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【何観る週末シネマ】通して描かれてきた”自分らしさ”とは何かの回答とは『劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ』

2024.05.24 20:37
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この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ』。気になった方はぜひ劇場へ。

〇ストーリー1989 年、冬。中学教師・甘利田幸男は、北の地に降り立った。隠し持った真の目的はアレを味わう事。だが赴任から一年以上経つもアレが献立に登場する事は無い。相変わらず給食のために学校へ行き、食のライバル粒来ケンと毎日密かにしのぎを削っている。一方、新米教師の比留川愛はそんな甘利田に憧れを抱き、近くにいたいと願っていた。そんな頃、忍川中学が給食完食のモデル校に選定される。忍川町では町長選挙を前にして、政治利用に使われようとしていたのだ!不穏な空気を察知した甘利田は、おいしい給食を守るために立ち上がる!そんな中、アレとの頂上決戦の幕が上がろうとしていた。

〇おすすめポイント給食を激しく愛する教師・甘利田(市原隼人)を主人公とした人気シリーズ「おいしい給食」の劇場版最新作!

それと同時に、舞台を函館に移した「おいしい給食 season3」の最終回に直結する完結編となるのが『劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ』である。

そのためドラマの最終回では描き切れなかった、劇中劇「ホワイトマン」のその後や瑠璃川愛との恋模様なども描かれているが、トーマス(モーリー・ロバートソン)との最終対決が保留となってしまったのは残念でならない。しかし、生徒たちもまだ中学一年生。今後Season4以降も制作してもらいたいところだ。

市原隼人の異常ともいえるハイテンション演技については、もはや今さら言うことではないが、「おいしい給食」という作品は、実はかなり深い内容であり、現代に大切なことを教えてくれる作品でもあるのだ。

甘利田先生が給食を食べる前に校歌を歌うときの動作に関しては、周りにも気づかれていたことが何度か描かれてきたが、給食中に先生が激しく体を動かす動作に関しては、グルメ漫画などによくある精神世界のメタファーなのかと思いきや、実は生徒たちは見て見ぬふりをしていたという衝撃的な事実がseason3の後半で発覚。

型にはめようとする大人たちのなかでおもいっきり変でも、しっかりとした筋の通った甘利田先生という存在は、生徒たちにとっても特別な存在。自分らしく生きる象徴として見られていたという伏線が張られており、season3を通して描かれていたことが、正に”自分らしく生きる”だったことを、劇場版を通して、改めて強調したものとなっている。

クラスの生徒としては、やはりメインは甘利田先生にとって、”給食道”のライバル粒来にはなってくのだが、それだけではなくモブ的なようにみえる生徒たちもみんなが細かい描写ではあるが甘利田を慕い、信頼しているのが垣間見えることが多々ある。ドラマ版を観ていると、そこがリンクしてくることもあるので、ドラマ版を観ていなくても楽しめる内容にはなっているのだが、生徒たちの感情の変化を知るうえでは観ておいた方がいいだろう。

またseason3からは、昭和から平成という時代の変化が描かれ、1980年代後半が舞台となっており、駄菓子屋のシーンなど、ノスタルジーを感じさせるギミックも所々にある。とはいえ、今作はそういった、「昔は良かった」的な哀愁や懐かしさを描いているわけではなく、現代に通じる教訓が詰まっている作品だ。それは昭和や平成初期にあった、現代にはそぐわないものというわけではなく、逆に当時では珍しい考えを持っていた甘利田先生の意見は”今”こそ必要なものばかり。

そのなかで”残食問題”について触れられることにもなる。

食べ物を残すと、よく「農家や漁師の人たちが悲しむ」と言われるが、甘利田先生は、「彼らは嫌々食べている子どもを見て喜ぶだろうか」と言う。確かにそうだ。

だからといって、残食を推奨しているわけではなく、好き嫌いもひとりひとりの個性であるということを訴えかけている。好きなものも、嫌いなものも、みんな違うのが人間である。つまりここでも”自分らしく生きる”ということにリンクしてくる。

子どもたちを教育する場である学校。しかしそこには大人たちの矛盾も多くあったりする。世の中がそうだから、時代がそうだから、そういうものだから……と黙認して生きていくことも学校で教えてしまっていいのだろうかという疑問に甘利田先生が切り込んでいくというわけだ。

ちなみにseason2の完結編として制作された『劇場版 おいしい給食 卒業』(2022)のラストで、転勤先に関して言及する際に「給食にイカメシが出るらしい…」というセリフがあったが、実はそこから伏線となっていて、しっかりとした回答が用意されているのも見事な構成だ。

つまりこのシリーズのなかで食べ物を連想させるセリフは、今後の伏線となる可能性も高いということ。

今作のなかでは、それが2カ所存在していることにも注目してもらいたい!!

(C)2024「おいしい給食」製作委員会

〇作品情報監督:綾部真弥企画・脚本:永森裕二 プロデューサー:岩淵規出演:市原隼人、大原優乃、田澤泰粋、栄信、六平直政、いとうまい子、高畑淳子、小堺一機ほか公式サイト: https://oishi-kyushoku3-movie.com/5月24日より全国公開

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