

声優・水瀬いのり、6周年を迎えたアーティスト活動は「ファンの皆さんと相乗効果を生み出せる関係でいつまでもいられたら」 最新曲「REAL-EYES」も配信!<インタビュー>

「心が叫びたがってるんだ。」成瀬順役や「Re:ゼロから始める異世界生活」レム役などで活躍する声優の水瀬いのり。アーティストとしても活動する彼女が、2022年1月9日に配信シングル「REAL-EYES」をリリースした。
さらに同曲も収録されている4thアルバムの制作に取り組んでいたり、2月23日(水)には2021年開催のライブツアー『Inori Minase LIVE TOUR 2021 HELLO HORIZON』のBlu-rayをリリースしたりと、アーティストデビューから6年経ちより精力的な活動を見せる。そんな彼女が今、感じていることとは。「REAL-EYES」について、そして現在の自身について聞いた。
私の音楽を聴いてくれる方が幸せであったらいいな
――2021年12月2日でアーティストデビュー6周年を迎えられました。おめでとうございます! デビュー前に想像していたアーティスト活動と現在を比べて、どのように感じていらっしゃいますか?
こんなに長くアーティスト活動を続けさせていただけるとは思っていませんでした。ファンの皆さんにここまで支えていただき、本当に感謝です。アーティストの水瀬いのりは私だけでできているプロジェクトではなくて、ファンの皆さんがいて成り立っているもの。代表して私が「水瀬いのり」として立っていますけど、ファンの方が支えてくださっているから活動できているという思いが強いです。思い返すと、デビュー当初はCDを出して、それがお店に並んで、手に取ってくださる方がいて…という状況が信じられませんでした。当時、取材で夢や目標をたくさん聞かれたんですけど、アーティスト活動が始まったということだけで手いっぱいで、答えられる状態ではありませんでしたね(笑)。
――今は、夢や目標もできたんじゃないでしょうか。
そんなに大きな夢というほどではないんですが、私の音楽を聴いてくれる方が幸せであったらいいな、と思っています。皆さんが落ち込んでいるときに私の楽曲や活動が支えになっていてくれたらとてもうれしいですね。逆に私が落ち込んでいるときや苦しいときは皆さんの声援やファンレターが支えになっています。こういった相乗効果を生み出せる関係でいつまでもいられたらと思いますし、そうなるためのアーティスト活動でもあるのかな、と。
――1月9日には「REAL-EYES」が配信リリースされました。
「REAL-EYES」は私も出演させていただいているアニメ「現実主義勇者の王国再建記」第二部のオープニングテーマになっています。この曲の冒頭は〈「…それでも進め」〉という歌詞なんですが、ただ進むだけじゃなくて“それでも”という部分がポイントです。逆境や困難があっても“それでも”進んでいかなくてはならないという部分がアニメの世界観にも通じますし、私たちが生活している現実にも当てはまると思います。なので、あるがままの自分を現実として受け止めながら、美しくなくてもいいから一歩踏み出すことに意味があるよ、というメッセージを込めて歌いました。聴いてくれる皆さんも辛かったり、苦しかったり、困難が待ち受けていたりすることがあると思いますが、「REAL-EYES」を聴くことで進むことに意味がある、結果が自分の思う形でなくても動くことに意味があると思ってもらえればうれしいです。
歌っている私の姿が見えるような歌い方をするようにしています
――アニメのタイアップだからこそ、普段の楽曲と違う部分もありそうです。
そうですね。普段歌っている水瀬いのりの楽曲は、自分が好きな楽曲や挑戦してみたい楽曲なんです。一方、タイアップだと作品の顔や色を自分なりに解釈して表現しています。それにアニソン特有の速いテンポやたたみ掛けるようなフレーズがあるのも、ノンタイアップ楽曲との大きな違いです。
――声の出し方などにも違いがあったりも?
