「真田グループ」の“番犬”加瀬賢一郎を演じる井浦新

<最愛>井浦新が語る、 “天才”と呼ばれる吉高由里子のすごみ「僕は彼女を不器用だと思っています」【インタビュー】

2021.12.09 18:01
「真田グループ」の“番犬”加瀬賢一郎を演じる井浦新

吉高由里子が主演を務める金曜ドラマ「最愛」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)に井浦新が出演している。井浦は真田グループの“番犬”という役どころだが、12月3日放送の第8話で犯人説が浮上し、SNSでも大きな反響が集まった。このたび、井浦にインタビューを実施し、共演中である吉高と松下洸平の魅力や、井浦の考える“加瀬像”などについて語ってもらった。

同作は、金曜ドラマ「アンナチュラル」(2018年)や「MIU404」(2020年)を生み出してきたプロデューサー・新井順子氏と演出・塚原あゆ子氏、そして2人とは金曜ドラマ「夜行観覧車」(2013年)、「リバース」(2017年、4作全てTBS系)でタッグを組んだ脚本家の奥寺佐渡子氏と清水友佳子氏が手掛ける完全オリジナルドラマ。

殺人事件の重要参考人となった実業家・梨央(吉高)と、梨央の初恋の相手であり事件の真相を追う刑事・大輝(松下)、そして、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬(井浦)の3人を中心に、15年前の失踪事件から現在の連続殺人事件へとつながる謎に迫るサスペンスラブストーリーだ。

井浦は「真田ウェルネス」の法務部に所属する弁護士で、あらゆる手段を使って梨央を守る加瀬賢一郎を演じている。

「良くも悪くもシンプルなマインドの人」

――ここまで演じてきて、加瀬の心境の変化を感じたタイミングはありましたか?

加瀬に関しては1話から一貫していまして、加瀬を作り上げる上で塚原さんと新井さんがずっと大事にしていた“常に梨央にやさしく寄り添う”という部分がブレないように徹底しています。

おてんばな梨央社長が引き起こしてしまうさまざまなスキャンダルに対する心境の変化は少しずつあるんですが、加瀬は良くも悪くもシンプルなマインドの人です。なので、見事に大輝とは対極にいるキャラクター像だと感じています。

例えば大輝は誰かを“思う”ということに対して不器用ではあるけれど、その思いを内側から表に出していくタイプの人間です。しかし、加瀬は育った環境のせいなのか、内側にあるものを表に出していくタイプではないんですよね。

(加瀬は)本当に大切なもの以外への興味がなくて、加瀬にとって支え続けている梨央の目標や夢を一緒になって支えることで、加瀬も梨央の見ようとしている景色を一緒に見たいという思いだけというか。

そういうシンプルなマインドの人物なんだなというのは、演じる中でだんだんと確信してきたという感じです。なので、心境の変化というよりは1話から積み重ねてきた加瀬の人間性がだんだんと明確になってきたと感じています。

――加瀬を演じていて楽しいと感じる部分を教えてください。

塚原さんと話していて、“シンプルなマインドを持つ”、“梨央にやさしく寄り添い続ける”という2つのキーワードを大切にしすぎると役の輪郭がイメージした通りのものになりかねないという結論に至ったんです。なので、役の輪郭を壊さない程度に押し広げたいという思いが僕の中にありました。

「こういう人物だからこういう言葉は使わないんじゃないか」とか「こんな動きはしないんじゃないか」ということにあえてトライしてみることで、加瀬を物語の中の人物でなく、人間にしたいと思ったんです。

政信(奥野瑛太)は大切な真田ファミリーの一人で、ドラマでは描いていないけど加瀬は政信に対してもきっと弟のような目でどこか見ているし、大切で守ってあげたいっていう気持ちもあるはず。

なので、政信がつっかかってきたときに丁寧に返すのではなく、お兄さんのような対応で受け流したり、梨央に対しても仕事上では敬語だけれど、時々お互いにため口が出てきてしまったり、そういうことにトライすることによって加瀬の輪郭を押し広げる作業をしています。

加瀬がイメージの中にハマらないように、でもやりすぎないギリギリのラインを探っていくところは加瀬を演じる上での楽しいところでもあります。

「洸平くんの中に流れているリズムが個性的」

――松下さん、吉高さんと共演してみた感想をお願いします。

これは本人たちに終わってから直接言いたいなと思っていたことなんですけど、まあいっかな。

――ありがとうございます! では、松下さんはいかがですか?

洸平くんに関しては、初めましてからのスタートでした。役柄的にも、それぞれ梨央への思い方や寄り添い方があるからぶつかっていくシーンもあったので、お互いどのような芝居ができるのかすごく楽しみにしていました。

1話から5話あたりまで大輝と加瀬が何かしらバチバチするシーンがあったので、僕は前のめりで「ここはバチバチしちゃっていいやつですよね!?」っていう感じで(笑)。どういう火花の散らし方ができるのか、それを洸平くんと楽しみながら出来ていったらいいなと思っていました。

初共演というのは一度きりなので、お互いに手の内が読めない「最愛」での洸平くんとのお芝居は、楽しみながらも大切にしていきたいと思っていたんです。一番面白いのが、僕の本の読み方と、洸平君の本の読み方、呼吸の仕方が全然違うんですよ。

ある程度、本を読みながらイメージを張り巡らせるんですけど、どれにも当てはまらないものを必ず本番に落としてくるんです。僕もあまり芝居を決めないので、本番の相手との反射のし合いが一番楽しいと思って演じているんですけど、きっと洸平くんの中に流れているリズムが個性的なんですよね。

バチバチの芝居をしていくと慣れてしまったりもするので、“そうならないぞ!”という自分へのプレッシャーを込めてバチバチフレッシュで“バチフレ”というワードを自分のためにSNSに残したんです。今8話までやってきていますが(※取材は12月上旬に実施)、大輝と加瀬の芝居の間合い、空気感がいまだにフレッシュなのは洸平くんのおかげだと思っています。

――共演経験のある吉高さんはいかがでしょうか?

