「くりぃむナンタラ」MC・くりぃむしちゅーと「ラヴィット!」MC・川島明

「くりぃむナンタラ」「水曜日のダウンタウン」、大喜利とクイズの化物を生み出した“遠隔操作ドッキリ”

2021.10.27 18:31
「くりぃむナンタラ」MC・くりぃむしちゅーと「ラヴィット!」MC・川島明

わずか1週間のあいだに、「くりぃむナンタラ」と「水曜日のダウンタウン」で特殊な遠隔操作ドッキリが続いたので振り返っておきたい。どちらも「特別なスキルを持つ複数の人間が、たった1人を操ったらどうなるか」という実験になっていたのだ。

「くりぃむナンタラ」トークとクイズの“遠隔2人羽織”

10月17日に初回放送を迎えた「くりぃむナンタラ」(テレビ朝日系)では、「ミラクル9で人間インストールドッキリ!」を敢行。くりぃむしちゅーがレギュラー出演する同局の「ミラクル9」を舞台に、芸人2人とクイズ王2人を背負った最強アイドル&アスリートが誕生していた。

「ミラクル9」の出演者として遠隔操作されるのは、Snow Manの目黒蓮と、東京オリンピック柔道金メダリストのウルフ・アロン。「クイズ番組で正解を出しまくりたい」「お笑い芸人より笑いを取りたい」という2人の夢を叶えるべく、サバンナ高橋が目黒の、有田哲平がウルフのトークを操ることに。さらに、カズレーザーとクイズ作家の日高大介がクイズの解答を担当する。

こうして「トーク」と「クイズ」という別々のスキルを持つ人間たちがバックについた結果、平場ではMCの上田晋也を相手に軽妙にトークを切り返し、クイズで難問をスラスラ答える人格ができてしまった。オリンピック金メダリストがボケまくったうえに、「アルファベット一文字の元素」を全部答えちゃうのである。

通常収録と思っている「ミラクル9」の出演者たちは、思わぬ人物の思わぬ活躍に大混乱。通常回ではありえない点差がつき、チームメイトまで「気持ち悪い」とドン引きしてしまうほど。ただこの企画、ドッキリ以外にも見どころを作っていた。クイズ担当のカズレーザー&日高大介には、クイズの答えが知らされていないのだ。操られる側の目黒&ウルフも、トーク担当の有田&高橋も答えは知らない。突然クイズが強くなったことを示すには、ガチで正解を叩き出さねばならない……!

そのクイズ力を分かりやすく示すために、番組では通常の「ミラクル9」からルールも変えていた。例えば1stステージは1対1の多答クイズで、制限時間内に1つでも多く答えた方が勝ち。この形式なら、持ち時間をフルに使って強さを見せつけられる。

カズ&日高はプレッシャーを感じつつも、しっかり難問に答えていく。しかし、敵チームにはクイズ番組常連の宮崎美子の姿が。星座をできるだけ多く答える問題では、宮崎美子の12個に対し、カズ&日高は11個で敗北。「ドーピングしても負ける」という現実を突きつけられ、「次のステージでは宮崎さんに勝つ」という軸まで生まれた。

「スタジオをだませるのか」というスリルに、「出演者にクイズで勝てるか」というスリルも足し算することで、最後まで目が離せなくなる。「クイズの答えを教えない」という前提ひとつで、面白さが何倍にも高まっていた。

「水曜日のダウンタウン」芸人軍団の遠隔操作大喜利

その3日後。今度はTBSに、6人の芸人スタンドを背負った大喜利最強タレントが誕生する。10月20日放送の「水曜日のダウンタウン」(TBS系)で放送された、「『ラヴィット!』の女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すれば、レギュラーメンバーより笑い取れる説」だ。

「ラヴィット!」は情報番組でありながら、途中で出されるクイズが大喜利化している。ならばと集められたのは、千原ジュニア、くっきー!、霜降り明星粗品、笑い飯西田という大喜利強者たちと、全曜日にゲスト出演したオードリー春日、そしてMCの相方である麒麟田村の6名。遠隔操作されるのは、元ゆるめるモ!のメンバーで歌手の“あの”ちゃんである。

番組でクイズが出たら、芸人軍団が大喜利として答え、イヤホンを付けたあのちゃんにマイクで指示を出す。段取りとしてはシンプルなのだが、この企画には「複数人」と「生放送」という2つの壁がある。6人がバラバラにあのちゃんに指示を出しては混乱してしまうし、話し合って答えをまとめる時間はない。

