

NHKから民放へ転職 自身の悩み・経験生かし制作「しょうもない僕らの恋愛論」山本晃久Pの思い

毎週木曜、日本テレビ系にて放送中のドラマ「しょうもない僕らの恋愛論」(夜11:59-0:54)。眞島秀和演じる優柔不断な40代独身デザイナー・筒見拓郎が、かつて愛した女性の娘・谷村くるみ(中田青渚)との出会いをきっかけに、止まっていた人生が動き始める様子を描く“等身大のヒューマンドラマ”だ。
このほど、本作を手掛ける山本晃久プロデューサーにインタビューを敢行。本作を制作する際に抱いていた思いや、大人世代がリアルに感じられる物語やせりふに込められた秘密、さらには終盤のドラマの見どころまで語ってもらった。
ドラマ「しょうもない僕らの恋愛論」とは
主人公の拓郎は、小さなデザイン事務所に務めるデザイナー。最近はずっと担当していたクライアントの仕事から外れたり、後輩の面倒を見ることも多くなったりと、仕事面で漠然とした不安を抱えていた。
そんなある日、拓郎のもとに、学生時代に想いを寄せた女性・安奈からメッセージが届くところから物語が動き出す。戸惑いとともに再会の予感に期待が膨らむ拓郎だったが、そこに現れたのは安奈の娘・くるみだった。
一方、高校時代からの同級生・絵里(矢田亜希子)とは会えば話が弾む間柄。拓郎はまったく気づいていなかったが、絵里は25年間拓郎に片思いし続けていた。絵里とくるみ、二人の女性との交流を通じて、拓郎は過去にやり残した思いと向き合っていく。
さらに、くるみの幼なじみ・小椋悠(木全翔也)もくるみのことが好きな様子。彼らの関係がどうなっていくのか、また仕事や将来についてそれぞれがどのような選択をしていくのかを、穏やかなタッチで描いていく。
「主人公の境遇とか会社での立ち位置とか、人生にモヤモヤしている感じとすごくシンクロしたんです」
――改めて「しょうもない僕らの恋愛論」をドラマ化されるにあたっての思いと、ここまでドラマを制作されてきて新たに感じたことをお聞かせください。
僕は2022年にNHKから読売テレビへ転職してきたのですが、この枠(プラチナイト木曜ドラマ)って、今までコメディータッチの作品やサスペンスの作品が多かったんです。自分がドラマ企画するにあたって、そっち方面で行くのか、それとも違うテイストのものをやるのかと考えた時に、若干毛色の違うものをやりたいと思っていて。
それでいろんな原作を当たっている時に出会ったのが、このドラマの原作漫画でした。僕は今45歳なんですけど、立場的に管理職の上司と現場で頑張っている部下の気持ちがわかる中間の世代にいることと、今までいた会社を辞めて転職してきたという自分の状況が、主人公の境遇とか会社での立ち位置とか、人生にモヤモヤしている感じとすごくシンクロしたんです。
あとは、「あの時ああしておけばよかった」みたいな、他人から見れば「いつまでそんなこと言ってるんだ」という思いを誰しも一つや二つは持っていると思うんです。「過去に戻れるとしたらいつにするか」みたいな。そういう思いって本来は後ろ向きなんですけど、それがきっかけで前に進めることもあるんだなと、この漫画を見て思いました。
そういう些細なことをちゃんと描くドラマを作りたいなと思ったのが、このドラマを企画したきっかけでした。僕と同じような世代の、特に男性は共感できるところがあるんじゃないかと思って企画したのが最初ですね。
新たに感じたこととしては、ドラマって見てもらうためには展開だったり、事件や出来事だったりが必要だという思いも持っているんですが、意外とこういう何も起こらないような感じで物語が進んでいく作品もゆったり見られて良いなというか。
この時間帯(深夜0時台)ってドラマをゆったり見れますし、登場人物たちの日常に共感してくれる視聴者の方が結構いてくれたのがわかったので、そういった点でこの作品をやって良かったなと。こういうジャンルもあっていいんじゃないかという思いは、ドラマを作りながら感じています。
――毎回リアルタイム視聴や見逃し配信でご覧になった視聴者の皆さんから、SNS等で熱い反響を寄せられていますが、その様子をご覧になっていていかがですか?
