天海祐希と教え子‟21年ぶり再開”で再評価 今こそ刺さる『女王の教室』が描いた社会の不条理
2005年に放送された『女王の教室』(日本テレビ系)は阿久津真矢(天海祐希)と6年3組の児童を中心に繰り広げられる物語で、社会現象ともいえる反響を巻き起こした。2月9日放送の『しゃべくり007』(日本テレビ系)で、天海祐希と当時の生徒役キャスト8人が21年ぶりの再会を果たした。
◆なぜ、『女王の教室』は名作となったのか神田和美(志田未来)と同世代の筆者は、本作をリアルタイムで視聴していた。‟生きづらさ”を抱える中で本作は心の支えであり、子どもながらに天海演じる真矢の言葉に妥当性を感じていた。
真矢は‟鬼教師”と恐れられ、シニヨンヘアに黒服姿で、笑顔を見せない。また、真矢独自のルールは厳しいものばかりだ。例えば、テスト最下位の2人が給食当番や掃除当番など、クラスの雑用をすべて引き受けなければならない。真矢と個人的に話せるのも成績上位の児童に限られる。
真矢は「日本という国は、そういう特権階級の人が楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を支払うことで成り立っているんです」「私があなたたちにした以上のひどいことは、世の中にいくらでもあるの」と、児童に言い放った。これらの言葉は冷酷だが、社会人になった今は、小学生の頃よりもその意味を深く理解できるようになった気がする。
真矢が児童に厳しく接し、ルールを徹底させるのは、厳しい社会で生き抜く力や、自ら問題を解決する力を培うためでもある。
小学生の彼らには、24時間見守ってくれている真矢もいれば、クラスメイトという仲間もいる。しかし、社会に出れば、助けてくれる人も仲間も常にいるとは限らない。また、何事においても不器用な馬場久子(永井杏)は、真矢のルールの中でしわ寄せを受けていたが、それは実社会でも起こりうることだ。
脚本を手掛けたのは遊川和彦。遊川作品は『偽装の夫婦』(日本テレビ系)や『過保護のカホコ』(日本テレビ系)など、大きな愛に包まれた作品が多い。
『女王の教室』も同様に、愛が根底に流れている。最終回のラストでは、中学校の制服姿の和美が真矢と道で再会を果たす。「先生、アロハってたくさん意味があるんですよ。ハローとグッバイと、あと1つは何か知ってます?」と尋ね、真矢が「I Love You」と答えると、和美は「先生、アロハ!」と言って走り去り、真矢は笑みを浮かべて見送っていた。この場面はドラマ史に残る名場面として刻まれ、真矢と和美のやりとりに心温められた視聴者は多いと思う。
天海を含む制作陣は作品の真髄を理解していたからこそ、クレームが殺到する中でも、ブレることはなかったのだ。◆『女王の教室』同窓会 天海祐希と生徒役キャスト8人が再会2月9日放送の『しゃべくり007』では、天海と6年3組の児童役を務めた元子役8人が21年ぶりに再会し、それぞれの目には涙が浮かんでいた。
真鍋由介役の松川尚瑠輝、久子役の永井杏、佐藤恵里花役の梶原ひかりら、当時の面影を残しつつ大人になった姿が感慨深かった。芸能活動を続けている人、結婚した人、一般企業で経理として働く人など、道はさまざまだ。
当時、天海は『女王の教室』の世界観を守るため、子役とは親しくせず、距離を置いていた。しかしその一方で、作品づくりに共に励む子どもたちのことを気にかけていた。
夏休みをドラマの撮影に充ててくれた子役たちを労い、彼らにとって最高の思い出になるような作品にしなければと考えていたそうだ。
また、天海は一人ひとりにも目を向けていた。カメラが向かないシーンでも全力で演じる田中桃役の伊藤沙莉には、幼い彼女を気遣いながらその努力を直接称えたこともあった。和美を裏切ったひかり役の梶原には、役と本人が子役の間で混同されないか心配していたという。
教え子役を演じた彼らの姿を見て、現在の職業に関係なく、夏休みの撮影現場は、かけがえのない特別な思い出として心に残っているのだろうと感じた。
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