本田望結が女優業とフィギュアスケーターの両立を語る「自分が2人いる感覚」
女優で、フィギュアスケーターとしても活躍する本田望結が、6月3日公開の映画『きさらぎ駅』に出演している。本作は、インターネット掲示板発の都市伝説をもとにしたホラー作品。どのように役に挑んだのか、また俳優業とフィギュアスケートを兼業する日々について話を聞いた。
──映画『きさらぎ駅』のストーリーは、ある女性がこの世には存在しない異世界駅に辿り着いた体験を綴ったインターネット掲示板の書き込みを基にしています。本田さん自身、怖い話や都市伝説は信じるほうですか?
本田 めっちゃ信じます! 私は疑いから入らないので、家族から「気をつけなよ」って言われるぐらいで(笑)。オバケやUFOなど、信じる人と信じない人がはっきり分かれるようなことでも大抵のことは信じちゃいます。以前、UFOを特集した番組に出させていただいたときも、UFOと交信できるという専門家の方から、「昨日会った宇宙人は望結ちゃんのファンらしいよ」と言われて。今も信じていますし、その宇宙人の方にいつかお会いできたらなと思っています。だから「きさらぎ駅」についても、本当の話だと思っています。
──そういうものに恐怖感はないんですか?
本田 あります。オバケや霊はもちろん、暗い場所すら怖くて、小さい頃から克服できないことの一つです。今回の『きさらぎ駅』が、私にとって初のホラー映画出演なんですけど、お話をいただいたときは現場も怖いのかなと不安でした。でもお芝居になると、そういう怖さって消えるんですよね。暗闇の中で撮影するシーンもあったんですけど、普段だったら絶対に耐えられないのに、撮影だと芝居のことに集中しているので全く怖さがなくて。むしろ撮影を楽しんでいたところがありました。
──現場の雰囲気はいかがでしたか?
本田 FPS(First Person Shooter)カメラという一人称視点で展開するシーンがメインだったので、現場の一体感がないと絶対にクリアできない作品でした。監督を中心にスタッフさん、役者さんのチームワークが抜群で、すごく楽しい空気感でした。
──ホラー映画の演技は、普通の映画とは違う点も多かったのではないでしょうか。
本田 これまでは自然な演技を勉強してきたので、何か驚くようなことが起きると、すぐに反応してビックリするのが普通だと思っていました。ところがホラー映画では、まず出来事を見せてから、ビックリするというか、ホラーならではの間の取り方があるんです。事前に監督からも「お客さんにビックリしてもらうことが第一なので、自然な演技を求めている人(役者)には難しいよ」と言われました。
──ホラー映画は緻密な計算の上で成り立っている作品が多いですからね。
本田 監督は、お芝居自体は演者に任せてくださって、間の取り方や動きのタイミングを毎シーンで教えてくれました。だから舞台のような感覚もありましたね。
──本田さん演じる宮崎明日香は正義感の強い女子高生ですが、どんな役作りを意識しましたか。
本田 一本筋の通っている女の子なんですけど、あまり大人っぽくなりすぎずに、素直さや純粋さなど、しっかりと高校生らしさを残そうという風に意識して取り組みました。
──完成した作品を見て、どんな感想を持ちましたか。
本田 結末を知っているのにも関わらず、「うっ!」てなっちゃいました(笑)。ただ、この作品の面白いところはホラーなんですけど、ホラーが全てじゃなくて、追い込まれたときの人の本心みたいなものが描かれているんです。きっと見終わったお客さんは、「この映画怖かったね」だけじゃなくて、それとは別の感想も生まれると思うので、シンプルに「ホラー映画です」という風に伝えてはいけないなと思いました。
──プライベートについてのお話をお伺いします。本田さん自身、青森山田高等学校に在学中の現役の高校生ですが、どんな高校生活を送っていますか?
本田 コロナ禍というのもあって思い描いていた高校生活とは少し違うかなと思いますが、スポーツに力を入れている学校なので、ほとんどのクラスメイトが学業とスポーツの両立をしています。姉の真凜も青森山田高校に通っていたのですが、私もフィギュアをやっているので、クラスメイトのみんなから刺激をもらえて、モチベーションが上がるんです。生徒一人ひとりが夢を持っているし、その生徒のために先生方が最大限の協力をしてくださって、青森山田高校を選んでよかったなと思います。
──学業はもちろん、フィギュアと俳優業を両立するのも大変じゃないですか?
本田 フィギュアもお芝居も、自分がやりたくてやらせてもらっているので、大変と感じたことはないです。どちらか一つにするって考えたことは一度もなくて、自分の中でフィギュアとお芝居をしている本田望結が2人いる感覚なんですよね。たとえば今、こうして取材を受けているときは女優モードですし、夜は練習なのでフィギュアのモードですし。意識している訳ではないですけど、もしかしたら自然と切り替えができているのかもしれません。
──お芝居とフィギュアを両立することで、それぞれに良い作用をもたらす面もあるのでしょうか。
本田 違う分野ではあるんですけど、日々リンクするところはあります。一番は表現力。小さい頃からお芝居のレッスンを受けさせてもらっていますが、フィギュアでも表現力は重要なポイントなので、お芝居とフィギュアの表現力が繋がらないのは、むしろおかしいことだと思っています。この2つがどうリンクするかは今後も考えていきたいですね。
──お芝居のどういうところにやりがいを感じますか。
本田 小さい頃から、いただける役を丁寧に演じるのを大切にしていて。お芝居の大きな魅力の一つは、本田望結じゃない人になれる面白さだと思っているので、これからもたくさんの人になっていきたいです。
──フィギュアスケートの今の目標は何でしょうか?
本田 高校生活も残り1年ですから、前回に引き続きインターハイに出場して、やるからには結果を残したいです。あと私は映画館が大好きで、ちょっと前に大きいスクリーンで『ウエスト・サイド・ストーリー』を観たんですが、迫力がすごくて衝撃を受けました。ぜひウエスト・サイド・ストーリーの曲を使って、フィギュアスケートの試合に出たいですね。
▽『きさらぎ駅』監督/永江二朗 出演/恒松祐里、本田望結、莉子 他配給:イオンエンターテイメント/ナカチカ6月3日(金)より全国公開
スタイリスト:田中トモコ(HIKORA)ヘアメイク:牧野裕大(vierge)衣装協力:RE SYU RYU、ヴァニーユー(アンティローザ)、ダニエラアンドジェマ、AGU、お世話や
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