【何観る週末シネマ】謎だらけの悪魔?アート・ザ・クラウンが今度はクリスマスを襲撃『テリファー聖夜の悪夢』

2024.12.05 17:03

提供：ENTAME next

この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『テリファー聖夜の悪夢』。気になった方はぜひ劇場へ。

〇ストーリーハロウィンの大虐殺を生き延びたシエナとジョナサンはトラウマに苦しみながらも人生を立て直そうと奮闘していた。しかし、街がクリスマスシーズンになり、聖夜を祝おうとする住民たちをよそに、アート・ザ・クラウンが再び姿を現し絶望のどん底に陥れる。

〇おすすめポイント行き過ぎたゴア描写と人体崩壊でホラー映画界に彗星のごとく現れた、謎の殺人鬼アート・ザ・クラウン。シリーズごとに知名度と公開規模が比例し、日本でも劇場公開されるほどになったが、あの殺戮シーンをスクリーンで観るのは勇気がいる行為だ。

ゴア描写満載な作品というのは、インディーズやDVDストレート作品には多くあって、ホラー専門雑誌「ファンゴリア」などを読むと、たくさん広告が掲載されていたりもする。しかし一般的な劇場で、しかもこれほどの規模で公開されるまでに発展したのには、全力で振り切った監督ダミアン・レオーネの度胸とセンスが感じられる。

さらにダミアンは、独学で特殊メイクや特殊効果を学んだという強者。それなのにチープさを感じさせないのは、もはや天才的。

想定外にシリーズが増えたことによる後付けなのかもしれないが、このシリーズには、大きなテーマが隠されているようにも感じられ、ダミアンな大きなヴィジョンが少し見えてくるものとなっている。

今までハロウィンに出没していたアート・ザ・クラウだが、今回はクリスマス。プレゼントを楽しみにしている子どもたちも容赦なく餌食となっていく。さすがに子どもたちに関しては配慮されているようでもあるが、それでも……。

シリーズとして、展開的に新たな一歩を踏み出したと思えるのは、無意味な殺人なのかと思われてきたアート・ザ・クラウンが、まだまだ謎が多いなかでも、どういう存在なのかが、何となく見えてくるからだ。

ホラー映画には、例えば「13日の金曜日」のジェイソンハンターや「チャイルド・プレイ」のチャッキーハンターなどのように、登場人物のなかから、因縁関係が構築されることが多いが、このシリーズの場合もクラウンハンターとなったシエナとアート・ザ・クラウンの因縁の対決がシリーズを通して描かれていく。

前作『テリファー終わらない惨劇』(2022)までがプロローグとするなら、今作はついにその戦いが始まる第1話。すでに4作目(『テリファー0』を加えると5作目?)の制作が予定されていることも考慮すると、今後もしばらく続くロングランシリーズになりそうだ。

いつまでアート・ザ・クラウンと向き合っていかなければならないのだろうか……。鑑賞の際は自己責任で……。

（C）Terrifier 3 LLC, 2024

〇作品情報『テリファー聖夜の悪夢』監督・脚本:ダミアン・レオーネ出演:ローレン・ラベラ、デヴィッド・ハワード・ソーントン、サマンサ・スカフィディ、エリオット・フラム、ダニエル・ローバック、クリス・ジェリコほか2024年/アメリカ/英語/121分/カラー配給:プルーク、エクストリームフィルム公式HP:terrifier-movie.jp11 月 29 日(金)より TOHO シネマズ新宿ほか全国公開