「天狗の台所 Season2」五箇公貴Pに独占インタビュー!

駒木根葵汰らメインキャストには「三者三様の魅力がある」、ドラマPに聞く“飯テロ必至”な調理シーンの裏側<天狗の台所 Season2>

2024.11.26 07:00
「天狗の台所 Season2」五箇公貴Pに独占インタビュー!

駒木根葵汰主演の火曜ドラマ9「天狗の台所 Season2」(毎週火曜夜9:00-9:30、BS-TBS/全10話)が、現在放送中。原作は、月刊漫画誌「アフタヌーン」(講談社)にて2021年より連載されている田中相の同名コミックで、2023年10月期の木曜ドラマ23枠で放送された「天狗の台所」(BS-TBS)の続編となる本作は、美しい景色や今にも香りがしてきそうな調理シーンがSNSなどを中心に「癒やされる」と話題になっている。このたび、WEBザテレビジョンでは本作のプロデューサーを務める五箇公貴氏に独占インタビューを実施。こだわりが詰まった調理シーンの裏側や、メインキャストの魅力などについてたっぷりと語ってくれた。

好評を博した「天狗の台所」メインキャストが再集結!

前作同様、主演を務めるのは駒木根。天狗の末裔であり、自然をこよなく愛する主人公・飯綱基役を演じている。また、基の幼なじみである愛宕有意役で塩野瑛久、基の弟・オン役で越山敬達が出演。

さらに、基とオンの父・エリス(原田泰造)、母・一乃(渡辺真起子)、犬のむぎ(声:角田晃広)らが引き続き物語を盛り上げる他、「Season2」からの追加キャストとして有意の兄・慈雨役で古屋呂敏、オンと同年代の青年・颯真役で原田琥之佑が出演している。

前作同様のスタッフがそろったことで「中身に対して注力する時間ができた」

――「Season1」を放送して1年で、「Season 2」放送と反響の大きさを感じますが、いつ頃「Season 2」の制作が決定したのでしょうか?

年明け頃にBS-TBSさんの方から「(「Season2」は)どうでしょうか?」というお話をいただきました。「Season1」放送時から評判が良く、TVerの再生数も伸びていたということもあり、放送が終わって少しした頃には「Season2」に向けて、動き出していました。

――ファンの方から「Season 2」放送決定に対して喜びのメッセージが殺到していた印象です、特にうれしかったコメントや、反響の大きさを実感した出来事があれば教えてください。

キャストの皆さんも言っていますが、オンを演じる越山くんと久しぶりに顔合わせをした時に「だいぶ大きくなったな」と感じたんです。

むぎのせりふにも「誰か分からなかったぞ。一年で別人みたいだな」とありますが、視聴者の方にもリアルタイムで成長していくオンに対して、僕らと同じ感情を抱いてくれているとことがうれしくて。

特に越山くんくらいの年齢って一番成長する時期でもあると思うので、見た目の変化というのを一緒に共有できているというのがいいなと感じています。

――本作はキャストのみならず、スタッフ陣もほぼ「Season1」同様だったと伺っています。チームが再集結したときの空気感はいかがでしたか。

全員ではないのですが、メインスタッフに関しては前作同様のメンバーで制作することができました。特に美術チームが今回もドラマの世界観を見事に作り出してくれているので、安心して撮影できたかなと思っています。

映画やドラマを作る際、初対面のスタッフが集まることも少なく、お互い“この人はどういう人なんだろう”、“ものづくりに対してどんな感性を持っているのかな”といろいろなことを考えながら、現場で入ることもあるんです。でも、今回は知った間柄なので、最初から中身に注力することに時間をより割けたので、結果作品のクオリティとしてはいい方向に作用しているんじゃないかなと思います。

オリジナル要素を含む「Season2」の縦軸は、“生活と労働”

――「Season 2」では原作者監修の元、オリジナル要素も多分に含む“天狗の末裔”たちのひと夏の物語を描いていますが、どのようにストーリーを展開していくのか、かなり話し合われたのでは?

