登録者800万人の海外YouTuber、東映アニメから著作権侵害の申し立てを受ける

ワンピースの料理動画で著作権侵害の申し立て

食文化や料理に関するレビュー動画が人気のロジャーおじさんは、8月27日に「Uncle Roger Review ONE PIECE Japanese Curry（ロジャーおじさんのワンピース日本カレーレビュー）」と題する動画を投稿しました。

ロジャーおじさんが取り上げたのは、人気アニメ『ワンピース』の133話に登場する料理シーン。昼までに美味しいカレーを作らなければ船をおろされてしまう海軍見習いコック・タジオを助けるため、ルフィと共に海軍船に潜入したサンジがタジオにカレーの作り方をレクチャーするという場面です。ロージャおじさんは実際のアニメの映像を流しながらレシピを解説し、アニメにもかかわらず調理プロセスが本格的で細かな描写であると高く評価しました。

その後、ロジャーおじさんはチャンネルのコミュニティ欄を更新し、この動画に東映アニメーションから著作権侵害の申し立てがあったことを報告。5日以内に動画を削除しなければならないため、まだ見ていない人にはそれまでに視聴するよう勧めました。

これにファンからは、「日本は自国の製品にケチだ」「まあ、結局は東映アニメーションだ」「東映はこのことで悪名高い…」といった声が寄せられました。

2021年にも東映アニメの著作権申し立てが話題に

ファンから「結局は東映アニメーションだ」といったコメントがあったのは、2021年に東映アニメーションがおこなった著作権侵害の申し立てを踏まえてのものだと思われます。

2021年、日本アニメの考察動画を投稿していたアイルランドの人気YouTuber「Totally Not Mark」（登録者数84万人）が、東映アニメーションから申し立てを受け、150本の動画が削除されるという出来事がありました。

このYouTuberは自身の正当性を主張するとともに、作品を宣伝する自分をなぜ東映は攻撃するのかと不満を爆発。1億人以上の登録者を持つ「ピューディパイ」もこの問題に言及し、東映アニメーションを「アニメ系YouTuberに興味がない大企業」だとした上で、「日本は著作権に関しては非常に愚か」と批判しました。

結局この問題では、動画の削除はされず、日本国内からのみ視聴が制限されるというかたちで決着していました。

こうした著作権をめぐるトラブルの背景には、海外と日本の法律の違いがあるとみられます。欧米の多くの国では「著作権侵害のコンテンツが世に出るのは必然であり、出たら対応する」という考えに基づき、一定の条件を満たせば、著作権者から許可を得る必要なく著作物を再利用できる「フェアユース」や「フェアディーリング」が認められています。一方、日本ではフェアユースは認められていません。

警告を取り下げた、東映側の真意は？

警告を受けてから4日目、ロジャーおじんさんは再びはコミュティ欄を更新。東映アニメーション側が申し立てを取り下げたため、動画の削除は回避されたと報告しました。ロジャーおじさんは感謝の気持ちを述べつつ、東映側が申し立てを取り下げた理由はわからないとしています。

コメント欄では喜びの声が上がっているほか、

ロジャーおじさんは現在、東映よりもはるかに多くのワンピースの宣伝を行っています。彼らがそれ（申し立て）をやめることを決めたとしても驚かないでしょう。

といった皮肉も寄せられています。

参考: Fandam Wire
https://fandomwire.com/haiyaaa-uncle-roger-got-copyright-striked-one-piece-studio-forced-ultra-popular-youtuber-nigel-ng-remove-sanji-cooking-video/