福山雅治の長崎ライブに2万5000人が集結 さまざまな思いを具現化し長崎スタジアムシティで魂を入れた“伝説の日”を実現
福山雅治が10月13日、長崎スタジアムシティのこけら落としとなるフリーライブ「Great Feedom」を開催。地元・長崎への思いを具現化した、熱いステージを繰り広げた。
こけら落としのライブに約2万5000人が集結
10月14日から開業する長崎スタジアムシティのこけら落としとなる今回のライブ。長崎スタジアムシティ公式アプリで募集された約2万5000席分のチケットには、全国から53万人を超える応募が殺到したという。
PEACE STADIUM Connected by SoftBankの客席を埋め尽くした観客が開演を待ちわびる中、長崎スタジアムシティ内に隣接するHAPPINESS ARENAで開催されたライブビューイングの会場が大きく沸く。
「地底人ラジオ」で幼なじみの荘口彰久アナと福山が、プロバスケットボールクラブ・長崎ヴェルカのユニフォームを着てサプライズで登壇。まさかの福山の登場に、約5000人の観客は沸き返る。
今回のライブにおける福山のスタンスは単なるライブのキャストではない。地元・長崎の企業であるジャパネットグループが地域創生事業として取り組む「長崎スタジアムシティ」プロジェクトに共鳴した福山は、2022年6月に同プロジェクトのクリエイティブプロデューサーに就任。
ライブ開演前に会場で上映されていたCM映像をはじめとするPR・クリエイティブの監修を務め、コンセプトワークやディレクション、演出などに携わって、この日を迎えている。
大一番直前のサプライズ登壇というアクションからも、自ら率先してプロジェクトや観客を大いに盛り上げ、楽しませたいという福山の気概が感じられた。
スタートから最高潮のような盛り上がりを見せる
開演が迫る中、荘口アナの影アナウンスを合図に、約2万5000人が手拍子を始める。その熱気に応えるかのようにステージではサポートミュージシャンが演奏をスタート。
バンドのスペクタクルなオーバーチュア(前奏)に誘われて、白のコスチュームを着た福山がステージに登場し、そのまま花道をゆっくりと歩きセンターステージへ。ギターを掲げると「HELLO」がスタート。「ようこそ長崎へ!」と、爆発音と共にあいさつ代わりの1曲目から最高潮のような盛り上がりを見せる。
「会いたかったですよ、長崎!!そして帰ってきました長崎!!そしてそして、ようこそスタジアムシティへ!!」「生まれ変わったこの街、新しい人生が始まった感じです」「フリーライブにすることで、話題にしていただきたかった」と、ジャパネット関係者、会場、パブリックビューイングの観客への感謝を伝える。
「お一人お一人の人生と僕の人生が一つになることを」と語り、18歳の頃ギター1本で長崎から上京した自らのヒストリーと照らし合わせるかのように、まさにギター一本の弾き語りから「少年」を歌い始める。
このPEACE STADIUM、セールスポイントの一が、ピッチから最前列の客席までの距離が最短約5mという臨場感。センターステージの福山の姿がとても近くに感じられ、約2万5000人の大合唱と手拍子が場内にこだまする。
そこから間髪入れずに「All My Loving」へ。アメリカン・ポップス調の弾むリズムの中、ドライブインやルート66など、アメリカンなネオンサインのCGが映し出され、デビュー後、ルート66の横断旅行からさまざまな経験を持ち帰った福山の原点の一端を想起させる。
キャノン砲による銀テープ発射を挟んで、巨大なメインステージ左右を軽快に闊歩。続く「聖域」では、12本もの盛大な火柱の中、ロカビリー調のリズムにサックス、バイオリンがジャジーに絡むアレンジに乗って、スタンドマイクとハンドマイクを使い分け、妖艶さと貫禄を兼ね備えたパフォーマンスを見せつける。
続いてストラトキャスターを抱えて「虹」、そして再びアコギを抱えて、長崎の海の映像を背に歌いはじめた「18 ~eighteen~」、再びセンターステージに移動しての「Good Luck」と、まだ何者でもなかった長崎時代の心象風景を歌い上げていく。
