大沢たかお

大沢たかお、ネット社会がもたらす競争激化に「世界中の優れた才能と勝負しなければいけない」

2024.02.09 06:00
大沢たかお

実写化不可能と言われたかわぐちかいじ原作のコミック「沈黙の艦隊」を、Prime Videoが日本初となる劇場版映画を製作し、東宝が配給すると発表されたのが2023年1月。8か月後の9月に劇場公開され、今年2月9日から、映画の完全版およびその後を描いたAmazon Originalドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』が全8話で配信される。壮大なスケールで描く『沈黙の艦隊』のプロデューサーおよび主演を務めたのが俳優の大沢たかお。以前から海外のミュージカル公演に参加するなど、広い視野を持っている大沢が、いま世界と戦うことの熾烈さを語った。

大沢たかお、プロデューサー兼主演「不安や恐怖もありました」

1988年から1996年に漫画雑誌「モーニング」で連載されたかわぐちかいじによる海洋サスペンスを実写化した本作。壮大なスケールゆえに、原作者のかわぐちも「実写化できるわけがない」と思っていたと会見では話していたが、Prime Videoと東宝がタッグを組み、映像技術の発達をはじめ、防衛省・海上自衛隊との協力により、かわぐち自身も「素晴らしい」と唸った作品が完成した。

そんな作品でプロデューサー兼主演を務めたのが大沢だ。2023年9月の劇場公開の際は、「この先も続けたい」という願望を言葉にするにとどまっていたが、12月にはPrime Videoにて劇場版の続きとして、沖縄沖海戦、東京湾海戦が舞台となる物語が展開することが発表され、劇場版でのクオリティに感嘆したファンが続きを観られることに歓喜した。

大沢は「すごく大きな規模で費用も掛かっている。話自体もかなりきわどいというかタブーにも切り込んでいて忖度もなく、直球で勝負している作品」と作品の持つ強いメッセージ性に触れると「ワクワクはありましたが、まったくお客さんが喜んでくれなかったらどうしようとか、外国の人が観て1ミリもピンと来なかったらどうしようという不安や恐怖もありました」と企画を進めていく上での率直な思いを吐露する。

さらに劇場版では、物語全体の序章を描いたのみで、そのタイミングでは続きがあることも明言できなかった。大沢は「フロントマンとして取材対応する際でも、肝心なところが話せなかったので、申し訳ないなという思いはありました」と述べると「全8話のドラマとして観ていただくとき、潜水艦ブロック、地上ブロックなど、ブロックごとにバラバラに撮影をしているので、実際繋がったとき、どんな出来になるのか見えない部分が多かった。だからこそ、我々は精一杯誠実にやり切るしかなかった」と思いを語る。

世界と近くなったことは嬉しい半面、とても厳しい。

Prime Videoによって全世界に配信される本作。夢は大きく広がる一方で大沢は「世界の作品と同じ土俵で戦わなければいけない。それは映画に限ったことではなく、個人のYouTubeなどありとあらゆるコンテンツが溢れているので熾烈な競争になる。多様性がとてつもなく広がっていくなか選択肢も非常に多い。そのなかで選んでもらえるというのは、並大抵のことではないんですよね。世界と近くなったことは嬉しい半面、とても厳しい。世界中の優れた才能と勝負しなければいけない」と競争の激化を勝ち抜いていかなければいけないと実感しているという。

そんななか、大切なのは「作り手の思い」と「一点突破できる作品の強さ」だと大沢は力説する。「突然素晴らしい才能が出てくるのもネット社会。以前は観てもらえなかったものが、何かのタイミングで目に触れて跳ね上がることもある。俳優に関しても、以前は事務所に入らなければ作品に出ることなんてままならなかったのですが、いまはフリーランスの俳優でも芝居はできるんです。作品が人の目に触れて評価されれば、一気に夢が実現できてしまう。だからこそ『なぜこれをやるのか』が重要になるんです」。

また若年層から素晴らしいものを目にする機会が以前よりも格段に上がったという。「僕は父親が結構寛容で、小学生時代にみんながテレビを観ているなか、ハリウッド映画をたくさん映画館で観させてもらったんです。無意識のうちにいろいろなことを学べたのが財産でした。でもいまはInstagramを開けば、いろいろな手法の写真を勉強できるし、映像だってそう。小さいころから本物に触れているから、若い人たちの才能は驚くべきものがある」。

その意味で、本作も「若い人がこの作品を観て『こんな映像作品があるんだ。作ってみたい』とか『こんな俳優になってみたい』と思ってもらえたら、とても嬉しいですよね」と大沢は未来に目を向ける。作品を通して、新しい才能に刺激を与え、あらたな文化を作っていく……。さらに「とてもテーマ性のある作品なので、自分事として思いを馳せてもらえたら最高ですよね」と作品に込めた思いを語っていた。

◆取材・文=磯部正和

◆ST・黒田領

◆HM・松本あきお(beautiful ambition)

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