

脚本家・桑原亮子、ドラマ「舞いあがれ!」で視聴者の心を打った“短歌”への思いを語る

2022年10月から2023年3月まで放送されたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。本作で夢に向かい、ときにまわり道をしながらも懸命に努力する主人公・舞(福原遥)を力づけていたのが、舞の幼なじみの貴司(赤楚衛二)が詠む「短歌」の存在だ。SNSでは、ドラマ本編に加え、劇中に登場する短歌もたびたび話題となり、劇中に登場した貴司の短歌を中心にドラマの登場人物たちが詠んだ短歌や詩を収めた詩歌集「トビウオが飛ぶとき」が刊行されるなど広がりを見せた。8月26日(土)にはドラマに登場した歌人・秋月史子(八木莉可子)と貴司の担当編集者・リュー北條(川島潤哉)が登場するスピンオフのラジオドラマ「歌をなくした夏」(NHKFM)の放送も決定。劇中の数々の短歌も詠んだ「舞いあがれ!」の脚本家、桑原亮子がインタビューに応えた。
生きづらさを抱えた登場人物が詠む歌は…
星たちの光あつめて見えてきたこの道をいく明日の僕は
この歌は、ドラマ「舞いあがれ!」に登場した、いちばん最初の短歌だ。詠んだのは、主人公・舞の幼なじみで隣家に住む貴司。彼の心は繊細で、世のなかの「普通」というものになかなかなじむことができない。生きづらさを抱えながらも社会に出た貴司は、激務で身も心もすり減り、ついに失踪。たどりついたのは、舞が「ばんば」と慕う祖母が住む長崎県五島列島だった。ばんばからかけられたことばによって、「今の自分のままでいい」と思えた貴司は、彼を心配して駆けつけた舞たちの前でこの歌を詠む。ここから貴司の歌人としての人生が始まり、貴司の歌は彼自身だけでなく、夢に向かって奮闘する舞をも支えていくことになる。
赤楚衛二さんの影響で歌が変わりました
――ドラマ「舞いあがれ!」の中で貴司が短歌を詠んだ回は、放送後にSNSに歌に対する感想が飛び交い、その中には、「貴司くんの歌に励まされた」というコメントが多く見られました。短歌はなじみのうすいものであるにも関わらず、多くの人の心に届いたのはなぜだと思われますか?
ひとえに、赤楚衛二さんが作り上げてくださった「歌人・梅津貴司」というキャラクターのおかげだと思います。貴司くんは舞ちゃんが辛いとき、心の底から出たことばで歌を詠みました。純粋なキャラクターが純粋な気持ちで読んだ歌だからこそ、視聴者の方々の心にまっすぐ届いたのではないでしょうか。
――そんな赤楚さん演じる貴司の姿を見る前と後で、桑原さんの詠む歌が変わった…など、影響はありましたか?
ありました。ドラマの中に登場する短歌を作る際には、短歌を通じてそのキャラクターだけの世界が見えてくるように気をつけていたのですが、ドラマの後半は赤楚さん演じる貴司くんこそが「歌人・梅津貴司」だと思い、「この人が詠むならどんな歌だろう?」と考えて作品を作るようになりましたね。
あのクセ強キャラたちの短歌も収録
――スピンオフで生まれた詩歌集「トビウオが飛ぶとき」には、貴司の歌だけでなく、貴司に短歌の道を示した「デラシネのおっちゃん」こと八木巌(又吉直樹)の詩や、貴司の歌の熱烈なファンで、舞の恋のライバルともなる秋月史子、そして個性強めな編集者、リュー北條の短歌も収録されています。
ここに収められている歌は、多くがドラマの収録時には存在していた歌なんです。画面に映る原稿用紙や歌集のページにはちゃんと歌が書かれていないとおかしいので、劇中で貴司くんが読み上げる歌は一首だったとしても、小道具のために二十首ほど提出していて。「トビウオが飛ぶとき」には、そういった歌を収めています。並びやバランスは、劇中で貴司くんがやっていたように、一首ずつ書いた短冊を並べ替えて決めました。
――ドラマ撮影後、新たに詠まれた歌は?
リューさんの歌は、「トビウオ~」のために詠んだものです。リューさんはどんな人生を送ってきた人だろう、というのは脚本を書いているときから考え続けたことなので、あとは「その人生からどんな歌が生まれるだろう?」と考えるだけでした。
――秋月さんとリュー北條が、なぜ短歌を書くようになったのかも気になります。
秋月さんは、善なるもの、美しいものを求めているのだと思います。短歌というフィルターを通すことで、美しい世界に触れていたいのが秋月さんではないでしょうか。リューさんは、高校生の頃から短歌を読むのが好きで、それが高じて自分でも作るようになった人だと思います。「短歌が好きだ」という気持ちが強い人です。ちなみに今回スピンオフのラジオドラマでは、秋月さんが貴司のもとを去ってから2年後の、この2人が登場します。
未来の貴司が詠む歌のテーマは「旅」?
――今回、自分ではない誰かとして歌を詠んだことは、桑原さんにとってどのような経験となりましたか? またご自身の詠む歌にも影響はありそうですか?
貴重な経験になりました。自分では詠まない歌を詠む機会をいただけて、少し視界が広くなったような気がします。この経験が自分の歌にどう影響するのかはもう少し時間が経たないと分かりませんが、ふだんとは違う目で世の中を見るのは、おもしろい経験でした。
――これから先、貴司くんや八木さんたちが詩や短歌を詠むとしたら……?
貴司くんはより広い世界を読むのではないかと思います。テーマは「旅」になるのではないでしょうか。八木さんは「自然」、秋月さんは「恋愛」をテーマに。一度筆を置いてしまったリューさんも、いつかまた、心が震えたときに短歌を詠むと思います。
取材・文/恩田貴子
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