福山の長崎における大規模ライブは、2015年の稲佐山公園野外ステージでの「福山 夏の大創業祭 稲佐山」以来。2020年9月にもデビュー30周年記念のライブを予定していたが、コロナ禍の影響で翌年に延期。最終的にはやむなく中止となったため、ライブとしては9年ぶりの凱旋(がいせん)で、長崎でのライブは福山にとって、より感慨深いものだと感じられた。
この日のために書き下ろされた新曲も披露
観客のライトバングルの灯が映える夕暮れを迎えると、LEDスクリーンにライブ映像の月が映し出され、「みんなと同じ月を見ながらライブをするのは、僕にとっても初めての経験」「音楽にお芝居、自分が気付かない自分の可能性を見出してくれたリクエストには、120パーセントで応えてきた」と話す福山。
稲佐山ライブ、テレビドラマ、映画といった活動が経済効果を生み、ひいては地域の活性化につながったというこれまでの足跡を振り返りつつ、「人生のテーマソング」というテーマで、タイアップ曲として広く世に知れ渡った楽曲を歌い上げていく。
「ヒトツボシ」(映画「沈黙のパレード」[2022年]主題歌)、「家族になろうよ」(「ゼクシィ」CMソング)、「道標2022」(「NEWS ZERO」[日本テレビ系]エンディングテーマ)での力強い歌声に、無数のライトバングルの光が呼応し、揺れている。
会場が夜の闇に包まれ、スクリーンには今回のライブ「Great Freedom」(=大いなる自由)というタイトルに込めた思いを伝えるイメージ映像が映し出される。
西欧の文化の風を受けて繁栄した長崎の歴史。経済成長や戦争を経て変化し続けてきた自由の形。そこに音楽に目覚めた少年時代の福山がオーバーラップして、新たな歌へとつながっていく。この日のために書き下ろされた新曲(※タイトル未定)だ。
疾走感あふれるアレンジに乗せて、夢を追い、敗北や挫折を繰り返しながら、それでも創造を、自分らしさを求める自由な魂の旅路を描いた歌詞が“新しい長崎”にこだまする。アウトロのラップ調のヴァースも新鮮な1曲だった。
ベルベットのセットアップを纏った福山が「後半戦、もっともっと一つになりましょう!!C'mon NAGASAKI!!」と声を上げ、コードをかき鳴らして「KISSして」へ。
スタンド中段にも設置されている帯状のLEDスクリーンがメインステージのLEDスクリーンと連動して、カラフルなグラフィックスを全方位で展開。従来のアリーナ/スタジアムクラスの会場とはひと味異なる一体感の中、福山のギターソロが長崎の夜空を貫いていく。
ロックな勢いはますます加速し、「ガリレオ」(フジテレビ系)のオープニングテーマで知られるインストゥルメンタル曲「vs.2022 ~知覚と快楽の螺旋~」では、バンド全パートによるスリリングな掛け合いが繰り広げられる。
さらに、“闇落ち”した姿で肥大化するポップアイコンというペルソナを演じ切る「Popstar」、バンドのヘビーなミドルテンポのグルーヴと絡みつくようなボーカルの醍醐味が秀逸な「Cherry」と続く。特効の炎と真紅のレーザーに包まれながら、福山のポップ&ロックの魅力が文字通り“燃え上がった”。
一転、眩い光に包まれて始まったのは「万有引力」。最新ツアーでも披露されてきたこの曲は、スタジアムの会場にも映えるスケールの大きさを感じさせる。やがて、鐘の音のSEから「想望」へ。飽くなき希望と理想の追求、そして鎮魂の祈り。最新曲2曲がクライマックスを担うステージングに、福山の今現在の音楽活動の充実ぶりが感じられる。
「こんなにいい月を用意してくれたのはあなたですよね!?」「もう一発、1つになりましょう!!」という呼び掛けから、「明日の☆SHOW」へ。
バンドのおだやかなアンサンブルと温かなライティングが彩る中、約2万5000のリストバンドによって長崎スタジアムシティが“明日のお日様”のような黄色で染め上げられる。最後は福山がステージからノンマイクで「どうもありがとう!!」と感慨無量の想いを伝え、本編は幕を閉じた。
さまざまな思いを具現化したライブは“伝説の一夜”に
