

有村昆がお悩みを映画で解決、40代母「娘が学校でいじめられているかも」
映画コメンテーターの有村昆が、読者からのお悩みにあわせて、オススメ映画を紹介するシリーズ企画「映画お悩み処方箋」。第7回目の今回は、娘がいじめられているかもしれないという、深刻なお悩みが届きました。さて、アリコンが選んだ解決につながる2作とは…?
▽相談娘が中学校でいじめられているようです。学校に訴えることも考えましたが、結果的にいじめが激化したら可哀想なのでしていません(先生を信用できません)。娘に対して、どんな言葉をかけてあげたらいいかもわかりません。引っ越しや転校をするなどの経済的な余裕はなく、八方塞がりです。どのような解決策がありますか?(42歳 女性 パート)
これは、難しいご相談だと思います。このお悩みを受け止めさせていただいて、まず最初に浮かんだのが安藤サクラさんの顔でした。
オススメしたい映画は、カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した是枝裕和監督の『怪物』という作品です。
安藤サクラさんが演じるシングルマザーの麦野沙織は、息子の湊が学校でいじめられているのではないかと疑います。
水筒の中に石が入っていたり、アザが出来ていたり、様子がおかしい。沙織が湊を問い詰めると「先生にやられた」と打ち明けます。
沙織は学校に乗り込んで話をしますが、先生は謝罪をするものの、どこか空虚で心が感じられません。
次の章が始まると、今度は永山瑛太さんが演じる、この先生の視点で物語が進んでいきます。
先生は、むしろこの湊が同級生の依里をいじめているのではと疑っています。しかし、沙織に身に覚えのないことを詰められ、事なかれ主義の学校側の指示もあって退職することになってしまう。結局、子供たちが何をやっているのかはよくわかりません。
そして次の章は湊の目線となり、子供たちの事情が描かれていきます。
今回のお悩みにとってヒントとなるのが、最初の母親の目線ですよね。息子がいじめられているようだけど、誰に何をされているのかわからない。学校側に謝罪を求めても、話が通じず、なかなか解決には至らない。
相談者さんも、やはり行動を起こす前に、本当は何が起きているのかという事実関係を確認していただいたほうがいいですよね。
ただ「娘に対してどんな言葉をかけてあげたらいいかわからない」という気持ちもわかります。子供たちの問題に対して親が問い詰めても、逆に変な答えを導き出してしまうことも多々ありますから。
この『怪物』という作品は、視点のすれ違いというか、モヤモヤとしたディスコミュニケーションがひとつのテーマとなっています。
誰の目線なのかによって、物事の印象も、真相も違ってくるわけです。なので、まずは落ちついて、相談者さんが周囲を見回してみるといいと思います。どんな「いじめ」があるのか。娘さんは、本当のところはどう思っているのか。そういったことに丁寧に向き合ってみてはいかがでしょうか。
そしてもう一本は、候補が2つあって、どっちかで迷っているんですけど…。1つは『コブラ会』です。ネットフリックスで配信されているドラマシリーズで、現在は第5シーズンまで製作されています。
これは1984年に公開された映画『ベスト・キッド』の30年後を描いた作品なんですね。
『ベスト・キッド』は、いじめられっ子だったダニエル少年がカラテに出会い、修行に励みます。対するいじめっ子のジョニーはコブラ会というカラテ教室に所属しており、勝つためならなんでもやるという流儀。ダニエルとジョニーはカラテ選手権の決勝で対決し、ダニエルが優勝を果たすというストーリーです。
『コブラ会』は、それから30年後を描きます。負けたジョニーは落ちぶれて、燻った人生を歩んでいる。対するダニエルは、高級車のディーラーになっていて、成功している。
そしてジョニーは、いじめられていたミゲルという少年にカラテを教えたことをキッカケに「コブラ会」を再興して、正しい道を歩もうとしていくんです。
このジョニーとダニエルの、時と共に変化した関係性というのが興味深いんですよね。いじめというのは深刻で、今すぐなんとかしなければいけない問題ですが、長い目で見ると立場が変わるということは現実にもよくあることだと思います。
そして、迷っているもう1本は『湯を沸かすほどの熱い愛』という作品です。
宮沢りえさんが演じる「幸野双葉」は、末期ガンで余命宣告を受けます。そこで、生きている内にやるべき事をやろうと決意します。
双葉には「安澄」という、杉咲花さんが演じる娘がいるんですが、彼女は学校で酷いいじめを受けている。制服を隠されて下着姿で授業を受けたりとか、かなり深刻なんです。
でも双葉は、それでも安澄を毎日学校に行かせるんですよね。 普通だったら「もう学校行かなくていいよ」とか、何か違う手立てを考えるのに、絶対に学校に行かせる。映画の後半で、この母娘に関する、あることが明らかになり、その理由がわかるんですけど、とにかくどんな状況であっても学校に行かせ続けるという方法もあるんだなと、僕もすごい勉強になりました。
やっぱり、一度逃げるとそれがクセになってしまう。 1日でも学校に行かなくなると、次の日はもっと行きづらくなっちゃうというのはあると思うんです。
相談者さんは、引っ越しや転校も考えたようですけど、『湯を沸かすほどの熱い愛』の双葉のように、毅然とした態度で、娘に対して「何があっても学校に行くんだよ」「いじめてくる子たちに言うべきことを言うんだよ」という意思を貫くという方法もあるということを知ってほしいですね。
「いじめ」と、ひとくくりにしちゃいますけど、いろいろ事情があって、解決法も1つじゃない。
『怪物』はもちろん、『コブラ会』、『湯を沸かすほどの熱い愛』も、どの立場で見るかで、話の展開やイメージが変化する。意識して視点を変えることで、いじめの原因や対応法も見えてくるんじゃないでしょうか。
▽お悩み募集中!有村昆さんに映画を処方してもらいたい方は、お悩みと年齢、職業、性別を明記して以下のアドレスにお送り下さい。採用された場合、当企画で取り上げさせていただきます。entame@shoten.tokuma.com
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