今回で言えば、歌い方と言うよりも楽曲のキーに工夫がされています。当初、現状のキーより半音か全音上で作っていただいていたんです。それで歌ってみたところ明るすぎる感じがしたのと、自分らしく歌うことが難しいキーだと感じてしまって、レコーディングの際に相談してキーを下げていただきました。これまで楽曲に対して自分の歌い方や表現を寄せていたのですが、今は成長していく中で見つけた自分らしい歌い方や表現の仕方を確立することができました。今回キーを下げることで、楽曲を自分らしさに寄せることができたと思っています。
――水瀬さん「らしさ」とは、具体的にどんなことなのでしょうか。
言葉にするのが難しいんですけど、「人間味を感じる歌」です。歌の中でもニュアンスや感情表現を乗せているんですが、音階に縛られるとどうしても平坦になりがちなんですよね。そこでブレスや語気の強弱で工夫をして、歌っている私の姿が見えるような歌い方をするようにしています。
――「REAL-EYES」にも、その「らしさ」は詰まっている、と。
1コーラス目のAメロ〈ひとつ 霧を抜けて〉や〈ひどく 裏切られて 嫌気が差す運命ーさだめー〉なんかは分かりやすいかもしれません。「こんなに頑張っているのになんで救われないんだ」みたいな、ちょっとワナワナした気持ちを乗せて歌っています。これもいろんなテイクを試していて、もっと諦めてグレちゃったテンションのものもあれば、意外とサクッと歌っているものもありました。でも選ばれたのは歯を食いしばっているような、ダークな部分が見えるもの。気に入っているテイクだったので良かったです。
――1コーラス目のAメロだとアニメでも流れる部分ですね。「現実主義勇者の王国再建記」で水瀬さんが演じているのは主人公の婚約者ですが、「REAL-EYES」はソーマを歌った楽曲です。どのような心情で歌われているのでしょうか?
「REAL-EYES」は、すごく歌いやすかったです。自分が演じているキャラクターの目線が歌の中にあると、キャラに寄りすぎてキャラクターソングっぽくなってしまうこともあるのですが、今回はソーマを客観的な視点で捉えることができたので、水瀬いのりとしてしっかり歌えました。役と程よい距離がある方がやりやすいですね。
声優の仕事で経験を積み重ねてきたからこそ
――声優とアーティストのどちらもやられていると、キャラソンのすみ分けなど難しいこともあると思います。水瀬さんが感じる一番大変なことはなんでしょうか。
うーん、自分の名前で活動することによる責任感ですかね。
アーティスト活動では何をするにもキャラクターではなく自分の名前が先に出るので、全てが自分の意見として届いてしまう緊張感はあります。自分自身の楽曲を表現するということについては、常に考え続けていますね。
その他の葛藤で言えば、6年前と今のギャップです。デビュー当初は元気でハッピーな楽曲が多かったんですが、今は落ち着いて大人っぽい楽曲も増えてきました。だから、デビュー曲を歌う機会があるときはかなりソワソワしますね。ファーストライブの映像を見ると別人に見えて、「ヒッ!」ってなっています(笑)。でも、あのときだからこそできた表現もあると思いますし、同じように今しかできないことも楽しんでいきたいですね。
――そんな大変に感じる部分もありますが、声優としての経験がアーティスト活動に生きることも多いんじゃないでしょうか。
声優としていろんな声を出したり、いろんな感情になったりすることで、歌の表現が広がったとは感じます。あとはシャイな性格も少しずつ直ってきました。私、性格的に思いっきりふざけたことができないタイプなんですよ。レコーディングのときも恥ずかしがり屋を発揮してしまって、あまりノリノリで歌えなくて。いつも時間をかけて徐々に自分がノッてきたタイミングで声出しを始めて、それからレコーディングという流れ。でも、いろんなキャラクターを演じてきたことで恥ずかしいという気持ちがちょっとずつなくなってきました。
――何だか可愛らしいエピソードです(笑)。
キャラクターを演じていれば恥ずかしさはないんですけど、レコーディング時に「こういう風に歌いたい」と思っていることが筒抜けになるのがすごく恥ずかしいんですよね。節やアクセントをつけるのも「あ、今それがかっこいいと思ってやってるんだ」って周りに思われるのがすごく嫌で、耐えられないんです(笑)。でも最近は「次はこういう風に歌ってみたいので、聴いてください」と言えるようになりました。まだ予告しないとできないんですけど、ちょっと楽になれたのは声優の仕事で経験を積み重ねてきたからこそだと思っています。
ライブは観客の皆さんがいないと完成しないもの
――2月23日(水)にはライブツアーのBlu-rayもリリースされます。同公演は久しぶりの有観客ライブでしたが、改めて振り返ってみていかがでしょうか。
初日の大阪公演では、コロナ禍を乗り越えて今があるんだって実感できました。お客さんの顔を想像しながらリハーサルを重ねていたので、幕が上がった先にファンの皆さんがいるんだと思うとソワソワしてしまって。幕が上がって皆さんを見たときは集まってくれたことのありがたさと、誰かのための自分でもあるんだということを感じました。勇気とアーティスト活動を続ける意味をファンの方から教えてもらえたライブだったと思います。そんな気持ちで各地で公演をさせてもらって、横浜アリーナまで途切れることなく走りきれたのは幸せでした。2020年12月に無観客の配信ライブを横浜アリーナで実施させていただきましたが、こんなにも早く皆さんと一緒に横浜アリーナにもう一度帰って来られるとは思ってもいなかったので。私の人生の中に刻まれるであろう、自慢の出来事だなと思いながら公演をしていました。
――その喜びに満ち溢れた水瀬さんの表情も、Blu-rayでの見どころですね。
配信ライブのときとはまた違った表情をしていると思いますよ。配信ライブって画面の向こうに届けるように作り込んだエンターテインメントショーですが、ライブは観客の皆さんがいないと完成しないもの。そこはぜひ見比べてみてほしいです。
――アーティスト活動をする中で、普段の生活から刺激をもらったりすることもあるのでしょうか。
刺激というか、聴いている音楽は昔から変わらないので、自身の楽曲を選ぶときにそういう感性が反映されているかもしれません。
――どんな音楽を聴かれているんですか?
