【前編】学校嫌いになりそう……マイペースな子どもが、お友達から「遅い」と言われ続けている

なんでもスイスイ進めてしまう器用な子がいれば、ゆっくりマイペースな子もいます。子どもの性格はそれぞれで、長所をのばしてあげたいと考えるママもいるでしょう。

おっとりとした娘さんを育てるママからの投稿が、ママスタコミュニティにありました。娘さんは小学1年生。気が強そうな同級生から何かあるたび、傷つくことを言われているそうです。

何かにつけ遅いことを注意してくる友達。学校が嫌いになりそう

日々の小さなモヤモヤを溜め込んでいた様子の娘さん。小学1年生という年頃を考えると、自分ではまだ「モヤモヤ」していることにさえ気づいていないかもしれません。
『昨日、帰宅した娘が「○○ちゃんに、”本読むの遅っ！”と言われて悲しかった」と言い、泣き出しました。マイペースで、何事もゆっくりな娘です。そのお友達の話は以前から聞いていて、「字を書くの、遅っ！」「後ろ、向かないで！」「なんでそんなに泣くの？」などと言われ、イヤな気持ちになるそうです。学校が大好きなのに「明日行くの、イヤだな」とまで言い出したので、心配になりました。
学校での出来事は、私にはどうもしてあげられません。常々「何かあったら、先生に言いな」と教えていたのですが、娘は言いにくいのかも。言われた内容はそこまでひどいものではないので、私から先生に言うもの迷います。どうしたらいいのでしょう？』
娘さんにとっては、先生に言いに行くにも勇気が必要なのでしょう。

娘さんがお友達に何かしたわけでもなのに、イヤなことを言われ続けている。改善すべきはお友達のほうに思えますが、集まってきたコメントには投稿者さん親子を批判するものがありました。
『子どもが周りのスピードに合わせられないなら、それは迷惑にしかならない。教えていないの？　学校は集団行動だからついていく努力させないと、ひどくなる一方だよ。周りが待ってくれるのを、当たり前にしていいわけない。追いつく努力をしないと、この先苦労するのは子どもだよ』
『「ゆったりさんだね」って言葉は、未就学児までかなと。うちの娘もすごくスローペースだけど、来年から小学生だから「早く、早く」って声かけして意識を変えさせているところ。親の心がけ次第で、直ると思う』
「スローペースを直す努力を」という、厳しい言葉が続きます。

マイペースは直さなくてはいけない、短所なの？

マイペースでのんびりとした性格は短所かもしれませんが、ひとつずつ丁寧に対応していく姿勢は長所にもなり得ます。
厳しいコメントを寄せたママたちへの、反論もありました。
『おっとりでマイペースの、何がいけないの？　私だったら逆に無神経なことばかり言う女の子には、育てたくない。ただ投稿者さんの子は、ちょっと気持ちが弱いかな。気にしなければいいんだろうけど』
『行動がゆっくりな子が、みんなのペースに合わせる努力をしないといけないのはたしか。でも周りもゆっくりな子がいることを理解して、助け合いを学んでいくんだよ。それぞれに得意不得意があって、当たり前』
投稿者の娘さんがマイペースなせいで周りに迷惑をかけているようなら、反省すべきところもあるでしょう。ただ、投稿を読む限りでは誰にも迷惑はかけていないようです。厳しい言葉をくれたママたちは、マイペースな子に迷惑をかけられた苦い経験があるのかもしれません。

投稿者さんも補足のコメントを寄せました。
『字を書くのも本を読むのも、遅いのはダメなのでしょうか？　極端に遅いわけではないと思います。字を書くときは「ゆっくり、丁寧に」と教えてきました。私が間違っていたのかな。学校のテストなどは返ってきた答案を見る限り全部解いているので、間に合ってはいると思います』
ママである投稿者さんに教わったとおり、字を丁寧に書いている。本を読むのに時間がかかるのも、頭の中でゆったり空想を巡らせているせいかもしれません。
『私なら「あなたはあなたのペースでいいんだよ」と、伝え続けるかな。その子には「○○ちゃんは早いね～」って言えば収まるから、聞き流すのがいいと教える。1年生にはまだ難しいかな？』
『丁寧に文字を書いたり、本を慎重に読んだりできることを褒める。ただ、急がなくてはいけない場面があることを伝えるよ』
まずは長所を褒めてあげる。そのうえで声かけをしていくのがよさそうですね。

ママの声かけや習い事で、自信をつけさせてあげよう

具体的にどんなところを意識させればよいのか、経験からアドバイスをくれたママもいます。
『うちの子も似た感じなんだけど、マイペースは長所でもあると何かあるたび伝えているよ。そして”気にしない力を身に着ける”、”早く行動できないなら、早く終わらせる工夫をする”と、教えている。”早く終わらせる工夫”というのは、取りかかりを早くするとか常に先回りをするとか、ってこと。もう少し年齢が上がれば、人それぞれということもわかってくると思う』
娘さんの心の弱さをフォローするため、習い事や勉強などで「自信をつけさせてあげたら？」という提案も。
『スイミングとかもおすすめ。次の夏に体育でクロール25mを泳げたら、周りの目がきっと変わる。あとは計算ドリルや漢字ドリルを毎日コツコツやる。計算とかが速いと自信がつくよ！』
『うちの子も穏やかに育ててきたせいで、そういうキャラになってしまった。幼稚園の頃はよかったけど、いろんな子が入り交じる小学校ではそうもいかないんだよね。「字を書くのが遅い」と言われたら、速く書けるよう練習させる。マイペースなら、集団に追いつけるように急がせる。泣くと周りから、余計にあれこれ言われるよ。「みんなガマンしている。泣くのは努力してから」って、声かけ。一番いいのは勉強を頑張って、トップ層に入ること。高学年になったらきっとキャラが変わると思う』
寄り添いつつ、励ましつつ。娘さんの成長を応援してあげられるといいですね。
個性をのばしたり認めたりするための意見をもらえたところで、本題に戻りましょう。もともと投稿者さんが知りたかったのは「お友達の言葉で娘が傷ついていることを、親が学校に言っていいものかどうか」ということでした。言葉のひとつひとつは、”暴言”とまでいえるものではなさそうですが……？

後編へ続く。

文・鈴木麻子　編集・木村泉　イラスト・リコロコ