観客は一部始終の目撃者となる ハイブリッド・イマーシブシアター「同窓会~優しくて残酷な彼を偲んで~」

2023.01.12 19:52
提供:2.5ジゲン!!

1月11日(水)、東京・マリーグラン赤坂にてハイブリッド・イマーシブシアター「同窓会~優しくて残酷な彼を偲んで~」が開幕した。

本作は、会場と全公演リアルタイムで行われる配信との両方で楽しめる作品。観客は、会場では同窓会に出席した人物として、オンラインでは物語の目撃者として、それぞれの方法で作品に参加できる新しい試みが設けられている。

開幕に先がけ、関係者が着席した状態でのリハーサルと取材会がおこなわれた。取材会への出席者は、玉城裕規、和田琢磨、三浦涼介、陳内将、定本楓馬、松島勇之介、脚本・演出のほさかよう、日替わりゲストの石川凌雅。

高校時代はいじめにあっていた、元登山サークルメンバーの高城優斗を演じる玉城裕規。「(脚本・演出の)ほさかさんの世界観に、とても素敵で“変”な役者の皆さまが生きております。(“変”に対して玉城に「筆頭にな」と三浦から突っ込みが入る)この世界観にお客さまとともにいられることを大切に、大事に。精いっぱい作っていきたいと思います。一緒に同窓会を楽しみましょう」とファンへ呼びかけた。

大学を卒業後、大手企業に勤めている佐倉匠役の和田琢磨。「本作は、恐らくは私が今までやってきた作品の中でもお客さまとの距離が一番近いものになります。お客さまが入って初めて完成するので、幕を開けないとどうなるのか分かりません。素晴らしい役者の方々と存分に力を出し合って楽しんでいきます」と力を込める。

続けて「これまで配信は、劇場で観られない方のために補う意味での配信がされていました。しかし本作は、配信でなければ楽しめない部分もある新しい作品です」と、“ハイブリッド演劇”の醍醐味をアピールした。

大学時代は遊び人だった三村玲一を演じる三浦涼介。「限られた稽古期間の中で、ほさかさんと、素晴らしいキャストの皆さんと、濃厚で濃密な時間を過ごさせていただきました。いろいろなことが制限される時勢下で、我々が、新たな演劇の形に挑戦することを楽しみにしていただければ」と、大きな挑戦である本作へ期待を込めた。

大学の登山サークルでは副部長を務めていた、山を真剣に愛する葉山正太郎を演じる陳内将。「お客さまも『イマーシブシアターってどういうものなんだろう?』と思っていらっしゃると思います。お食事が付いていたり、とても近い距離でお芝居を観られたり。演劇的にも、話の仕組み的にもいろいろな発見があります。お友達とたくさん楽しみを共有してもらえたら…それはもう、まんまとほさかさんの手中におさめられてしまっているということになります」と、本作が“ほさかワールド”への招待状であること匂わせた。

白石双葉役の定本楓馬。「本作では、お客さまも登場人物の1人です。いつもの舞台もお客さまと一緒に作り上げていくものですが、本作はそれがより一層深まっています。ドキドキしながら観ていただければ」と、観客も参加者であることに力を込めた。

役名は作中以外で伏せられている人物を演じる松島勇之介。「“同窓会”は、懐かしい友人や昔好きだった人などに会えて、いろいろな思いを感じられる場だと思います。皆さんには、同窓会のメンバーの1人として参加していただくことになるので緊張していらっしゃるかもしれません。でも、その緊張感も楽しみにしていただけたら」と参加者となる観客に呼びかけた。

同窓会の司会進行役をつとめる、片城みそぎ役の石川凌雅。まず「ここ数年では実現できなかった演劇です」と観客との距離が非常に近い作品であることに触れ、「僕自身も、お客さんの一部となって観劇したシーンもありました。臨場感にあふれていて、没入感がすごいです。作品の世界に入り込む感覚をおぼえながら楽しんでいただける要素がたくさんあります」と自信を込めた。