今回新井プロデューサーも現場のスタッフも吉高さんのことを「天才だ」と言うんです。でも、僕は吉高さんのことを天才だと思っていなくて、彼女は天才というよりも、そんな簡単に天才という一言でくくれるタイプじゃないんです。

それを言葉で形容するものがないから「天才」と言わざるを得ないんでしょうけど、僕は彼女を不器用だと思っています。

不器用だからこそ努力を惜しまないですし、積み重ねてきた努力やキャリアを生かしたとしても、根が不器用ですから簡単になんでもこなせるタイプじゃないと思うんです。でも、彼女は力で芝居しなくて、その場のリズムや、流れている空気感、そして彼女自身のリズムを最大限に自然に生かすことに長けている人なんじゃないかなと。

お芝居が自然に見えるのは、自然なお芝居をしているんじゃなくて、どんな時でも肩の力を抜いて、役と本人を同化させることができるんだと思うんです。それって誰でもできることじゃないですし、天才だからできるわけでもなくて、彼女が持っているものが素晴らしいからだと思います。

僕らも出会ってから10数年たっているという背景が梨央と加瀬に当てはめられて、だからこそ彼女のことを自然に見つめていられる、本当に僕にとって稀有な存在だなと思います。

吉高さんに“ありがたいな”と思ったことなんてなかったのに、今回自分の中でもびっくりするくらい彼女に対して尊敬の念というのが大きく膨れ上がりましたし、当時なんでもなかった僕ら二人が久しぶりにご一緒することで、すごく感じることが大きいんですよね。僕の中での彼女への敬意が広がっているんだなと感じます。

ということを終わってからサッと言って帰ろうかなと思っていたんですけど、皆さんに伝えてしまいました(笑)。

「大輝の存在を忘れないでほしい」

――『「最愛」しゃべくりルーム』(※TBS公式YouTubeにてアップされている特別動画)にて、7話のホームセンターでよろけた梨央の荷物を持ったシーンがアドリブだと明かされ、“井浦さんは地が加瀬なのではないか?”と話題になっていますが、いかがですか?

あっ、地が加瀬の井浦新と申します。加瀬は芝居してないです!加瀬はドキュメンタリーなんです(笑)。

――ドラマを見て“大キュン”や“加瀬キュン”というワードが誕生するなど、キュンキュンしている視聴者も多いかと思いますが、そういった反響は井浦さんの元にも届いていますか?

“大キュン”と“加瀬キュン”は僕が勝手に作ったワードなんです。1話が終わったタイミングで新井プロデューサーのインタビュー記事を読んだときに“このドラマはジリキュンだよね”ということを塚原さんと話していて。“ジリキュン”ってなんだ!とそこで知ったんです。

普段はあまり興味ないんですけど、“ジリキュン”っておもしろいなと思ったので最初は“ジリキュン”いじりから始まったんです。だって、せっかく(新井さんが)言っていたのに公式のSNSにも一言も出ていなかったので…。

なので、新井プロデューサーが放送後に行っていた“視聴者の疑問にお答えします!”みたいな企画で僕が「“ジリキュン”が全然流行っていないので、他の考えましょうか」といじったらだんだん面白くなったので、全部にキュンを付けていこうって思ったんです。

でも正直飽きちゃって最近は使っていないのですが、広がっていくってすごいですし、楽しんでくださってありがたいなと思います。

――最後に読者へ最終回に向けた見どころと、メッセージをお願いします。

8話の最後で加瀬に“犯人フラグ”が立ってしまいましたが、まだ9話と10話がありますから。そう簡単に“犯人フラグ”を立たせてたまるかと思っています。

この物語の一つの要素でもある犯人捜しは8話で加瀬だけでなく、同時に梓(薬師丸ひろ子)さんも怪しくなってきていますし、藤井(岡山天音)も自ら犯人に立候補しに行っているような雰囲気を醸し出していますよね。

でも、僕の中で“大ちゃん犯人説”もまだちょっとあって、皆さんに大輝の存在を忘れないでほしいなと思っています。加瀬もいい人なんですけど、(大輝みたいに)不器用で、みんながキュンとしている人物が実は一番悪い奴なんじゃないかなと思っている部分もあるので。

それに、この物語の醍醐味はそれぞれが抱える“最愛”のぶつかり合いだと思っています。8話まで積み重ねてきたそれぞれの“最愛”のものの大きさが、9話と10話でぶつかり合ったり、混ざり合ったり、開いたり、閉じていく人もいるかもしれないですし、というところで人間ドラマは残りの2話にかけてさらに加速していきます。

犯人捜し以上に登場人物たちの最愛の物語を楽しんでいただけるんじゃないかなと思います、ぜひご覧ください。

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