<窪塚洋介インタビュー>ハリウッド後の生き方に変化…“小栗旬の全力プレゼン”でもテレビドラマに出ない理由は?娘を“惚れさせる”なら過去出演作は何を見せる?
2017.08.03 13:34
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遠藤周作氏原作の小説「沈黙」が、巨匠マーティン・スコセッシ監督により実写化された映画「沈黙-サイレンス-」(1月21日公開/8月2日DVD&ブルーレイ発売)に出演し、ハリウッドデビューした窪塚洋介。モデルプレスは今回、同作出演以来良い変化があったという窪塚に、現在のことや、テレビドラマに出なくなった理由、話題となっているプライベートでの育児などについて聞いた。
ハリウッドデビューした「沈黙」出演以来窪塚に変化
ーハリウッドデビューとなる作品で、巨匠・マーティン・スコセッシ監督との撮影はいかがでしたか?窪塚:(スコセッシ監督は撮影で)本当に毎日べた褒めだったんですよ。役者にダメ出しをしない人で、最後クランクアップの時には「君がいてくれて本当によかった。最初の日から頼りにしていました」と言ってくれました。
舞い上がってシャンパンを一気飲みしたら『お前、シャンパンはそうやって飲むもんじゃない!』と爆笑してくれて…。
そのくらいテンションの上がる嬉しい言葉だったし、オーディションから嬉しい瞬間を積み重ねてクランクアップまで過ごしたので、この言葉は本心で言ってくれてるんだろうな…と思えて。
自分の役者生活が一つ成就したというか、「沈黙」以後には自分の中であらゆることにハッピーなエフェクトが掛かりました。
ー確かに、お子さんの誕生などプライベートもいいことがありましたよね。
窪塚:自分の人生のステージが変わってどんどん良いように回りだして、アルバムの発売とか、赤ちゃんの誕生とかいろんなことでどんどんハッピーに流れていってる。
ー撮影以来嬉しいことの方が多かったのですね。
窪塚:そうですね。唯一言葉の壁は感じていたので、英語を勉強しようと思いました。今年の1月にLAであった(「沈黙」の)レッドカーペットに参加させてもらって、ここで活躍したい、仕事したいと本気で思えて、まずは英単語帳を買って英会話を始めた。英語の習得を今日まで継続してできているのはすごくポジティブな力、節目をもらえたと思っています。
ー英語は1月から勉強していたんですね。
窪塚:そうなんです!「昨日さー動物園いったらさーLion(発音良く)がさ~」っていう人いるじゃないですか。ああなりたい(笑)
ー単語帳の他にはどうやって勉強を?
窪塚:ネットの英会話クラスをやってます。だから毎日が学校みたいですよ。英語、ジム行くから体育、本読んで国語、音楽作ってる時は音楽だし、一日のルーティンが学生みたいです(笑)
ー遅れてきた高校生。
窪塚:そういう感じですね。永遠の高校生(笑)
want toで動き、have toを無くす
ー今回窪塚さんが演じたキチジローは、葛藤しながらも信念を貫くには時に意思を曲げることも必要ということを体現した役柄でした。窪塚さん自身、信念を貫けないことも日常でありますか?窪塚:大なり小なりありますね。でもできるだけwant toで動く。なるべくhave toを無くすっていう。
例えばだけど、めんどくさいな、行きたくないなと思って無意識に仕事に来るのと、今日だと「沈黙」をもっと沢山の人に見てもらえるチャンス(※取材日は「沈黙」の舞台挨拶が行なわれていた)と思ってここへ来るのとでは全然違う。
過ごしている時間の意味も価値も全部変わるから、それなら自分の気持ち一つで、石ころもダイヤモンドに変えられるという風に、萎えるようなことも自分の気持ちを持っていくようにしていく。
今は1日の中で仕方なくやってることはほどんどなくて、全部がwant toになってきた。
できれば夜がっちり寝たいけど、子供が起きて起こされる事も含めて幸せだと感じて感謝ができるというところまで(自分の気持ちを)持っていく。
誰かのせいや時代のせいにしたりするのは簡単だけど、誰かが尻ぬぐいしてくれるわけではないから、一回しかない今の連続なら全部want toに変えていきたい。
ー何かその考えに至る転機があったんですか?
窪塚:昔から思っていたけど、それが今となっては腑に落ちてきたというか。
ー生き方や考え方が安定してきたということですね?
窪塚:俺が言うと笑われちゃうかもしれないけど…。大事なものや順番がはっきりしてきたことも大きい。全部バランスで成り立ってるから、子供がいて仕事があって仲間がいて…それが自分のスタイルでフォーメーションだから、バランスをとっていくことが今の自分のテーマです。
テレビに出ない理由 小栗旬のプレゼンも記者の交渉も…
ー窪塚さんは本当にテレビドラマに出なくなってしまいましたよね…。窪塚:あまり好きじゃないというのもあるけど…。監督や共演者とか熱量が同じくらい燃えてる人たちと仕事をしていたい。ドラマは熱量がないというわけではないけど、20代にやってたとあるドラマで痛感したことがあって(ドラマには)出なくなったんだけど。それを未だに決めてそうしているだけだね。ドラマに出ることで自分のバランスが取れなくなるのも嫌だから。
ードラマのオファーがきてももう受けないですか?
