小池栄子はなぜ‟グラビア出身の偏見”を覆せたのか NHKも信頼する実力派女優への軌跡
女優の小池栄子が主演する、5月放送予定のNHKドラマ『ムショラン三ツ星』(全5話)の制作がスタートした。制作統括担当者は「既成概念を打ち砕く主人公を巧みに演じている」と絶賛し、すでに撮影現場での評価が高い。小池はグラビア出身で知られるが、なぜ彼女は「演技派女優」として大成することができたのか。
『ムショラン三ツ星』は、刑務所内の知られざる食のあり様を描いた、現役の刑務所管理栄養士・黒栁桂子氏による傑作ノンフィクションのドラマ化。腕利きのイタリアンシェフとして名を馳せた主人公・銀林葉子(小池)が、ふとしたことから刑務所の管理栄養士として働くことになり、塀の中の刑務官や受刑者たちとのトラブルや騒動を乗り越える姿を描く社会派コメディとなっている。
小池は今作について「刑務所のご飯。ぼんやりとは想像出来ても、そこには管理栄養士の方の想いや刑務官の方々の葛藤があるんだと学びました。この作品を通して『人が食事をする尊さ』が伝われば良いなと思っています」と語りつつ、「私が演じる銀林葉子のモデルであり、原作者の黒栁桂子さんの気持ちを大切にしながら丁寧に演じたいと思います」と、原作者へのリスペクトを示しながら意気込んでいる。
近年、小池は女優としての評価が上がり続けており、昨年6月に大手ランキングサイト「ランキングー!」が発表した「演技が上手い女優ランキング」で3位、昨年10月に「タレントパワーランキング」が公開した「Z世代に支持されている40代女優ランキング」で2位と、視聴者からの支持も高い。
大ヒットしたNetflixドラマ『地面師たち』や2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などでバイプレーヤーとして作品を支えた一方、日本テレビ系『コタツがない家』(2023年)やフジテレビ系『新宿野戦病院』(2024年、仲野太賀とダブル主演)などでは主演女優として輝き、サブからメインまでこなせる実力派として業界で信頼を集めている。
小池といえば、当時イエローキャブの社長だった野田義治氏にスカウトされ、90年代後半に女優志望として芸能界入り。しかしオーディションになかなか受からず、当初は難色を示していたグラビアを始めたところ、抜群のプロポーションが話題となりブレイク。本人も「コンプレックスだった大きな胸が武器になる」と考えを改め、積極的にグラビアに取り組むようになった。その後はバラエティでも活躍し、女優業も本格的にスタートさせたのだが、グラビア出身者は色眼鏡で見られやすく、「女優として大成しにくい」というのが当時の業界の定説だった。小池がその定説を覆し、誰もが認める演技派女優へと成長した大きな理由として、業界内では「努力家」である点を挙げる声が多い。
女優としてのターニングポイントとなった2011年の映画『八日目の蝉』の成島出監督は、過去のインタビューで小池について、「とにかく頭がよくて勉強家で、すさまじい努力家でもあって、セリフ覚えは完璧」と証言。売れっ子女優になってからも定期的に舞台に出演し、表現力を磨くことも怠らない。そうしたストイックな姿勢が演技力を成長させていった。
もう一つの大きなポイントがバラエティの経験だ。小池は芸人顔負けといわれるほどトークスキルが高く、バラエティではタモリやウッチャンナンチャン、爆笑問題、ダウンタウン・松本人志ら多くの大物との絡みもうまくこなし、存在感を示してきた。
バラエティで活躍するためには、番組側や共演者、視聴者が何を求めているのかを察し、臨機応変に対応する必要がある。会話のテンポやコメントを差し込むタイミングも重要だ。バラエティで場の空気を読む力や話術、柔軟な対応力が培われ、それが女優業にも活かされている。三谷幸喜作品の常連となっているのも、バラエティで鍛えられたコメディエンヌとしての才能が評価されているからだろう。
小池は過去の女性誌のインタビューで「グラビアやコント、バラエティをやってきたおかげで、すごくメンタルが強くなりました」と語っており、グラビアやバラエティの経験が大きな糧になったことをうかがわせている。
コメディ系作品である『ムショラン三ツ星』は、バラエティで揉まれながら話術を磨いてきた彼女にとってまさにぴったりの作品。原作者の想いを尊重しようとする姿勢も「さすが」のひと言で、どんな作品になるのか期待せずにいられない。
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