも、萩原さんが「突然入ってお芝居して、という役だけれど、山崎さんや山田(杏奈)さんがすごく温かく迎え入れてくれて。スタッフ含めたこの座組がとてもいい空気感だったので、辺見役としても、台本から読み取れるキャラクターとしても、辺見が杉元に惹かれた気持ちがすごく理解ができる」と仰ってくださいました。

——原作を読まれていない中での辺見とは思えないほどに、“辺見”そのものに感じました。

そうなんです。みんなでも言っていたんですけど、“本当に読んでないのかな”って(笑)。それくらいに素晴らしくて。萩原さんと監督の最初の顔合わせの際に、“原作を読んで臨ませてもらった方がいいですか?”とご相談いただいて。監督から「脚本作りの時点で、原作リスペクトでやっているので、自分たちとしては原作の魅力を詰め込んだものとして俳優部の皆さんにもお渡ししています。なので脚本から読み取れる形で演じていただけるのであれば読まずとも」という風なお話もあったんです。そういった経緯もあり、萩原さんも台本からヒントが得られるのであれば、という形で演じ切ってくださいました。

“自分たちがその原作の一番のファンであるべし”と思っています

――原作ファンの方、映画ファンの方、さまざまなファンの方の期待値を乗り越えてくるような作品だなと思うのですが、制作チームの皆さんの中に、この大作を映像化するに当たってのポリシーや、譲れない部分などはありましたか?

WOWOWも漫画原作のドラマの数が多いわけではないんです。自分自身で言うと、仲間りょうさんの「磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~」を実写化させていただいたんですが、その時に漫画原作を実写化するには、大事なポイントがいくつかあるなと実感しました。

まず、その原作の本質をちゃんとつかむこと。自分自身が原作で魅力的に感じるポイントを含め、ファンの方に喜ばれている一番コアな部分は何なんだろうと、そこを間違えない、ということですね。なので、“自分たちがその原作の一番のファンであるべし”と思って制作に当たるようにしています。

また実写化する際、二次元を三次元で表現する上で、どうしてもその漫画の絵の表現通りにならないことも出てきてしまうんです。改変せざるを得ない部分をどう描くかという点も、その作品の一番大事な部分をきちっと理解し押さえていれば、乗り越えられるのかなとすごく思いましたね。そこは脚本の黒岩(勉)さんのお力もとても大きかったと感じております。あとは、やはり一度漫画の中でビジュアル化されているものなので、出来る限り原作のイメージに寄せていくことは鉄則なのかなと。

――ビジュアルに寄り過ぎてしまうと、少し現実離れし過ぎてしまうなど微妙なさじ加減が重要になってくるかと思うのですが、その辺りはどのように進めていかれましたか?

この作品自体がそもそも「キングダム」シリーズを手掛けられている松橋(真三)プロデューサーはじめ、チームの皆さんがいらっしゃるので、実写化の成功例を体験されてきている方々の知見に頼るところが大きかったです。衣装の使用感だったり、メークの部分だったりもきちんと作品の中で“生きた人間”にするところは各部署のスタッフが本当にこだわって作り上げていきましたね。

——特に印象的な方はいらっしゃいますか?

皆さん本当に一人一人作り込んでいるんですが、顔周りの特徴が強いという点でいうと、やはり鶴見(篤四郎/玉木宏)ですかね。額当てもそうですし、ケロイドの感じの材質も特徴的ですよね。“こんな造形のキャラクター見たことない”っていう人物が多い中で、特に特徴的な一人だと思うんですが、生身の人間としてちゃんと命を吹き込むという…その過程でメーク部、特殊メーク部たちの職人技を見せていただきました。

――俳優部含めて各部署に職人が集結しているんですね。

本当にそうですね、結集しています。ありがたいことです。

山田杏奈さんの印象的な瞳がアシリパの生きざまを語ってくれている

――改めて、キャストの皆さんについてお伺いさせてください。まずは主人公・杉元を演じる山崎さんの魅力を教えてください。

私の口から語らせていただくのは恐れ多い部分もあるんですが、山崎さんが本当にすごい俳優だなと思うのは、どんな役を演じてもそのキャラクターになりきっているというところです。「キングダム」や、「陰陽師0」など、どれももちろん拝見していますが、演じているキャラクターのどれもがそれぞれ個性がすごく強いのにどんな役を演じてもその役になりきっていらっしゃる。そのキャラクターとして求められていることにすごくストレートに答えてくださる気がするんです。強いキャラクターを演じ分けられる唯一無二のすごい俳優だなと感じます。

――「ゴールデンカムイ」の現場ではいかがでしたか?

最初の方は、実際に演じていく中で悩まれた部分もあるのかなと思うんですが、そこもすごく丁寧に監督と会話を重ねられていて。特にドラマ版になると、監督が4人います。もちろん全監督に“杉元はこういうキャラクターである”という共通見解はあるんですが、そこを通して演じ切るのは山崎さんなので。監督たちとセッションをしていく中でも、ご自身が思うここのシーンの杉元はこういうことですかね、こういうせりふの言い方がいいですかね、という細やかなやり取りをされていました。やはり、杉元の役は、山崎さんが一番分かっていらっしゃるのかなという感じがしますね。

――では、アシリパ役・山田杏奈さんについてもお聞かせください。

本当にアシリパをやってくださってありがとう、という気持ちが大きいです。ご本人もインタビューなどでお話されていますが、原作ではやはりもう少し若い、子供の設定として描かれているので、成人している自分が演じることに、大丈夫なのかなという不安はすごく抱えてらっしゃったと思います。それでも、制作チームの方々が押してくださるのであれば、その人たちを信じてやってみよう、と。覚悟を決めてくださったことに感謝しています。

――植田さんから見た山田さんの魅力は何でしょうか?

