なぜ振られた?『冬のなんかさ、春のなんかね』文菜の“無自覚な言動”が招いたすれ違いを読む
杉咲花主演のドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)。小説家の主人公・土田文菜(杉咲花)の恋愛に関連した日常を描き出した、情感あふれるラブストーリーだ。
そんな文菜ではあるが、2月11日に放送された第5話で、同じ大学に通う佃武(細田佳央太)に振られてしまう。その理由は作中でも語られていたが、実際には別の理由があったように思う。そこで、なぜ文菜は武に振られたのかを考えてみたい。
◆元カレと比較されるプレッシャー
武にとって文菜は人生で初めての彼女らしく、何気ないデートの一つひとつに幸福感を覚える。幸せの絶頂の中、「武の家で一夜を過ごそうか」というタイミングで、武は文菜に元カレと別れた理由を聞く。「俺ね、土田さんのこと本当に好きで。だから、どう終わったのかっていうのは知っておきたい。気をつけたいし」と話す。これに文菜は「付き合ったばかりなのに、もう終わりを気にしてるの?」と返すと、武は「終わりたくないから気にしてる」と口にする。
また、武は「『好きになった方が負け』とか言うでしょ?ちゃんと好きにならせなきゃ、とか、自分の好きが負担にならないように、とか。依存しちゃうのはよくない、とか」「俺、そういうのできないからさ、最初に言っておくね。だから、うざくなったり重くなったり気持ち悪くなったら言ってね」とも語っていた。文菜が初彼女ということで、かなり武は別れることを警戒しているように思える。「女々しい」と言ってしまえばそれまでではあるが、「文菜との関係性を大切にしたい」という気持ちは伝わってくる。
しかし、この2か月後に武は文菜に「もっと好きになってほしかった」という理由で別れを告げる。文菜への思いの深さを語っていただけに、この手のひら返しの速さに面食らった。しかし、武は自分に自信があるタイプには見えない。「元カレと比較されることへのプレッシャー」「恋人にみっともなく依存してしまうことへの恐怖心」など、いろいろな背景がうかがえる。そんな不安を払拭できるほどの愛情を文菜から感じられず、この決断に至ったのだろう。
◆舐めプ的な言動
その後、文菜は「優しすぎる人とは恋愛の相性が悪い気がする。恋愛なんて、わがままな者同士が相手に迷惑をかけ合いながらでしか育めないものだと思うから」と語り、うまくいかなかった原因を武の優しさだと考えていた。もちろん、それが決め手になったのは間違いない。とはいえ、文菜自身が目を向けていなかったが、文菜の“小悪魔的な言動”が主要因なのではないか。
まず第5話序盤、武が文菜を大学の教室に呼び出して告白するシーンを振り返りたい。武は「付き合ってください」と告げるが、文菜は笑い出し、「なんで?」「きっかけとかあった?」と答えを言わずに理由を聞く。そして、見た目がタイプだったことに加え、大学の中庭で涙を流しながら本を読んでいた姿に惹かれたからだと説明する。
すると文菜は「本当にごめんなさい」と謝り、武は振られたと思って動揺する。しかし、その謝罪は読書中に目薬を差していたため、涙を流しているように勘違いさせてしまったことに対するものだった。結果的に告白の答えは出さずに保留した。
これだけ引っ張ったのに答えは出さない。さらには、告白されている状況で「本当にごめんなさい」という言葉を発する。武からすれば生殺しもいいところだ。第1話で、数年後の彼氏になる佐伯ゆきお(成田凌)と初めて会った時も、ゆきおを揺さぶるような言動を見せている。どうにも文菜は、相手からの好意がわかっている状況下では、相手をおちょくる“舐めプ”のような言動を繰り返すクセがある。
また、もう1つ気になったシーンを挙げたい。付き合うことはなかったが、映画デートを繰り返す仲になり、文菜の誕生日に改めて武が告白して2人は付き合うことに。その際、2人はお互いの呼び方を相談する。文菜は「私はなんて呼んだらいい? 下の名前?」と確認し、続けて「え? 佃って下の名前なんだっけ? 武で…合ってる?」と聞いていた。
いくら普段呼び慣れていない名前だとはいえ、何度もデートを繰り返している武の下の名前を確認する言動には首を傾げたくなる。無論、照れ隠しの可能性もある、しかし、「相手の好意のほうが上であることを示したい」「相手に追いかけさせたい」という願望を感じてしまう。
こうした何気ない言動が武の不信感を募らせ、結果的に「もっと好きになってほしかった」という気持ちにさせたのではないか。決して武の性格だけが原因ではなく、文菜の言動による影響も大きいように思う。
もちろん、この考察は的外れかもしれない。それでも、恋愛ドラマでこれだけ登場人物の心境を考えたり、自分自身の過去と照らし合わせてダメージを受けたりさせてくれる作品は珍しい。今後も賛否両論は巻き起こるだろうが、語りたくなるドラマとして楽しませてくれそうだ。
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