黒木瞳

『ザ・ロイヤルファミリー』黒木瞳はなぜ「狡猾な悪女」が似合うのか その奥に宿る“愛に満ちた”人間性

2025.11.06 18:03
提供:ENTAME next

お茶の間で見せる黒木瞳は「オヤジぃ。」(TBS系)の神崎美矢子、「おトメさん」(テレビ朝日)の水沢麻子 、「過保護のカホコ」(日本テレビ系)の根本泉など良妻賢母の役が多かったが、近年は新たな魅力を披露している。SNSでは“黒木瞳は美人だから悪役との相性がよい”なんて声も。現在放送中の「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS系)では、佐藤浩市演じる夫・耕造に策略を巡らせる京子を好演している。今回は、近年における黒木の演技の魅力に加え、黒木瞳という人物像に迫る。

狡猾な女性の役がなぜかハマる黒木が「ザ・ロイヤルファミリー」で演じるのは、人材派遣会社ロイヤルヒューマンの創業者であり、競馬界の著名な馬主である山王耕造(佐藤浩市)の妻、京子だ。耕造は馬を愛し、競馬に希望を託しているが、妻の京子は馬も競馬も大嫌い。秘書の栗須栄治(妻夫木聡)から「お嫌いなんですか? 競馬のことが」と尋ねられた際、「ええ」と即答した場面もあった。

京子は夫のライフワークに理解を示さず、性格は刺々しく、自分の思い通りにするためなら手段を選ばないタイプだが、彼女にも事情がある。京子が競馬を嫌う理由があることは、“馬も嫌いだが、それ以上に父のことが大嫌い” “父は馬が負けた理由を母のせにするような人”という台詞からも察することができる。競馬好きな父のことでつらい経験をしたがために、競馬にのめり込む夫が許せないのだろう。

近年の黒木は、経済的に恵まれ社会的地位を得ながらも、孤高に戦い、周囲に厳しい態度を見せるような女性の役柄で高い評価を得ている。

2024年夏に放送された、石橋静河が大石理紀役で主演した「燕は戻ってこない」における草桶千味子役も話題になった。千味子は息子・基(稲垣吾郎)とその妻・悠子(内田有紀)の間に子どもができないため、代理母・理紀に自分と息子の遺伝子を継がせようと企てる。孫ができないことの焦りや不安から理紀を厳しく管理しようとし、自身がストイックに生きているゆえに理紀を受け入れられない。それでいて、理紀を搾取することに罪悪感を抱いている。

また、2019年に放送された、三浦春馬が結城大地役で主演した「TWO WEEKS」(関西テレビ系)では、黒木は黒幕となる国会議員・久我早穂子を演じた。第9話で早穂子が大地の顎を指で持ち上げ挑発するシーンは恐ろしく、強く印象に残っている。しかし、早穂子は根っからの悪人というわけではなく、大地を陥れたのも病いの息子への愛情が根底にあった。

黒木は、これらの役の深層心理を繊細に表現しており、視聴者に“この人物がこうなった背景には何かがあるはずだ”と思わせる深みをもたらしている。黒木は葛藤や孤独、悩み、不安を台詞では語らずとも、全体の雰囲気やふとしたときに見せる表情で巧みに表現する。黒木の凛とした気品と華やかさは、悪役として作品に赤いバラのような鮮やかな存在感を与え、嫌味なく上品な魅力を添えている。古きよき日本を彷彿させる黒木の生き方近年、“美人で狡猾な女性役”が視聴者から高く評価されている黒木だが、筆者には古風な優しい女性という印象がある。その人柄のよさは今秋に出版されたエッセイ集「甘くない話」(清流出版)からも伝わってくる。12歳の頃に谷川俊太郎の詩に心惹かれ、自身も詩を書きはじめた黒木。そんな彼女らしく、日常の出来事、家族や親しい人たちへの愛情、敬意がまっすぐな気持ちで、ていねいに綴られている。

また、個人的におすすめしたいのが、2010年刊行の「母の言い訳」(集英社)だ。ご主人との何気ないエピソード、女優と子育てを両立する日々の出来事で多くのページが占められているのだが、「母のがらくた」という章があり、黒木が堅実な家庭で育てられ、今もなおその心を受け継いでいることが感じられる。

故郷を愛し、親を敬い、周囲の人や物を大切にし、余暇に本を読むのはごく普通のことかもしれないが、今の時代においてこうした心や習慣は薄れつつある。黒木のエッセイを読むと、あるいは黒木の生き方にふれると、“甘くない時代”だからこそ大切にすべきモノ、日々の暮らしの中でどこかに置き忘れてしまったモノに気付かされる。

彼女の唯一無二の魅力は、宝塚の娘役時代から変わらず観客を夢の世界へ誘うエンターテイナーとしての力と、近年見過ごされがちな和の心を大切にする素朴な人柄をあわせ持つことにあると思う。

堅実だが…競馬好きな一面も!?最後に、「ザ・ロイヤルファミリー」にちなんで、黒木と競馬についてふれておく。本作では馬も競馬も嫌いな京子を演じているが、黒木が競馬好きであることは知る人ぞ知る話だ。

今年4月、阪神競馬場で開催された桜花賞の表彰式プレゼンターを務めた黒木は、“競馬に熱中していた時期もあり、府中や中山に足しげく通っていた時期もある”と語っていた。加えて、自身のブログでも競馬ネタを時々披露している。

また、黒木は乗馬もしている。2024年8月、大地真央と共演したラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」でも乗馬の話になったが、黒木は大地がおどろくほど上達がはやいようだ。

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