どんなお芝居をやられていてもすごく印象的だなと思うのは“目力”です。何かを見通しているような、意志的な目、というんでしょうか。それがとても特徴的で魅力だと感じています。アシリパは役としても自分の使命を持って生きているアイヌの少女なので、そのアシリパの生きざまをあの印象的な瞳で語ってくださっているなと思いますね。

――山田さんが、20代をアシリパと一緒に生きていく、と語っているのもお見掛けしました。

そうなんです、本当にありがたいです。制作している私たち自身、一番責任を背負ってやらせていただいているんですが、実際見ていただいたファンの方々に楽しんでいただけるかということが、演じられている皆さんも一番ドキドキすると思うんですね。その皆さんに、すごくいい形で手応えや喜ばれている感想などを感じていただけていることが、本当に良かったなと思っています。

鯉登少尉の登場で新しい風が吹き込んできた

――そして最終話、満を持して鯉登(音之進)少尉(中川大志)が登場しますね。

最終話での登場ではありますが、その中だけでも彼の魅力がぎっしりと凝縮されていますので、本当に楽しみにしていただけたらと思います。予告などにも印象的なカットも入っていますので、“多分この辺りはやるんだろうな”と、楽しみにしてもらえたらうれしいですね。

――鯉登少尉はキャスト発表前からその登場にファンの方の熱量を感じました。演じる中川さんの魅力をお聞かせください。

中川さんが、解禁の時のコメントで“僕は鯉登音之進という役を誰よりも愛しています”と言い切ってくださったのが本当に心強かったです。心意気もすてきですし、コメディーパートも担うキャラクターなんですが、振り切って演じてくださいましたね。中川さんご自身のお人柄も気持ちがいい方で。中川さんもですし、山崎さんはじめ皆さん全員本当にプロフェッショナルな方々で尊敬しています。

――皆さん真摯(しんし)に取り組まれていることが、作品からもにじみ出ているように思います。

ありがとうございます。中川さん演じる鯉登が登場するシーンの話で言うと、撮影も終盤の方で中川さんが入られる形だったんです。撮影の組全体としてもリズムが安定した進み方になっていたところだったんですが、そんな中、最後にものすごくパンチのあるキャラクターが突然現れて(笑)。

本当にいい意味で今までの空気感やテンポを壊してくれるような、新鮮な風を送り込んでくださった感じでした。白石(由竹)役の矢本(悠馬)さんも「鯉登の登場で気合がまた引き締まり直した」と言ってらっしゃって、「新たな風が吹き込んできた」と。演じている役者さん同士でも刺激になったという話を伺えましたね。

――ビジュアル面も特徴的ですね。

そうですね、まずインパクトがすごいので(笑)。山崎さんをはじめ、皆さん本当に楽しみながら鯉登を迎え入れていたということが印象的でした。

――完成披露会見でも皆さん本当に仲がいいんだなと感じました。

それはすごく思いますね。大作ですし、長い撮影ですので、出来上がった作品自体も楽しいものだけれど、撮影現場自体も楽しいということがちゃんと画面の外にも伝わるようなチームだったのかなと。とてもいい役者の皆さん、いいスタッフの中でできたことは本当に感謝しています。

――すてきな現場ですね。ちなみに、鯉登少尉のキャスティングの決め手はなんだったんでしょうか。

松橋プロデューサーが中川さんと別のコメディー作品でご一緒したこともあり、もう鯉登のコメディーな感じはぴったりでしょう!というところで、オファーさせていただきました。中川さん以外は想定していなかったです。

最終話での杉元の言葉が、この物語の原動力になっている気がしています

――ますます、最終話での鯉登の登場が楽しみになりました。そして「ゴールデンカムイ」という作品の今後について、ファンの皆さんも期待しているかと思うのですが、今後の展望などお聞かせください。

役者さん自身も、“俺の役ここで終われないでしょ!”と思ってやってくださっている方々が本当に多いですし、私たちとしても、この原作をクレデウスさん(本作の制作会社)と共に預からせていただくことになった時に、とにかく原作を一番いい形で映像化する、というところで託していただけたと思っていますので、気持ちとしてはもちろん最後までやり切りたいなと思っております。

――最後に最終回の見どころと視聴者へメッセージをお願いします。

とても強烈な個性を放つ鯉登の登場というところも見どころですが、このドラマのシリーズとしては一旦完結する最終話となります。杉元とアシリパの旅の本来の目的や、杉元自身の心情が明かされる場面もあります。杉元は多くを語らないキャラクターですが、この最終話でアシリパに向けて語ることが、この物語の原動力になっているのかなと感じます。

杉元たちの旅の行く末がどうなっていくのか、皆さんもきっと見守りたくなるような気持ちになってくださると思うので、必ず最終話を見ていただきたいです!

さらに、とても見ごたえのあるインタビュー集の動画コンテンツや職人技が光るスタッフたちの制作の裏側を紹介しているメーキング番組もお届けしておりますので、そうしたコンテンツも含めて、丸ごと「ゴールデンカムイ」を楽しんでいただければうれしいです。

※「山崎賢人」の「崎」は正しくは「たつさき」

※アシリパの「リ」は小文字が正式表記

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