やっぱり男性は拓郎の、女性は絵里の気持ちに共感すると思うのですが、皆さんの共感ポイントが僕の思っていたのとは違うところに反応してくれていて。
バー「ちゃらんぽらん」のマスター(嶋田久作)が毎回拓郎や絵里に的確なことを言ってくれるんですけど、「マスターの言ってることが正しい!」とか、拓郎の同級生で自称“ラブソングの帝王”柳(好井まさお)がアドバイスすることに「全然違うわ!」とツッコミが入るとか(笑)。
あと、拓郎がベトナムへの転勤が決まった同級生・宇崎(黒田大輔)と自宅でお酒を飲むくだりで、最初宇崎がたばこを吸おうとしたら拓郎が「換気扇の下で吸え」と言っていたのに、思い出を語りだしたら二人してリビングでたばこを吸いながら和気あいあいとしているシーンに共感されている方もいて。「こういうところに自分の思い出を重ねて見てくださってるんだな~」と、Twitterの反響などを見ていて感じました。
恋愛を描く上で重視したのは、男女それぞれの目線を確認すること
――今のお話にもありましたが、男性目線からしますと過去の後悔に苛まれ続ける拓郎の姿や、学生時代を懐かしむ大人たちの一言一言にグッと来てしまいます。そうした会話や描写について、脚本、演出の皆さんとは制作される上でどのようなお話をされていますか?
この企画をやるにあたって心がけたのは、男女両方の意見を聞けるようにしたいなということでした。原作自体が青年誌に載っている漫画なので、僕は40代の男性としてすごく共感できたんですけど、見方によっては「おっさんが昔を回顧する」ような、ノスタルジーに浸りたい時によく考える感じもしていて(笑)。
これを女性が見た時に「拓郎は何を夢見てるんだ?」となってしまうのは避けなきゃいけないと思って。なので「これは女性から見るとどう思いますか?」と質問して、原作よりも絵里の方の描写を厚くして、女性側の40代の生き方もちゃんと描かなきゃいけないなという話をずっとしていました。
そうした描写を描くにしても、男性陣の間では「おっさんのこういうところ分かるよね」って盛り上がっていた描写を、女性陣が冷ややかというか冷静に見ていることがあって(笑)。
逆もしかりで、「女性はこういう意見を持っているけど、男って実はそうじゃないんですよ」ってことももちろんありましたし。なので、恋愛観の部分などは結構制作陣でしっかり話し合って、一つ一つ確かめながらドラマを作っていきました。
――今お話されていた部分について、眞島秀和さんや矢田亜希子さんとも現場で意見交換などされていたと思いますが、お二人からは「こういう時男性はこうするよね」といった反応などはありましたか?
眞島さんは原作漫画含めて、(作者である)原秀則さんの作品が好きだったそうです。眞島さんご自身も演じる役柄と年齢が近いということもあって、しっくり来ていたみたいです。難しい役だとは思うんですが、ご自身の中で噛み砕いて現場に来てくださいましたし、監督にも「こういうことだよね?」と逐一確認しながら演じておられたのでズレもなかったです。
矢田さんは、ご自身が絵里とはまた違うパワフルな女性なので、「自分は25年間片思いするキャラではないけれど、昔の片思いを消化できなかったが故に自分の中で美化しちゃっている部分は理解できる」と仰っていました。
「25年間抱き続けてきた思いが成就することが果たして幸せなのかどうか」という部分も分かる気がすると仰っていたので、その辺りを意識しながら演じてくださっていたと思います。
中田青渚&木全翔也は「人生のこの時期にしかないパワーを日々現場で見せてくれる」
――番組公式SNSでは若者二人を演じる中田青渚さん、木全翔也さんのオフショットなどがたくさん公開されていますが、お二人の現場での様子はいかがですか。
あの二人は若さがあふれているというか。現場行ってパッと見たら、いつも二人がシーンに出てくる食べ物とか、誰かの差し入れで置いてあるお菓子とか、何かしら食べてるんですよ(笑)。それくらい元気ですし、二人は二人で和気あいあいと喋っていて、役柄の「幼なじみ感」が普段から出ています。
年齢的には二人とも高校生よりちょっと上なんですけど、見ていて「若さってこういうことなんだな」っていうのは感じます。シーンとしてもそれは出ているんですけど、あの時期にしか持っていない、本人も意識していないようなパワーってあるじゃないですか。僕らには取り戻せないような何かを、日々現場で見ているだけで楽しくなりますね。
きっかけは「外部の人と一緒にドラマを作ったらどんな作品ができるだろう」という思い
――山本さんはNHKで長らくドラマ制作に関わっておられた中で、2022年に読売テレビに転職されましたが、ドラマでも拓郎が転職を意識するシーンが出てきます。拓郎は「現場へのこだわり」から転職を考え始めますが、山本さんご自身が転職を決意されたきっかけはどういったことだったのでしょうか。