窪塚:うん…。旬(※小栗旬)とかよく(ドラマに)誘ってくれるんだけど、全部ずっと『ごめんね、俺出ないから』って断ってる。『洋ちゃんが出られるドラマ絶対持ってくるよ!』(小栗)って言ってくれてアプローチしてくれてるんだけど。もちろんドラマに出て演じることもメッセージだけど、俺は出ないということもメッセージだと思うから。
ー窪塚さんが今まで出演したドラマで演じた役って、どれもすごく印象深くて。いろいろ考えがあってドラマに出ないというのはもちろんわかるんですが、個人的にはまたドラマでも見たいな…という気持ちがあります。
窪塚:なるほど…!受け止めた。
…ごめん!(笑)
―(スタッフ一同笑い)ふられました。
窪塚:ごめんなさい(笑)
「沈黙」に続くハリウッド2作目への挑戦
ーそんな中、「沈黙」に続くハリウッド映画出演作の第2弾となる撮影が始まるということで。窪塚:始まるってね!噂なんですよ!(笑)
本当なら今、コロンビアに撮影に行って帰ってきているくらいのタイミングなんだけど…。押しちゃって撮影が秋冬になって、さらに来年まで押す可能性がある。やるやる詐欺みたいになっちゃってて(笑)何とも言えないしどうなるかわからないから、そのあたりはフレキシブルにいきたいと思っています。
ー“フレキシブル”、それが現段階の意気込みですか?
窪塚:フレキシブル(笑)…フレキシブル洋介に変えようかな名前。窪塚・F・洋介。
ー藤子(藤子・F・不二雄氏)さんみたいですね(笑)
窪塚:はははは(笑)たしかに(笑)
ースコセッシ監督の元で得た経験を活かすとしたら、何か活かせそうなことはありますか?
窪塚:あらゆることですね。あの現場でもらった喜びとか、持てた誇りとか、音楽活動していても出ている。全部エフェクトやフィルターがかかった状態で未来は進んでいくんだけど、そのフィルターの色に頼ってずっとやってくならどんどん色あせていくと思うから。今を常に楽しんで生きていけば色はもっと鮮明にいい色になっていけるかなって。それを大切にしたい。
話題の窪塚洋介の育児に迫る
ー今、プライベートでの窪塚さんの育児論が話題で大変反響があります。窪塚:なんか、そんなことになってるみたいで。
ー最近娘さんが誕生されて、改めていかがですか?
窪塚:そうですね、(娘は)大きなマシュマロみたいで…ふわふわしていてたまんない(笑)
いくら抱いても充電が100%にならないというか。行ってくるねといって家を出たら、すぐに90%とかどんどん下がっていって、また抱っこしたいって思う。今もこうして喋ってる間にも…また。
ー今夜も大至急充電が必要ですね。
窪塚:終わったらもう新幹線に飛び乗る感じで(現在大阪在住)。
13年前から息子の子育てもしているけど、やっぱり男の子だし、今となっては友達で相棒みたいな感じなので女の子とは全然違う。
あっという間に大きくなるんでしょ?と思うと、今が愛おしくて今を大事にしないと。ずっとしゃっくりしてることなんて束の間の話で、蓋を開けてみたら人生の3分の1くらいしか一緒にいないわけだから…すごく大事でかけがえのない時間です。
ーなるほど…。子供たちは本当に愛しい存在ですね。では最後に…将来そんな子供たちにご自身の過去の出演作を見せて、父であり俳優である窪塚洋介が“惚れさせる”としたら何を見せますか?
窪塚:えーー?なにかな?
ーここ、池袋なので(※取材は池袋で行なわれた)私はIWGP(※池袋ウエストゲートパーク/2000年、TBS)を推したいです。
窪塚:グレちゃうでしょ!(笑)変な方向にいっちゃうでしょ!(笑)
ーキングさん…(笑)確かに。偏っちゃいますね。
窪塚:やっぱり作品はバランスよく見せたいですね、いろいろと。偏って見せると親のイメージが偏ってしまう(笑)こんな危ない役もあったけど、こんなに優しい役もあるんだよって。そうしないと、“お父さん絶対変な人…”って思われちゃう…(笑)という懸念がある。
ーそこでもちろん「沈黙」も見せるということで。
窪塚:もちろん!フレキシブルに。バランス良く。FB(フレキシブル&バランス)です!
ーありがとうございました。
窪塚洋介プロフィール
1979年5月7日生まれ、神奈川県出身。1995年に俳優デビュー。主なドラマ出演作に「GTO」(1998年、関西テレビ)、「リップスティック」(1999年、フジテレビ)、「池袋ウエストゲートパーク」(2000年、TBS)、「ロング・ラブレター〜漂流教室〜」(2002年、フジテレビ)など。映画主演作に「GO」(2001年)、「ピンポン」(2002年)、「ヘルタースケルター」(2012)、「ジ、エクストリーム、スキヤキ」(2013年)など。
2001年に日本アカデミー賞新人賞、主演男優賞を受賞し、名実ともに俳優として活躍した。現在は映画、舞台、卍LINE名義で音楽活動も行う。今年はハリウッドデビュー作『沈黙 -サイレンス-』に出演して話題を集め、Dragon Ashの降谷建志と共演する主演映画「アリーキャット」が公開中。ハリウッド出演作第2弾も決まっている。
映画「沈黙-サイレンス-」
映画「沈黙-サイレンス-」は、17 世紀、江戸初期。幕府による激しいキリシタン弾圧下の日本。高名な宣教師の棄教を聞き、その弟子のロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)らは長崎へと潜入する。彼らは想像を絶する光景に驚愕しつつも、弾圧を逃れた”隠れキリシタン”と呼ばれる日本人らと出会う。しかしキチジロー(窪塚洋介)の裏切りにより、遂にロドリゴらも囚われの身となり棄教を迫られる。守るべきは大いなる信念か、目の前の弱々しい命か。心に迷いが生じた事でわかった、強いと疑わなかった自分自身の弱さ。追い詰められた彼の決断とは―?というストーリー。
米・俳優のアンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライヴァーのほか、日本からは窪塚のほか、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈などが出演。同作のブルーレイ&DVDが8月2日に発売。(modelpress編集部)
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