【渡邊渚インタビュー】苦しみに直面してまで世に届けたかったこと フォトエッセイ執筆の真意<Vol.3>
2025.02.06 06:00
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元フジテレビアナウンサーで現在フリーになって活動する渡邊渚(わたなべ・なぎさ/27)が、1月29日に初のフォトエッセイ「透明を満たす」(講談社)を発売。モデルプレスのインタビューではPTSD(心的外傷後ストレス障害)と向き合い、前向きに歩き出した彼女の軌跡を辿ってきた。Vol.3は、フォトエッセイの執筆にあたりその辛い経験を思い出さなければいけなかった苦しみ、そしてその苦しみに直面してまで世に届けたかった理由に迫る。【インタビューVol.3】
渡邊渚フォトエッセイ「透明を満たす」
本作はフリーランスとして新たなスタートを切ったばかりの渡邊による、50,000字を超える書き下ろしの長編エッセイに加え、新境地を感じさせる充実のフォトパートで構成される。エッセイでは、アナウンサー時代の苦悩からPTSDを患った後の壮絶な入院生活、治療を経て前向きに歩めるようになるまでが詳細につづられている。渡邊渚、フォトエッセイのお気に入りカット明かす
― 今回のフォトエッセイについて、フォトパートではご自身でも「見たことのない姿と出会うことができた」とおっしゃっていましたが、撮影では1番どんな自分を見せたいと思って臨まれていましたか?渡邊:撮影に関してはエッセイパートとフォトパートを互いに邪魔させたくないというか、やっぱり読んでいる人にエッセイの内容がすっと入ってくるように、写真も透明感や純粋な綺麗さを切り取れるような感じの方向性にしました。でも実際の衣装やメイク、場所のことは、もう私は“ペーペー”なので、プロの皆さんにお任せするという感じでした。
― ご自身で1番印象に残っているお気に入りのカットはありますか?
渡邊:たくさんありますが、カーテンに夕日が差しているようなシリーズです。この日は雨が降ったり曇ったり、少し晴れ間が見えたりみたいな感じの日だったので、この光は外からライトを当ててくださって夕日っぽくしてくださったんです。私はそういう撮影に慣れていなかったので「なるほど!こうやって撮っているんだ!」という驚きと、衣装さんがカーテンを綺麗に広げてくださり、メイクさんもかっこよく仕上げてくださったのでプロの皆さんたちと一緒に作ったという感じがする1枚という意味を込めて、この撮影はとても思い出に残っています。
― 完成してみて仕上がりはいかがですか?
渡邊:文字も写真も含めてぱっと見た時に感動したというか、自分の中に違和感なく受け入れられるような形にできていたのではないかなと思いました。
渡邊渚、執筆中に感じた苦しみ乗り越えた理由
― 仕事に復帰されてから数ヶ月という中で、トラウマと向き合い続ける過酷な治療や、入院中には命を捨てようとご自身を傷つけてしまった経験など、辛い出来事をここまで細かくつづるのには、相当な勇気が必要だったかと思います。執筆中に苦しくなってしまうことはありませんでしたか?渡邊:あります。特に第1章はPTSDに入るところあたりからすごく辛くて、多分書いたのは1番最後の方でした。他はできたのにPTSDになってからの話だけうまく書けない、どうやって表現しようという気持ちになってしまって。でも書かなければいけないし、私が書いて残すことで、これを読んだ誰かにとって「PTSDでもこんなに元気になる人もいるんだ」という1つの希望になればと思いました。
そもそも私自身がPTSDと診断された時に、PTSDになった人の記録やブログが出てこなくて「誰も元気になっていないのではないか」とすごく怖くなりました。治療の選択肢として、例えば「持続エクスポージャー療法」(PTSDを克服する治療法のひとつ)と調べてもそこまで詳しいことは載っていなかったんです。だからこそ、その情報を載せるという面でもこの本は書きたいと思っていましたし、こうやって自分が本に残すことで、同じようにPTSDになってしまった人に共感してもらいたいです。私がやってきたことが絶対正解だとは思っていないのですが「こういう道を辿っていくんだ」「そういうパターンで元気になっていった人もいるんだ」という一例になって寄り添うことができればと思って、頑張って書きました。
本当に辛かったし、完成してから自分でちゃんと読み直そうと思ったのですがそのパートは「1番読みたくない!」と思いました。このPTSDに関するところは 気が重いなとちょっと思ったりもしたんですけど、書いて読んでいけばいくほど理解が深まるというか、自分がどうやって元気になってきたかの軌跡が全て乗っていて、その時の感情の理解がどんどん進んでいきましたし、自分で言うのもあれですが、かなりPTSDについて踏み込んで書いていると思うので、読んでもらえたらと思っています。ただ、精神疾患への偏見や間違った知識が正されてほしい、精神的な病気に対しての大きな改革を求めたいと思っても、やはり私1人ではどうにもならないし、私のちっぽけな頭ではそんな名案は浮かばないんです。なので、この本を読んだ方の誰かの中から、社会を変える1つのアイデアが浮かぶかもしれないという可能性に賭けているというところもあります!
渡邊渚、元アナウンサーだからこそ「伝える」
― 先程も持続エクスポージャー療法は「家族や友人にも深い心の傷を負わせてしまうかもしれない」という思いから取り組めたとおっしゃっていましたが、この執筆も辛い中頑張ることができたのは、自分のためよりも他の人のためという思いの方が強いのではないかとお話を聞いていて思いました。渡邊:そうですね。もちろん自分が元気になるためにやりたいことや仕事があるということが、すごく前向きに生きていける1つのアクションだったから書きたいというのもありましたし、やっぱり周りの人に助けてもらったので自分も今後はそうなりたいと思いました。一経験者として「静かにしていればいい」「わざわざ自分でそれを本に書いて辛い思いなんてしなくていい」という意見も確かに分かるのですが、せっかく私が元アナウンサーで「伝える」という仕事をしていた身であるのに、自分だけの経験にしていてはもったいないと思ったんです。だって、これからもっともっと私のように嫌な思いする人はいるだろうし、0にはならない病気だと思うので、そういう人たちのために、私は自分の経験や気持ちを伝えていくということが社会に対してできることなのかなと思って書いていました。
Vol.4では、これまでの苦しみを乗り越えてきた渡邊が今後どのような活動を目指しているのか、また現在の「無理しすぎない」働き方や私生活について教えてくれた。(modelpress編集部)
渡邊渚(わたなべ・なぎさ)プロフィール
渡邊は1997年4月13日生まれ、慶應義塾大学を卒業後、2020年にフジテレビ入社。2023年7月より体調不良で入院するため休養することを発表、2024年8月31日に同局を退社した。同年10月1日にPTSDを患っていたことを公表している。現在、Webサイトでのエッセイ執筆やモデル業、これまでの経験や知識を生かしたバレーボール関連のMC業など、アナウンサーという肩書きを離れて多様な働き方を実践している。
【Not Sponsored 記事】
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