僕はNHKに入社してからずっとドラマの現場にいたのですが、一時期違う部署にいた時期がありまして。それまでは「ドラマを作ることが自分の仕事だ」と思っていたんですが、初めてドラマではない部署に異動した時に「そうじゃない人生もあるのかな」ということを意識しはじめました。
それから、コロナ禍になって半年くらいやることが無くなった時期があって、その時にもふと「ずっと同じ場所にいる必要もないのかもしれない」と感じました。
あと、NHKでドラマを作っていると、ほぼほぼNHKの中にいる人だけで番組が作れてしまうんです。外部の方もいるんですが、そういう方も気持ち的にはNHKの中の人って感じなので、「この人がこう思っているな」っていうことが大体わかってくるんです。番組を作る上でも、「この座組ならこういう形になるな」というのも想像がついて、実際そこから大きくは外れないんです。
もちろんそれは良いことでもあるんですが、そうではない形で、全然違うことを考えている人たちと仕事をした時にどうなるのかなと考え始めていて。そんな中で、「NHK以外のところで仕事をするのもアリなのかな」と思っていたら、ちょうど読売テレビの募集があるのを見つけて応募したような感じです。
その時は本当に「ふと」というか、「応募してみた」くらいの感覚だったのですが、面接が進むにつれて「これ、通ったら本当にNHKを辞めるのか?」と自問自答しながら帰っていました。採用が決まった時に、そんなに覚悟を持って臨んだわけではなかったんですけど、転機というかチャンスというか、自分にとっての良いきっかけになるんじゃないかと思って決断しました。
「外部の人と一緒にドラマを作ったらどんな作品ができるだろう」という思いは根っこにあったと思うんですが、辞めるのを決意する時ってこんなにあっさりしてるんだと自分でも驚きました(笑)。自分が思っているよりも事がすごいスピードで進んでいくので戸惑いはありましたが、それ以上にワクワクしている感じはありましたね。
――今「NHK時代はほぼ内部のスタッフだけでドラマを作っている」というお話もありましたが、現場の進め方などの部分で「違い」を感じた点があれば教えてください。
助監督の役割分担とか細かな違いはありましたが、ドラマ制作という部分ではそんなに大きな違いはなかったです。あとは「違う価値観の人がたくさんいる」という、先ほどお話しした通りまさにそれを求めて入ってきた部分ですね。
例えばある提案をされた時に、「自分はそれが良いのかよくわからないけど、それを良いと考えている人がたくさんいる」という状況は、NHKにいた頃はあんまりなかったんです。なので、そこは新鮮に感じました。
それから、ちょっと下世話な話かもしれませんが、NHKってCMが入らないじゃないですか。視聴者の皆さんに見てもらうために、CM前とCM明けをどう見せるかとか、PRの仕方をどうするとか、その辺りの感覚もNHKにいた頃はほとんど無かったので新鮮でした。「こういう風にものを考えるんだ」というか。
それぞれの選択は…「皆さんの反応が僕自身も楽しみです(笑)」
――ようやく結ばれ同棲し始めた拓郎と絵里がどうなっていくのか、また幼なじみのくるみと悠の関係がどうなるのか大いに気になるところですが、終盤に向けた今後の展開について見どころを教えてください。
まずは、25年越しの思いを実らせ付き合い始めた拓郎と絵里の恋愛が良い方に転がっていくのかですね。40代男女の「未来の考え方」や「気持ちのスピードの違い」みたいなことが、二人の関係にどう影響するのか注目です。
あとは、今拓郎が直面している仕事の問題―現場でやっていきたいのか、マネジメント側へ行くのかという部分。くるみについては、自分の進路もそうですし、拓郎に抱いた気持ちにどう決着を付けるのかが見どころになります。
終盤にかけて、各キャラクターが恋愛面、仕事面、将来面について、それぞれある選択をしていきます。その選択が正しいのかどうかに加えて、「そういう決め方するんだ!」という選択の仕方についても共感できるか、ご自身の人生と重ね合わせながら見ていただけるとうれしいです。彼らの決断を男性目線と女性目線でどう感じるのか、皆さんの反応が僕自身も楽しみです(笑)。
3月9日(木)放送 「しょうもない僕らの恋愛論」第8話あらすじ
自身が過去に装丁を手掛けていた漫画家・ワカタマコの展示フェアを訪れた拓郎(眞島秀和)は、自分に代わって装丁を担当した若手クリエイターの仕事ぶりを目の当たりにする。そんな中、フェアに来ていたくるみ(中田青渚)と再会した拓郎は、くるみが美大にチャレンジすることを知り刺激を受ける。
やる気に満ちた拓郎だったが、職場であるデザイン事務所「JIRO」社長の二郎(杉本哲太)から、経営を手伝ってほしいと打診される。これまで自分を育ててくれた会社に感謝の気持ちがある一方、まだまだ現場で仕事をしたい拓郎は、独立も視野に入れ始める。
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