結成40年を迎えた、伝説のバンド・BOOWY

伝説的バンド・BOOWY結成40年、ドラマーの高橋まことが当時の熱狂を語る「とことん『氷室と布袋がカッコイイバンド』だった」

2021.12.17 08:40
結成40年を迎えた、伝説のバンド・BOOWY

氷室京介(Vo)、布袋寅泰(G)、松井恒松(B)、高橋まこと(Ds)によって活動した伝説的ロックバンドBOOWY「B・BLUE」「ONLY YOU」「MARIONETTE」といった大ヒット曲で一斉を風靡し、人気絶頂の1987年に解散した。今年結成40周年を迎え、メモリアル記念として、WOWOW歌謡ポップスチャンネルの音楽情報番組・『飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト』で『BOOWY結成40周年記念特集』が放送される。解散から30年以上経つ今なお熱い支持を受け続けているのはなぜなのか? 今回は、BOOWYのドラマー・高橋まこと氏にインタビューを行い、その魅力を探った。※「BOOWY」の2つ目のOはストローク符号付きが正式表記。

初対面で氷室京介と電話番号を交換、「ドラムを叩くので何かあったらよろしく」

――まず、高橋さんの現在の活動を教えてください。

BOOWYを辞めた後に、De-LAX、GEENAというバンドで活動していて、解散してからはソロのドラマーとして、アーティストのバックでドラムを叩いてました。震災後はチャリティーをメインに継続して続けています。例えば、チャリティーライブでアマチュアの子たちと一緒にBOOWYの楽曲を演奏したり、ドラムや音楽を教えることをメインにしています。

活動拠点でもある太田(群馬県)でドラムクリニックをやってるのですが、プロの先生が教える指導ではありません。ドラムの楽しさを知っていただく感じで“何でも教えるよ”っていうゆるいスタンスです。

――今回、『BOOWY結成40周年記念特集』が放送されますが、高橋さんにとってどんな心境ですか?

普通のロックバンドは、活動休止や解散後に2、3年は伝説として語り継がれるんだけど、10年以上経ったら、「そういうバンドもいたね」って言われるのが普通ですよね。そう考えると、30年以上経ってもまだ“伝説扱い”されているのは、不思議な気がします。ありがたい気持ちはあるけれど、「何がそこまで伝説として、語り継がれているのか」をよくわからないんだよね(笑)。

――高橋さんが、BOOWYに加入するきっかけとなった出来事を教えてください。

東京でアルバイトを続けながら、いろいろなアーティストのバック演奏の仕事などをやっていました。そしたら、ある日一緒に仕事をしていたギターの友達が、「今度、ロフトにすごいバンドが出演するから、観に行かない?」と呼んでくれて、それがBOOWYとの出会い。

その時にBOOWYがドラムの正式メンバーを探しているという話で、「まこと、ドラム叩くんだったらこのバンドどうだ?」みたいな流れになりました。

メンバーを紹介するからって楽屋に連れていかれて、初対面で布袋がスゲーでかいと感じたし、氷室も派手な衣装で目つきが悪く感じて(笑)。それで、氷室と電話番号を交換して、「ドラムを叩くので何かあったらよろしく」みたいな感じで。

それから一ヶ月くらい連絡がなかったんだけど、突然電話が鳴って、「スタジオにいるんだけど遊びに来ませんか?」と誘われました。そこで『イメージダウン』という曲のカセットテープを渡されて。後日、セッションをしてみて、「来月もロフトでライブがあるんですが、ドラムを叩いてくれませんか?」という話になって。合宿にも一緒に来てほしいといわれて、リハーサルを繰り返していったら、そのまま正式メンバーになっていましたね。

――高橋さんは、他のメンバーと比べると少し年齢が上じゃないですか。やんちゃなメンバーをまとめるみたいな役割だったのでしょうか?

そんなことは、全くなかったですよ。年上だからって意見を言ってたら、ダメだと思う。郷に入ったら郷に従えって、一緒になって騒いでましたね。レコーディングの合宿所での麻雀がキッカケで親睦を深めたのが大きかったかな(笑)。

氷室&布袋の凄みは「突き抜ける」こと

――伝説のバンドとして、メンバー4人もそれぞれに役割があったのでしょうか。

自分は、ボケ担当でした(笑)。布袋は、普段から面白いのでツッコミ担当。いつも突っ込まれていましたよ。氷室はリーダータイプで親分肌。松井は子分 (笑)。

――BOOWYのCDジャケットは氷室さんと布袋さん2人のジャケットもありました。2人に光が当たるようなイメージでしたが、高橋さんは当時どのように見ていたのでしょうか。

目立つのは2人でいいわけです。バンドは刀。刃先や切っ先部分は氷室と布袋で、自分と松井がつばと柄の役割。柄がないと刀も持てないじゃない。自分らが土台でリズム隊がしっかりしていれば、何をやっても形になる。それは役割として、意識していました。

メンバー間でも、あうんの呼吸的を感じていて、何も言わずともわかるだろう、みたいな。お互いの熱がマッチして、日々一緒に演奏をしていると、だんだん分かってくることが多くありましね。

――布袋さんは、今年も紅白に出られたりと、今も音楽業界の第一線でやられていますが、交流はあったりしますか?

