モーニング娘。OG・森戸知沙希、人生初のバイトは日本食料理屋「お客さんの言葉に救われました」
カントリー・ガールズやモーニング娘。のメンバーとして活躍、海外での留学期間を経て、今再び活動を活発化させている森戸知沙希。ラジオ番組の新レギュラーが決まったことに加え、11月5日には6冊目となる写真集『Co10r Moment』(カラー モーメント/ワニブックス)も発売した彼女に、アイドル卒業を決めた真相から現在の活動内容に至るまで語ってもらった。(前後編の前編)
森戸知沙希の、今の肩書は何になるのか? 歌手としてステージに上がることもあるが、各種イベントに出演するなどマルチに活動を展開しているようにも見える。あるいは今後、どのような活動を主軸にしていきたいと本人として考えているのか? まずはストレートに現在の立ち位置を尋ねてみた。
「一応、タレントということになると思います。でも、活動の範囲を縛られたくないので、歌手や役者といった肩書はあえて決めていないんです。タレントってすごく守備範囲が広い言葉だから、そういう意味では今の私にピッタリなのかなって。とにかく今はいろんなことをやっていきたいという気持ちがあります」
モーニング娘。の人気メンバーだった森戸がグループを卒業したのは2022年のこと。ファンからは惜しむ声も絶えなかったが、「英語を本格的に学ぶため、海外留学を行う」という本人の意志は固かった。外国語を学ぶなら若いほうが有利なのは当然だが、それ以外にも卒業に傾いた理由があったようだ。
「その時点で、すでにハロー!プロジェクトに7年半くらい在籍していたので、そろそろ次のステップに進みたいという気持ちになっていたのも事実です。というのもカントリー・ガールズだったメンバーたちは、私以外、全員がアイドルから先の道へと進んでいたんですよ。芸能とは全然関係ない世界で頑張っている子もいたし、そこから刺激を受けた部分は結構あって。正直、まだアイドルを続けることはできたと思う。でも、新しい環境に身を置くことのほうが自分にとっては自然だったんです」
最初はハワイ、次にニュージーランド、最後はカナダへ。もともと引っ込み思案な性格だということもあり、短期間でイチから人間関係を構築することにもっとも苦労したそうだ。
「クラスでは自分からグイグイ行かないと友達もできないし、ただただ日が過ぎていくような感覚になってしまいます。だから、留学を経て性格はかなり積極的になったと思います。あとニュージーランドはホームステイだったんですけど、ホストマザーが気を遣ってくれて毎晩『チサキ、一緒にテレビを観よう!』と誘ってくれるんです。その気持ちはものすごくありがたいんですけど、肝心の番組内容が正直あまり面白いとは思えなくて……(苦笑)。でも申し訳なくてそんなことは言えないので、『ハハハ』って感じで愛想笑いを浮かべていました」
人生初となるアルバイトも経験した。バイト先は日本食料理屋だったが、ときには英語のマシンガントークでクレーム対応を受け付けたりもしたという。
「でも、ほとんどすべてのお客さんは優しかったです。一度、カルパッチョをお客さんの手の上に落としちゃったことがあって、そのときはさすがに顔面蒼白になりましたね。だけど『あなたは悪くない。むしろ悪いのは私だ』とか言ってくれて(笑)。どう冷静に考えても私の一方的なミスなのに、あの言葉には救われました。そういう出来事も含めて、私にとって海外生活はすごく貴重な体験でしたね」
語学習得という点を考えると、まだ日本に帰りたくないというのが森戸の本音だった。だがグループを卒業する際にファンの前で「1年半くらいで戻ってくる」と口にした以上、いつまでも引き延ばすわけにはいかない。せっかく身につけた英語力を仕事でも活かしたいと今は考えているという。
「最近、ハマっているのはAIに英語で話しかけること。語学って使わないとどんどん忘れちゃうので、今日食べたものとか行った場所とか軽い愚痴とかなんでもいいので話しかけるようにしています。そうすると英語で相槌を打ってくれるんですよ。本当は母国語が英語の人と会話するのが一番いいんでしょうけど……悲しいことに私は友達が少ないものですから(笑)」
現在、森戸はハロプロOGによって構成されるM-line clubの一員としてライブ活動も行っている。その「M-line Special」は出演者の豪華さから注目度が高くなっているが、バックステージの雰囲気は極めて和やかだという。
「感覚的にはハロコンのシャッフルユニットみたいな感じですね。世代は少し違うけど、やっぱりみんなハロー!プロジェクトのメンバーとして一緒にやってきた仲なので、ステージでもすごく安心感があるんですよ。中でも特によくおしゃべりするのはやっぱり小関舞ちゃんかな。カントリー・ガールズの同期ですしね」
(取材・文/小野田衛)
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