盛大なアンコールの拍手と歓声の中、「待っていてくれてありがとう」というメッセージから長崎スタジアムシティの開業までの軌跡をまとめた動画を上映。このスタジアムをホームとするV・ファーレン長崎の面々、工事関係者、地元の人たちの笑顔、そして今後、同会場で行われるはずのエンターテインメントを楽しむ人々のイメージ。
数え切れない人々に支えられて誕生した“新しい長崎”の思いを届けるべく、チェック柄のシャツとデニムを着た福山とバンドが再びステージに登場。一層眩いライティングの中、「光」を高らかに歌い上げる。
さらに、たおやかなベースのフレーズを挟んで、センターステージからアコギを弾きながら「桜坂2024」へ。桜の花びらが全方位で舞い散るグラフィックと、福山の切々としたボーカルに観客は酔いしれている様子。
メインステージに戻った福山は、金原千恵子、山木秀夫、今剛、小倉博和、山本拓夫、高水健司、バンドキャプテン・井上鑑らバンドメンバーを紹介。次いで、10月11日に日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことに触れ、「この受賞には大きな意味があると思います」とコメント。
「全ての歌がここで歌われることにつながっていたように思える」と言葉を続けると、「全ての命が平等であるように、祈りを込めて作った曲」と、井上と2人で「クスノキ」を演奏。アコギを弾きながら、魂の在り処、その奪われることなき不倒の精神を朗々と歌い上げていく。強い思いが込められているかのようなフレーズ一音一音の輪郭が印象的だった。
「ここで終わり、のはずなんですが…もう1曲いいですか!?」「最後は明るく、ドカンと終わりましょうかー」「僕のライブのテーマソングとも言える1曲で、みんなと1つになりたいと思います!!」と笑顔で呼び掛けると、ギター一本の弾き語りスタイルで「幸福論」へ。
ハンドクラップで応える2万5000人の観客と福山は、もはやライブハウスのような距離感に。途中、福山があらためて長崎スタジアムシティの関係者と警備、行政関係者に労いの言葉を挟み、客席に「成功と言ってもいいんですかね!?」と問い掛け、観客が拍手で応える。
全てのパフォーマンスを終え、「エンターテイメントによる社会課題の解決につながればという思いで今日のライブを行いました」というMCから、福山は株式会社ジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼 CEO 高田旭人氏をセンターステージに呼び込む。
「2年前から『伝説の日を作ろう』と2人で語り合ってきた。スタジアムに魂を入れてもらった。この思いをつなげていきたい」と万感の思いを語る高田氏。そして、「最後に、長崎の皆さんに2人からプレゼントです」と告げ、700発の盛大な打ち上げ花火が長崎の空を彩っていく。
大輪の花火の轟音の中、福山は「また会いましょう!!」と叫び、客席に笑顔で投げキッス。全てのパフォーマンスが幕を閉じた。
本会場約2万5000人、ライブビューイング会場約5000人、長崎県内全域自治体主催ライブビューイング約8500人。そして公式アプリによる生配信の視聴者27万8000人を合わせた計31万6000人のオーディエンスが見守る中、「Great Freedom」は成功を収めた。
これまでの福山、これからの福山。これまでの長崎、これからの長崎。エンターテインメントによる社会貢献の新しい形。デビューを飾った1990年代から2000年代、2010年代、2020年代からの選曲に新曲までをも交えたセットリストによってあらゆる思いを具現化したライブは“伝説の一夜”として語り継がれるのにふさわしいステージとなった。
なお、12月18日(水)には「FUKUYAMA MASAHARU LIVE FILM 言霊の幸わう夏 @NIPPON BUDOKAN 2023」のBlu-ray&DVDをリリース。2024年1月に4週間限定で劇場公開された際には収録されていなかった5曲も加え、さらに“理想のライブの音”にどっぷりと没入して楽しむことができる公演全編25曲を収録したライブ音源が2枚組CDとしても付属する。
※高田旭人氏の高は正しくは「はしごだか」
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