原作でオンの一年を描き切る前に、「Season1」でドラマの方がオリジナルの結末を迎え、原作を追い越してしまっていたので、ここから先のストーリーというのはない状態で脚本を作り始めました。

ですが大前提として、縦軸に関わらないところで原作の要素を生かせるところは最大限に生かしたいと思っていました。8月には撮影に入ることもあり、7月には脚本を上げておきたいと考えていたので、それまでに連載している内容を生かしながら、縦軸として何を描くのか決めなければいけないというのが、一番難しかったですね。

――テーマの一つである「生活と労働」を選んだ理由や、どういった部分を大切にしながら、ドラマオリジナルの要素を選定していったのでしょうか?

脚本家さんたちと「どのようなストーリーにしよう」というお話をしていく中で、監督の長島(翔)さんが「“ひと夏の少年との出会い”という部分にフォーカスしたらどうか?」と提案してくださって。

さらに話し合いを重ねる中で、現代社会において、家族であっても、それぞれがそれぞれの人生を生きているし、流れている時間が違う中で共同生活を送っているけれど、それぞれが違う事情を抱えているわけです。

兄・基の影響を受けたオンは、1年で里に戻ってきて、丁寧な暮らしに対して半ば憧れを持ちながら、やろうとしてはみるものの、理想と現実にはギャップがあるもので…。母・一乃もオンの気持ちに応えたいという思いはあるものの、お互いの折り合いのつかなさみたいなものが、人生経験の少ないオンからしてみると納得いかないんですよね。

とはいえ、生きるにはお金も稼がなきゃいけないし、それは簡単なことじゃない。そこで、人はそれぞれの事情を抱えて生きているということを、基との生活の中でオンが学んでいくという部分を今回の縦軸にしようと決めたんです。

――「Season1」では丁寧な暮らしを送る基やオンの生活を覗き見しながら、ただただ癒やされていたのですが、「Season2」では“名もなき労働”をしながら生きる基の姿を見て、どこか親近感を感じました。

実はそのバランスをすごく大切にしていて。脚本家チームに女性が二人いるということも大きいと思っています。岨手(由貴子)さんと、天野(千尋)さんはお子さんを育てながら映画を撮られたり、脚本を書かれたりと、仕事と子育てのバランスを常に考え、そして苦労されています。

家事って、ある意味“名もなき労働”的な側面が大きいじゃないですか。家事に対して対価を支払われているわけではないけれど、誰かがしないと絶対に困る仕事であるわけで。劇中だと、基が森の木を切ったり、おばあちゃんの家の草を刈ったり、川の掃除をしたりしているからこそ、村の人たちとの信頼関係が築けていると思うんです。

それに加えて、土地の管理だとか、野菜を売ったりして、対価を得ながら基も生きているんだということを見せるということが、オンにとっても大切なことで。お母さんは仕事を優先してオンをないがしろにしていたけど、お母さんにも事情があると伝えるための積み重ねとして大切に描くようにしています。

脚本作成と同時進行で、各話監督が“料理台本”を制作

――今回も前作同様の場所で、みんなで寝泊まりをしながら撮影を行ったのでしょうか?

そうですね、企業の研修施設に泊まりながら、そこからみんなで撮影場所に通い、早寝早起きをするという規則正しい生活を送っておきました(笑)。空気もきれいですし、水もおいしいので、都会で撮影をしている時よりも気持ちの抜けがいいというのはあるかもしれません。

――撮影はどのくらいの期間をかけて、行われているのでしょうか?

撮影日数としては1か月くらいなのですが、その前の準備等を含めると約1か月半くらいでしょうか。実は撮影前に料理のリハーサルをやっているんですよ。

作った料理は、実際にキャストたちが食べるので、その時のファーストリアクションを大切にしていて。本当においしくなきゃ、いいリアクションはとれないですから。それに加えて、“フードコーディネーターさんが作ったんだな”と感じるような、プロダクトっぽく見えるのもダメなので、手作り感が残る見た目になるよう、食材や色味にもこだわっています。

――クランクイン前に、全話分の料理シーンのみのリハーサルを行っているんですね?