ハッピーエンドな楽曲よりも、どこか哀愁や切なさが残っている音楽が好きです。女性シンガーの方の曲を多く聴くんですが、やっぱりaikoさんは切なさの権化ですよね。ポップなサウンドの中に苦いものがうまく落とし込まれていて、普通に口ずさんでいるけど、よく聞くとすごい歌詞みたいなものも多いです。最近特に好きなのが、「未来を拾いに」。あの頃楽しめなかったことがあっても今の自分は笑えてるから大丈夫だよ、という逆タイムカプセルみたいな歌で、それが自分の境遇と通ずる部分があるんです。私もデビュー当時は今の半分も楽しめていませんでしたが、今は楽しいから大丈夫って。ハツラツと愛を歌うだけではなく、人生が感じられる、生きてきた時間が感じられる曲が好きです。
そのノリが本当にありがたいです
――声優のご友人から刺激をもらうこともあったりされるんでしょうか。
声優でいえば大西沙織ちゃん、佐倉綾音ちゃん、加隈亜衣ちゃん、久保ユリカちゃん、黒沢ともよちゃんとは仲がいいです。アーティスト活動をしていない友だちが多いんですが、だからこそ心が軽くなる言葉をたくさんもらえています。「ライブめっちゃ緊張する」とか「リハーサル全然だめだった」みたいな悩みごとを言うと、みんな「大丈夫でしょ!」「イケる、イケる!」って言ってくれたり、めちゃくちゃ変顔の写真を送ってきてくれたり(笑)。真面目な相談になると一緒に沈んでいっちゃうタイプなので、そのノリが本当にありがたいです。仕事仲間でもありますが、普通の友だちのように話ができるのがうれしいですね。
あとは、今まで後輩と接点があまりなかったんですが、ちゃんとコミュニケーションを取ろうと思うようになって。自分から話し掛けるようになって、岡咲美保ちゃんとは仲良くなることができました。
――交友関係も充実されているんですね。では、2022年の目標を教えてください。
健康第一で頑張らなきゃなと思っているので、人間ドックを…(笑)。行った人の話を聞くと、検査ですごく疲れちゃうみたいなので元気なうちに行ったほうがいいかなって。なので、2022年中に行きたいです。
あとは、運転。車の運転免許を持っているんですけど、ただの身分証明書になっていて。レンタカーで練習していた時期もありましたが、一方通行恐怖症になってしまって乗れないんですよ。少しずつお出掛けできるムードになってきたので、車に乗ることをまず目標にしたいです。そしていつかは自分の車をゲットして海辺をドライブしたり、小旅行したりしたいですね。
――それでは最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
まずは、2022年もよろしくお願いします! 2021年、ライブツアーが完走できたのは皆さんの協力があってこそ。発声ができなかったり、席の間隔が空いていたり、今までとは違う空気でしたが、それでも皆さんが一生懸命ライブを楽しんでくださったので私もいつも通り歌ったり、表現したりできたと思います。ぜひBlu-rayでチェックしてみてください。
そして、4thアルバムに収録予定の「REAL-EYES」。私たちはいろんな物事に左右されながら日々頑張っていると思うので、この曲を聴いて進む勇気を受け取ってもらえるとうれしいです。目を閉じて、歌っている私の表情を思い浮かべながら聴いてみてください。「現実主義勇者の王国再建記」を含め、よろしくお願いします!
取材・文=高橋梓
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