松嶋菜々子

『おコメの女』視聴率は好調も…松嶋菜々子ファンが惜しむ‟既視感”と‟らしさ不足”

2026.01.29 17:03
提供:ENTAME next

松嶋菜々子主演の『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』(テレビ朝日系)が好評放送中だ。初回の世帯視聴率は10%を記録し、2話・3話は視聴率をわずかに落としたものの、依然として高視聴率を維持している。放送前からシリーズ化の噂もあった『おコメの女』だが、テレビ朝日を代表する新たなシリーズ作品になる可能性が現実味を帯びてきた。今回は、本作のファンであり、松嶋の20年以上のファンでもある筆者が、あえて厳しい目で論評する。

◆勧善懲悪にスカッとする一方で感じる‟既視感”『おコメの女』は、毎回3つの要素を軸に展開される。1つは、米田正子(松嶋菜々子)らザッコクメンバーが悪徳脱税者の実態を暴き、成敗する痛快な要素。2つめは、各話ごとにザッコクのメンバー1人ひとりにスポットを当て、個人的な問題や過去が描かれる人間ドラマの要素。3つめは、‟新潟の星”と称えられる若手政治家・鷹羽宗一郎(千葉雄大)が、物語の裏で重要な事件の鍵を握っていることをほのめかす推理的な要素だ。

ただし、筆者の率直な感想として、各話のクライマックスとも言えるザッコクメンバーと悪徳脱税者の対峙が単調で、悪人成敗“あるある”の展開にもの足りなさを感じている。

例えば第1話では、“年金ビーナス”と呼ばれる紅林葉子(アンミカ)が高齢者から老後資金をだまし取り、脱税していた事実を突きつけられると、悪事を暴かれた悪人あるあるの高笑いをした後、「クソが」「なんなのよ あんたら! 正義面で 金、むしり取りやがって」と吐き捨て、上品な振る舞いから一変し、本性を剥き出しにした。

第2話では、老舗和菓子店「福はぎ庵」の番頭・砂原(徳井優)が、現金払いから中抜きしていた事実が明らかになると、‟後継者になりたかった”という本音を吐露して「いつまでもベビーシッターみたいなことばかりさせやがって!あの たぬきおやじ(先代)!」「ふざげるな!」と声を荒らげた。

悪事を暴かれて逆ギレしたり、高笑いしたり、化けの皮が剝がれたりする展開は既視感が強いというのが正直なところだ。

また本作では、悪徳脱税者が不正を重ねて‟脱税した”という事実のみが描かれており、不正に至った細かい心理や過去がほとんど描かれていない。もし、脱税に至るまでの葛藤や背景が丁寧に描かれていれば、視聴者の感情を揺さぶるような、より厚みのある人間ドラマになったかもしれない。ただし、この単調さは、物語の裏側を読むことで別の意味を持ってくる。

米田正子は“納税は国民の義務”という強い信念のもとで仕事に取り組んでおり、脱税者個人に対してはさほど関心がなさそうだ。たとえば第2話では、福はぎ庵の先代店主・萩本新太郎(おかやまはじめ)の息子である亜紀也(結木滉星)と莉杏(上村海成)のわだかまりが溶け、横領した砂原を庇う場面があった。感動的シーンではあるが、正子はその様子を冷静に見つめ「はあ…。あの…もういいですか?」「税金を納めるのは国民の義務です」ときっぱり述べていた。この台詞のあと、若い兄弟に助言を与えるものの、感情移入はしない。

現実社会においても、脱税者の多くは何らかの事情を抱えているだろう。だとしても、意図的な脱税は許されない。国税調査官にとって重要なのは個人の背景ではなく、法に基づく事実関係だ。本作の描写は、その冷徹さと職務意識を意図的に強調しているようにも思えるのだ。

◆松嶋菜々子ファンが惜しむ‟チャームポイント”とは本作で松嶋菜々子が演じる正子は、だぼっとしたシンプルなパンツスーツにナチュラルメイク、黒縁メガネという装い。髪型も手入れのしやすさを重視した実用的なスタイルだ。正子の関心はファッションよりも、おいしいご飯を食べることと悪徳脱税者を見逃さないことにあることがうかがえる。

こうしたキャラ設定だと分かっていても、筆者は松嶋の煌びやかなキャリアウーマン姿をどこかで期待していた。シンプルでありながらもファッショナブルなスーツに身を包み、ロングヘアを揺らし、ハイヒールをコツコツ鳴らして歩く姿を想像していた。『美女か野獣』(フジテレビ系)の鷹宮真や、『SUPER RICH』(フジテレビ系)の島谷聡美のような垢抜けて洗練された役を見られると思っていた。

ラグジュアリーでありながらシンプルなスーツやジャケットを着こなす松嶋は美しく、彼女にしか醸し出せない魅力であり、松嶋にこのスタイルを求めるファンも少なくないだろう。

また、正子のトレードマークでもある黒縁メガネが、松嶋の表情をやや隠してしまっている点も惜しい。大地真央が会見で「菜々子ちゃんの声と目が好きとお話したんですけど…今回はメガネがあるので。見たいなっていうところがあるんですけれども」と話していたが、筆者も同じことを思っていた。

とはいえ、知性と仕事への厳しさの中に愛らしさを併せ持つという正子の魅力は、松嶋の持つイメージにぴったり重なっている。これまでとは一味違う、松嶋扮する正子を存分に楽しみたい。

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