そうなんです、実は料理台本というものが存在していて。駒木根くんはもともと料理を日常的にしており、かなり上手なので「Season2」では越山くんだけでしたが、「Season1」では駒木根くんにも、そのリハーサルに参加してもらっていました。

まず、スタッフで集まって、どういう工程を映像にするかを話し合うんです。それぞれの話の監督が、長島監督が作ったものに準拠して自分たちで“料理台本”を作ると同時に料理のルックを料理家さんと決めていき、ある程度撮影工程を完成させた状態で現場に入るようにしています。

田中相先生が描く原作には、しっかりとストーリーにリンクした料理が登場しているんです。ドラマでも、その部分はなるべく担保したいと思っているので、料理家さんと脚本をもとにやり取りをしながら、料理のラインナップを組んでいます。時には、田中相先生にも料理のアイデアをいただくこともあります。料理シーン単体にもいろんなこだわりがあるので、ぜひ今後も注目していただけるとうれしいです。

駒木根葵汰、塩野瑛久、越山敬達が現場で見せた“すごみ”と“変化”

――改めて、前作に続き“天狗の末裔”を演じる、駒木根さん、塩野さん、越山さんの印象や魅力についてお聞かせください。

三者三様の魅力があるんです。駒木根さん演じる基は、凛とした佇まいで、自分なりの美学を持って生きていますが、とはいえ29歳の青年なので迷うこともあるというのを上手に表現してくれていて。実写にした時の人間くささみたいなものをいいバランスで出してくれているなと思います。

天狗ですし、羽も生えていますから人間離れしたところも必要なのですが、そのあたりのさじ加減が絶妙で。駒木根くんの基というキャラクターに対する理解力の高さを感じますし、素晴らしいなと思っています。

塩野さんは元々二枚目ですし、フェミニンな感性もある “イケメンなお兄さん”という役が多い印象だったのですが、もっと兄貴っぽいところを見てみたいなと思っていました。それに加え、メインキャストの中では年齢もキャリアも一番上なので、“裏座長”として現場を引っ張ってほしいという我々の思いもお伝えして、有意の役を引き受けていただいたんです。

きっとオンとしては血のつながりがある基よりも、一般人としていろんな葛藤を抱えながら生きている有意の方が共感値は高いと思うので、その辺の関係性をしっかりと築き上げながら、基とオンのメンターでもあるという有意を見事に演じてくれていて、僕らも塩野さんのことを心から信頼しています。

最後に、越山くんですが「Season1」では彼が持っているものがキラキラしていて、僕らがそれを切り取っていくといいますか、彼の存在自体を見ていたのですが、「Season2」ではこの一年間でいろんな現場を経験して、お芝居に対するアプローチが変わったのか、彼から“何かやろう”という気持ちが伝わってきて。オンという役を手探りで演じていた去年に比べて、理解度が増していました。

ドラマの世界観をきっちりと守りながら、そこから逸脱することなくチャレンジしようとしてくれている姿を見て、非常に成長したなと感じました。

前作撮影時は中学三年生ということもあって、スタッフとワイワイ話している姿をあまり見かけなかったのですが、今回はいろんな人に冗談を言ったりするようになったりと、一番変化があったのではないかと思います。

第6話以降は「前半とはまた違う味わいになります」

――新たなキャストたちが登場し、物語は新たな展開を迎えますが、後半戦の見どころと読者へのメッセージをお願いします。

第5話で颯真や、有意の兄・慈雨が登場したことで、基、オン、有意の生活に他者が入り込んでくることになります。それに加えて、今まで描かれてこなかった有意のバックグラウンドが見えてきたり、年上のお兄さんとしか接してこなかったオンが同年代の子と接する中でどう変わっていくのか、という部分が描かれるので、前半とはまた違う味わいになります。

料理もひと夏の話なので使用できる食材が限られている中、試行錯誤をしていろんなバリエーションを心掛けているので、そこにも注目していただけたらと思います!

取材・文=たくあんとほたて

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