脚本・演出のほさかよう。「本作では、否応なしにお客さまを巻き込んでいく形になります。(配信では芝居をしている場所のカメラを選べることから)どちらを見るかはお客さま次第、というのは僕も初めてなので新しい試みとして楽しませていただきました。」と、自身にとっても挑戦となったことに触れ、続けて「ずっと一緒にやりたかった役者、どうしてももう一度やりたいと思っていた役者が奇跡的に集まり、なかなか無いほどの密度で稽古ができました。お客さまと一緒に、早く僕自身も楽したいと思っています」と笑顔を見せた。

続く質疑応答では、まずほさかへ。

濃密だったという稽古の様子について質問が寄せられたほさかは「普通なら1週間ほどかけて上っていくべきところを、稽古初日から持ってくる役者たちでした。4日目くらいにはもう通し稽古をしていたくらいです。それも、荒いけれどもとりあえず通してみようというやっつけではなく、1カ月ほどの稽古を経たほどの出来で」と驚きのスピードで稽古が進んで行ったことを明かす。

さらに、本作に対する自信についてほさかは「これほどの集中力であれば、このまま劇場へ持っていっても大丈夫だと思いましたし、何といってもこのキャストたちですからね。外れないよ!! という気持ちでいました(笑)」とキャストたちへの熱い信頼を寄せた。

続けて、本作のタイトルが「同窓会」であることにかけて、付き合いの長い者同士も多いキャスト陣へ稽古中のエピソードや思いについての質問が飛んだ。

まず和田が「(石川・松島・定本の若手)3人とは共演するのが初めてですが、陳内さんとはもう10年くらい。三浦さんとはプライベートで仲良くさせていただいていますが、共演は初めてですね。玉ちゃん(玉城)とは同い年で、もう何年も前から。まさに今回、自分にとって同窓会のようなもので、そういった意味でも楽しみにしておった作品です」。(「おった」に対して定本から「殿さまみたい」と突っ込みが入る)

三浦は「初対面からお芝居を作っていくと、人に慣れるのにとても時間がかかるのですが、今回は昔から知っている人ばかりなので安心してお芝居ができました。そういったところもお客さまに伝われば」と笑顔を見せた。

玉城は「このカンパニーでできるのがとても幸せです。いざ稽古をやってみると、より幸せで、この時間を大切にしたいなと思って。でもそれがあっという間に過ぎて、もう初日で、きっとすぐに千秋楽が来て…。(「泣いちゃう?」と周りから声をかけられるも「本番始まっとらんのよ!」と笑い飛ばす玉城)このメンバーだからこそにじみ出る空気があると思うので、それもお客さまに感じていただければ」と笑顔で締めた。

“お兄さんチーム”の発言を受けて、若手チームとしてコメントを求められると、まず定本が「短い期間ではありましたが1日の密度が濃い稽古でした。先輩方に支えていただき、それに自分もついていきたいという一心でいました。とても幸せな毎日でした」と振り返る。

次に松島は「この稽古期間、いろいろな壁に当たりました。けれども先輩たちは背中を見せながら前をどんどん走っていって…それを見ながらとにかく置いて行かれないように毎日必死でした。先輩方と一緒にやれたことに感謝して、僕なりに楽しんでやっていけたら」と感謝を述べた。

最後に石川は「“同窓会”というのは、同じところに所属していたり同じことをしていた人たちが、時を経て、また集まるというイメージがあります。その意味で今作で僕ははじめましての方がとても多いのですが、いざ、この場に飛び込んでみると『同窓会っぽい』と感じたんです。それは、皆さんそれぞれにお芝居を突き詰めてきた方ばかりで、自分もこの道を選んできたからではないかな、と。経験や通る道は違っても、やりたいことは同じで、そしてここで集まった。それがとても同窓会っぽいと感じました」と語った。

石川は続けて、日替わりキャストについて「僕以外のキャストがここに加わることで、まったく違う作品になります。その毎回の繊細さを反映した生のお芝居を楽しみにしていただきたいですし、ぜひ期待していてください」とファンへ呼びかけた。