そこで芸人軍団側は、千原ジュニアが指示役となり、他の5人が回答者に回った。出された答えから千原ジュニアが採用可否を判断する、言わば「着信御礼!ケータイ大喜利」(NHK)方式である。回答者の5人は大喜利に集中でき、短時間でいくつもの答えを量産した。

たとえば「浅草『やげん堀』の七味唐辛子に含まれるのは、唐辛子・焼唐辛子・けしの実・麻の実・粉山椒・黒ごま、あとひとつは?」という問題。松本人志も「いいお題やな」とつぶやく良問に、芸人たちは「ほぐした赤LARK」(西田)、「矢田さんの削り歯茎」(くっきー!)、「チーソーの赤い部分」(粗品)とぶっ飛んだ回答を連発。そしてこれを、あのちゃんがしっかりと言い切る。

この「しっかりと言い切る」が大事だ。大喜利は、言い方ひとつでウケ方が変わってしまう。あのちゃんは、焦らずゆっくりと真顔のまま答えを発し、周囲のリアクションにも動じなかった。舌っ足らずの声と、つかみどころのない雰囲気も功を奏し、初対面なら「本当にそういう子なのかもしれない」と思うだろう。

次々飛び出すキレキレの大喜利に、次第に「ラヴィット!」出演者たちの手も止まってしまう。さらに「すゑひろがりず三島はカラーコンタクトをなんと和風変換したか?」という問題には、千原ジュニアが「目玉のおやじの衣替え」というストレートな回答を指示。MCの川島は「上手っ!」と驚き、何も知らないスタジオと視聴者は「そういう答えもいけるの!?」と、のけぞった。複数の大喜利センスが結集しているのだから、もう最強である。

放送終了後、スタジオに乗りこんだ芸人軍団によるネタばらしに、川島は「あなた方が、あの!?」と驚愕。西田やジュニアが「ほぐした赤LARKです」「目玉のおやじの衣替えです」と自己紹介する姿は、まるでハガキ職人がラジオネームを名乗るようだった。

ノブコブ吉村&麒麟川島&アンタ柴田、“だまされる側”に実力があるからこそ踏み込める

複数人による遠隔操作で「最強」の人物ができあがった両番組であるが、だまされる側の「危機管理能力」も露わになったのも興味深い。

「くりぃむナンタラ」では、ぎっくり腰で欠席ということになった有田の代役として、ノブコブ吉村が相手チームのキャプテンを務めていた。なにも知らない吉村は、番組を成立させようと奮闘。“得点5倍チャンス”をいつ使うか必死で考え、敵のトレンディエンジェル斎藤が「みんなで2人を倒したいくらい」と言えば「そうだよ!」と「全員vs目黒&ウルフ」の対立構造を作ろうとし、チームメイトが弱気になれば「ここで怯えてどうする!」「緊急事態だ!」と熱弁を振るう。

宮崎美子の機嫌が悪くなっているのを察し、早押しで宮崎を倒した目黒に「なんでそんなことをするんだ君は!」と強めに当たりにいく場面もあったし、本編ではカットされていたが両チームに土下座もしていた。休憩時には、自らネットでウルフのことを調べたという(「ウソみたいに柔道しかやってなくて焦った」そう)。

一方、「ラヴィット!」では、大喜利に答えまくるあのちゃんに、MCの川島明が「びっくりする角度での答え」「50くらいの作家ついてます?」と巧みに切り返す。本編ではカットされていたが、「チーソーの赤い部分」でスタジオが静まりかえったあと、川島は櫻坂46の守屋麗奈に「一回かわいい答え言ってもらっていい?」と頼んでいた。他の芸人が答えにくくなった空気を察し、守屋から「チョコレート」という回答をもらって、一旦場のリセットを図っている。

また、「ラヴィット!」レギュラーのアンタッチャブル柴田は、大喜利で空気が荒れたあと、すっと正解を出して幕を引いていた。ネタばらし時に「水曜!」と、いち早く気がついたのも柴田で「止めないとこれダメだと思って」と振り返る。MCの川島に対し、一番遠い席に座る柴田だからこそ、全体を見渡す役割を自覚しているのだろう。

どんなトラブルが起きても、どんな空気になっても、どうにか番組を成立させようとする。吉村や川島、柴田にその力があるからこそ、だます側も思いっきり踏み込める。だます・だまされるの両サイドのスキルが高くなければ成立しない、そんな企画が1週間に2度もあるなんて、どういうことなのかと思う一週間だった。

文=井上マサキ

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