市川美織“再デビュー”は偶然誘われて、世界で人気のDJとレトロ・ポップ・ユニットを組んだ舞台裏
AKB48・NMB48で活動した市川美織は今、久しぶりに音楽活動を始めている。Night Tempo・矢川葵とのレトロポップな音楽ユニット『FANCYLABO』に2023年2月から加入し、デビュー曲リリースにライブ出演と本格的なユニット活動が始動した。なぜこのタイミングでまた音楽を?全くの初対面から始まったユニット加入の秘話や、大切にしてきたことを聞いた。(前後編の前編)
──FANCYLABOは韓国出身のDJのNight Tempoさん、元Maizon book girlの矢川葵さんの2人ユニットだったところに、市川さんが追加加入することになりました。どんなきっかけが?
市川 今振り返ると、偶然続きで運命的だったなって思います。まず友達の竹内美宥ちゃんがNight Tempoさんのアルバムで曲を歌っていた縁があって、私もNight Tempoさんのライブに誘ってもらって、初めて聴いた曲の雰囲気が好きになったところでNight Tempoさんから、新メンバーにというお話をいただいて。何だか面白そうだなってがぜん興味がわいて、やってみようと決意しました。
──FANCYLABOのような、ちょっと昔のシティポップのようなジャンルには興味はあったんでしょうか。
市川 それが、ほとんど知らなかったんです。昔流行っていたというありきたりのイメージしか持っていないところからFANCYLABOの活動を始めて、今はあの時代の音楽をどんどん吸収している日々ですね。私よりずっと詳しくて、当時のポップスを愛している2人のところに入っていってもいいのかな?と戸惑いもありましたけど、かえってまっさらな、新鮮な感覚で当時の音楽に接しているので、そこで化学変化を起こせたらなと。
Winkさんのように、無機質で笑わないところがユニットのカラーでもあるんですが、笑顔が大切だったアイドル時代とは一味違って、自然体で好きなように感情に任せていられるのでリラックスしてお仕事ができています。──けれども、Night Tempoさんにとっては、ユニットのカラーにぴったりマッチしていたようです。
市川 アイドルとして歌ってはいましたが、本気で歌手として活動していた経験はなかったですから…音楽ユニットのメンバーとしてデビューすること自体も全然考えたことはありませんでした。でも、FANCYLABOはプロのアイドルとして土台があって、このユニットが求めるカラーに即戦力でマッチする人を探していたそうです。歌も卓越した歌唱力があればいいという訳ではなくて、クセのないボーカルをNightTempoさんが求めていました。「そんなに上手くないけど大丈夫ですか?」って聞いたら、私の過去の楽曲も聞いてくれていて「全然クセもないし自信を持ってください」って答えてくれました(笑)。
──どんなところがFANCYLABOにマッチした、と思いますか?
市川 ユニットに新メンバーを入れることは構想で決まっていたそうですが、その時に矢川葵さんと雰囲気の合う人でないと、という条件があったようで。他にも候補の方がいたのですが、一番ぴったりだったのが私だったそうです。初めて彼女に会った時、華奢で女の子らしい透明感がすごくって、ずっと年下の人だと思ってたんですよ。だからこんな若い子と一緒にできるんだろうか…と内心思っていたら、実は同い年と聞いてびっくりで!
私も29歳になりましたが、今でも体格と小顔のおかげで若くというか、子どもっぽく見られるじゃないですか(笑)。同い年で華奢で、初々しさを持っているアイドル経験者同士ということで、共通点を感じ取ってもらえたのかなと思います。お互い、こんなにも似た人が世の中にいたんだ!っていう驚きの出会いでもありました。
──実際に矢川さんと一緒に活動してみて、印象はどうでしたか?
市川 葵ちゃんはすごく物静かで、陽気な私とクールな彼女で、ちょうど正反対の個性がかみあっている感じです。でも内面は似ているところもあって、可愛いものが好き同士ですね。彼女は(サンリオの)バッドばつ丸が好きだそうで、またちいかわの話で盛り上がったりしています。──これからはアイドルフェス(7月17日のIDOL SQUARE、 SummerFestival 2023)に出演したり、8月のSUMMER SONIC2023への出演まで決まっていて、音楽イベントで久しぶりにパフォーマンスする機会も増えますね。
市川 FANCYLABOでのソロイベントは2月に経験しましたが、他のグループと共演するフェスは初めてになるのでワクワクしますね。でもその次のサマソニは大きなステージなので不安もちょっと…矢川さんとNight Tempoさんは去年フジロックに出演経験もありますが、私にとっては初めての大舞台になります。
──自身でも予期していなかったレトロポップでの音楽活動で、反響もあったかと思います。
市川 FANCYLABOのことを友達に話すと、すごい!って驚かれることも多くて、その度にここでの活動の影響力や価値を実感します。ついこの間までシティポップも全然知らなかったのに…それに、2月の初イベントで森高千里さんがサプライズ出演されて、私だけでなく親世代の憧れのような人とも共演できて、音楽を通じて両親に恩返しまでできたような気分です。
もし竹内美宥ちゃんがNight Tempoさんと縁がなかったら、彼女からライブの誘いがなかったら、それに私と葵ちゃんの個性がぴったりマッチしなかったらと、運命が少しでもずれていたらこの活動はなかったかもしれません。小柄な体格もユニットにフィットした一因ですね(笑)
──韓国そしてアメリカでも人気のNightTempoさんとの共演で、海外でも知名度が広がるかもしれません。
市川 Night Tempoさんはこれからも遠大なビジョンを持っているようで、絶対ファンを増やしていけるから大丈夫ですと言っていただけたので、プロのアイドル経験を信頼していただいたことに自信を持って、ステージから見える久しぶりの光景を楽しんでいきたいですね。
▼市川美織いちかわ・みおり。1994年2月12日生まれ。AKB48とNMB48のメンバーとして活動。2018年にグループを卒業し、女優、モデルやYouTuberとしても活動中。2023年2月よりNight Tempo・矢川葵とのレトロ・ポップ・ユニット『FANCYLABO』に加入しユニット・デビュー。本年秋公開予定の『夢叶えるサウナ』で映画主演、また8月には舞台『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』に出演する。FANCYLABO 2nd single「Trouble Maker」(ビクター)が8月9日(水)配信予定。
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