取材会の後には、M-1グランプリ2021のファイナリスト「モグライダー」(芝大輔・ともしげ)をスペシャルゲストに迎えての同窓会エピソードトークがおこなわれ、MCには和田が任命された。

MC和田から同窓会についてのエピソードを振られると、ともしげは「最初のコンビの相方は地元の同級生で。でもすぐに就職してしまって今は家を建てて車も持っていて、僕とは雲泥の差で」と。すぐに芝から「同窓会の話じゃねえよ、そいつの経歴だよ」と突っ込みが入り、会場は笑いに包まれた。

また、舞台の内容にちなんだ「疑心暗鬼」トークでは「何かいいことがあるとドッキリじゃないかと思ってしまう」と、ともしげが人気者ならではのドッキリ番組に引っかかりやすい悩みを吐露。

陳内が「『あの一言はいらなかったかなぁ…』と考えてしまうことが」と繊細な面を見せると、和田も「現場で初対面の人に嫌われたくないから、はじめましての時はいろいろと考えちゃいます」と同調。

三浦は「僕は失くし物や忘れ物が多いので、そういう時は周りの人を疑っちゃいます」とまさに“疑心暗鬼”トーク。「そういう人いるよ!」と芝から突っ込まれていた。

また、和田と陳内がお笑い芸人役で舞台に立ったり、逆に芝が役者としてテレビドラマに出演していることについてコメントを求められると、芝は「あんまり面白すぎると困りますね、芸人さん以上に喋りが面白い方もいらっしゃるので(笑)。逆に、我々の方から役者さんの芝居を奪いに行かないと」。続けて「でも、こいつ(ともしげ)が…」と、言われたともしげは「僕は人の書いたセリフを1つもまともに喋れないんです」と笑いを誘った。

芝が、ドラマ出演の際のリアルな声の出し方や張り方にについての悩みを「どのくらい出したらいいか分からない」と役者陣に相談するも「僕らは舞台を多くやらせていただいているから、ドラマの時に『もうちょっと声を落として』と言われることがあります」と悩みに同調。

さらに三浦も「舞台が終わってご飯に行っていたときも、声ができあがっているからお店の中でも声が大きくなったりね(笑)」「すいませーん!! てなるよね」(和田)と場内を盛り上げる。

この後も、モグライダーから「役のシャッフルはあるの?」などの質問が飛びながらも盛況のうちに取材会は終了した。

撮影:広瀬有希

***

本作は、同窓会を舞台にしたサイコサスペンス作品。

大学を卒業して数年後、同窓会で久しぶりの再会を果たした登山サークルのメンバーたちの身に起こるストーリーだ。大学卒業前の最後のキャンプで、ある1人の人物が転落事故で亡くなった。その男の話をし始めたところから、大きく話が動き出す。

リアルで作品に参加する観客は、同窓会の会場へ足を運んだ出席者として。配信を視ている観客は、会場を映し出している配信で同窓会に参加しているかつての同窓生としてこの作品に参加することになる。

いつもの“舞台と客席”という境目のない作品だ。役者たちは、同窓生として時に観客に話しかけ、指示を出すこともある。いつの間にか、自分もこの話の一員となった気持ちになるだろう。そして終盤には“話の一員”を超えた存在として作品の一部になったことに気づくに違いない。

リアルタイムでおこなわれている配信では、別部屋での様子が見られるという。例えるならAとB。しかし、Aの部屋を見ている時にBは視られない。どちらを選ぶかは自分の判断次第だ。配信は毎公演行われ、その時々でカメラワークも変わり、見えるものも変わって来る。

リアル会場では間近で芝居する役者たちの息遣いを感じられ、配信では現場で観られないものを視られる。同窓会の司会者も毎回変わるので、まさに“同じ公演は2度とない”ものになるだろう。

公演は1月15日(日)まで。

取材・文:広瀬有希
(C)「芹星国際大学同窓会」製作委員会

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