今もレコーディングなどで誘ってくれたりして、一緒にやる機会はありますよ。コロナ禍で色々と大変な中で頑張っているよね。武道館の無観客ライブを成功させたり、「ギターを弾く」ことに年々深みが増している印象です。飽くなき探究心というか、とにかくギター1本でね。「やり続ける大事さ」を布袋から学ばせてもらっていますよ。

――高橋さんが目のあたりにした、氷室さんの凄みはどのような部分でしたでしょうか。

氷室の凄さはストイックさだね。自分にプレッシャーをかけながら、しっかり作品を作る。ミュージシャンは、みんなそうかもしれないけど、氷室はストイックさが異常だと思う。音楽に対しても好きな作品や気に入った作品に対しては、ジャンルが異なってものめり込んで研究していた。ストイックさを象徴しているのが、あの肉体だよね。ロックスターは、ステージ上でカッコイイ存在として立ち続けるという美学をずっと貫いていたよね。でも、そのストイックさを感じさせない。たまに冗談で「なんでそんなに歌がうまいんだ」と聞いたら「俺は生まれた時からうまいんだ」なんて返されたりしていました(笑)

ライブ活動を引退しただけで、音楽をやめたわけでもないので、アルバム完成を待って、1日も早く聴けることを楽しみにしています。

「流行を求めていなかった」―現代も色あせない誰もやってなかったロックンロール

――40周年番組でBOOWYは伝説のバンドとして紹介されているんですが、激動の当時を振り返ると、どんな時代だと感じていましたか?

活動していた当時は、ビジュアル系のはしりだと言われました。確かに化粧もしているし髪の毛を立てている面もあったから、そう言われたんだろうけど。当の本人たちに、そんな意識はまったくなかった。メンバーが描いていた世界観は、「もっとロックンロールだぜ」「誰もやってこなかったことをやろうぜ」っていう気持ちが強かったですね。

――今もYouTubeやTikTokなど、でBOOWY の楽曲を弾く若い音楽系クリエイターがいたりします。30年以上前の楽曲ですが、古さを感じないのはなぜでしょうか?

氷室と布袋の中から出てきた衝動を楽曲にしていたと思うし、言葉の選び方も人が選んでこないような歌詞を歌っていた。そういう楽曲は、斬新だった。流行を追いかけてなかったからじゃないかな。氷室と布袋は、名曲を作るために、音楽は研究しなかった。映画やアート、美術絵画などからインスパイアされていて、ジャンルを問わなかった。様々な場所にアンテナを張って、徹底的に追求していたと思う。それが、音楽業界に新しい価値を作ったのかもしれない。

――名曲が沢山ありますが、高橋さんの中で一番思い出に残っている楽曲を挙げるとしたら?

『モラル』というアルバムは自分が加入前に完成されていて。だけど、そのままCDにしちゃうと、せっかくドラムとして加入したのに自分の音が1個もないので、アルバムリリースが延期になったんです。じゃあ1、2曲はドラムを差し替えましょうという話になり、1曲目に叩いたのは『メッセージ』という曲で、それは思い出深いですね。

結成40周年を迎えて、今なおBOOWYが愛される理由…「BOOWYはとことん『氷室と布袋がカッコいい』バンド」

――ライブの映像などを見ていると、当時のファンの熱狂は凄いものがあります。あの時のBOOWYの熱狂を象徴する思い出深いエピソードを教えてください。

BOOWY は、ライブバンドという基盤があって自力が高まると実力も上がってくるというメンバーの共通認識があって。氷室はどんな演奏になっても絶対に音を外さない上手さを兼ね備えていた。歌では、絶対的な自信を持っていましたよ。40曲も演奏するので、ペース配分を考えようと話すんだけど、熱狂そのままにライブをしていました。それが、“音楽シーン”を作れたという実感があります。

――40周年記念で改めて、ファンに伝えたいメッセージはありますか?

ファンの皆さんに「ありがとう」と言いたいですよ。普通ならあっという間に忘れ去られてもおかしくないのに、解散してもこれだけみんなから応援されているわけだから。活動していたのは6年ぐらいで、解散してから30数年経っているわけなので、感謝の気持ちを伝えたいですね。

――時を経てBOOWYが愛される理由はどういうところだと思いますか。

やっぱり、BOOWYって「氷室と布袋がカッコいい」というバンドなんですよ。布袋がギター弾きながら踊る姿、氷室が歌舞伎役者みたいに必ず見栄を切る姿、キメを作る姿とか。その「カッコ良さ」を本気で追求していた姿が、今にも伝わったんじゃないでしょうか。

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