【「光る君へ」道長役・柄本佑インタビュー】出家シーンで実際に剃髪「一気にグッと来ました」 最高権力者の孤独を演じて思うこと
2024.11.24 20:45
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大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BS・BSP4K、毎週日曜午後6時~/BSP4K、毎週日曜午後0時15分~)に出演する柄本佑(えもと・たすく/37)が合同取材会に出席。11月24日に放送された第45回「はばたき」にて、藤原道長はついに出家を決意した。まひろ/紫式部(吉高由里子)が生涯心を寄せ、陰に陽に影響しあいながら人生をたどる生涯のソウルメイトとなる道長を演じ切り、クランクアップを迎えた柄本に心境を聞いた。
吉高由里子主演大河ドラマ「光る君へ」
大石静が脚本を手掛ける今作は、平安時代を舞台に、壮大で精緻な恋愛長編「源氏物語」を書き上げた紫式部が主人公。道長は平安の貴族社会で、最高権力者として名を残した男性。3人の娘を天皇の中宮とした「一家三后」を成し遂げた道長が詠んだ「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることも無しと思へば」は、摂関政治の絶頂を示した歌として知られてきた。
第44回で描かれた本作での「望月の歌」の解釈、源倫子(黒木華)と源明子(瀧内公美)の2人の妻への想い、最高権力者としての栄華の裏に隠された孤独とは。さらに実際に撮影で剃髪したという出家シーンの撮影も振り返ってくれた。
柄本佑「光る君へ」クランクアップの心境
― 先日クランクアップを迎えられた感想をお聞かせください。柄本:まだ実感がなくて終わっていない気持ちです。放送が残っているのと、どこかで終わりたくない気持ちもあるし、取材も含めて年末までは続いている気がするのが正直なところです。やはり準備期間を含めて2年弱一緒に戦ってきているので、スタッフ、キャストともに絆みたいなものが自然にできあがってくるところがあって、次の現場はまだ始まってもないですけど、そこに行ったときに誰もいないのは寂しいなと思います。
柄本佑「望月の歌」の解釈
― 第44回で登場した望月の歌について、「光る君へ」の演出をどんな風に受け止めましたか?柄本:今回は最高権力を手にした心境を歌ったという一般的な解釈とは違う演出になりました。この回は家族や藤原公任(町田啓太)に自信に関して苦言を呈され、むしろどんどん追い詰められていくので、苦虫を噛み潰しながら半泣きで言っているんじゃないかなくらいのイメージで、「今夜は良い夜だ」という意味合いで詠みました。
― 第44回は黛りんたろう監督の演出でしたが、歌をどのように詠むかは監督と話し合いましたか?
柄本:詠み方としてはそんなに指導を受けていないです。過去にミュージカルで歌わせてもらったこともありますが、「もっと良く歌いたいな」とかそういう雑念がとにかく邪魔をするので難しいですよね。本当は詩の意味だけをポンとそこに置きたいので、芸能考証の先生の歌い方を真似る方向性でやっていました。
柄本佑、出家シーンは実際に剃髪し撮影
― 第45回でまひろから賢子(南沙良)が道長の子だという事実を告げられますが、道長は気付いていたと思いますか?柄本:演出からは「とにかく気付かないで」と言われていたので、道長は言われるまで気付いてないです。告げられた後も、大宰府に旅立つというまひろにすぐに「行かないでくれ」と言うので、本当に道長の頭の中はまひろ中心なんですよね(笑)。
― 道長自身の出家も、まひろが旅立ったショックが大きかったからなんでしょうか?
柄本:まひろから言われた後に出家しているので、そうとしか思えないですよね(笑)。周りの人がどんどんいなくなったショックや政治的な理由ももちろんあるのでしょうが、倫子に出家の理由を聞かれても「休みたい」と言っているんです。そのセリフが大石先生の脚本のすごいところで、そういう地に足がついたシンプルな生き方が素敵ですよね。この作品で立派ではない道長さんを作っていただいて僕も助けられたし、視聴者がちゃんと分かる言葉で書かれていることがとても良いなと思って演じていました。
出家のシーンはとても不思議で変な空間でした。剃られ始めてしばらくは髪の毛が視界に入ってこないので何も感じなかったんですけど、(切った)髪の毛が降ってきて手の甲にあたってから一気にグッと来ました。作品の中で実際に剃れたことが良かったと思います。
― 髪の毛を剃髪するにあたっての想いや、剃髪してみての感想は?
柄本:ちょうど剃りたての日が、気温がグッと下がった日でそこから寒くなり始めて、4日目くらいに若干風邪気味になりました(笑)。リハーサルの前日で良かったなと思ってそこから身体を温め直して生活しています。今は究極に快適です。できたらこのままが良い。(寂しさはないかと聞かれ)ないです!髪の長い女性の気持ちが分かりました。僕の妻も長めのとき、ドライヤーの途中に半乾き状態でテレビを観たりしていて「全部乾かしちゃえば良いのに」と思っていたけど、腕が疲れるんですね。今の方が全然良いです。
柄本佑、藤原道長は倫子&明子「どちらにも向き合っていない」
― 道長の政治を支え続けた行成(渡辺大知)、そして女性たちとの関係について、どのように解釈されていましたか?柄本:行成については僕も気の毒だなと思ってやっていました(笑)。行成の想いは気が付いていない方向性で、シンプルに受け止めて受け答えしていました。
倫子に関しては仕事仲間で、明子に関しては仕事に疲れた後のオアシス的な存在。だから倫子といざこざがあって、明子のところに行ったけど、そこでもいざこざがあって結局内裏で寝泊まりをしてどちらにも行かなくなるという…。道長は結局どちらにも向き合ってないんですよね。僕もそれは「まずいな」と思いながらも台本でそうなっているからしょうがないです(笑)。とにかく演出からは「道長は女性たちの想いについては気が付きません」と言われていたので、まっすぐ少年のような天然さがあってそれが道長の持つ大らかさに繋がれば良いなと思って演じていました。
最高権力者の孤独とは
― 1人の人物をここまで長く演じるのは初めての経験だったと思いますが、本作への参加はご自身にとってどんな経験になりましたか?柄本:剃髪のシーンで実感したことが非常に大きくて、ここに向けて一昨年の6月ぐらいからずっと髪を伸ばしていたのでその歴史を感じずにはいられなかったです。挑戦させてもらったことのありがたさは感じますし、こうすればよかったなと思うこともありますけど、この経験がどんなものだったかは10年後ぐらいに感じることなのかなとは思っています。
― 道長は周りの人物の心がどんどん離れていって孤独になっていきますが、最高権力者の孤独を演じられてどうでしたか?
柄本:「前を向いていて振り返ったらもう秋だった」という詩があるらしく、黛監督にその詩のイメージと言われて「なるほど」と思ったんです。前を向いているときはわからない。公任に左大臣を辞するように言われて、「今まで周りに『やめろやめろ』と言っていたけど、今度は俺が言われる番なのか」と感じる場面がその詩がすごくリンクして、ある意味では人生なのかと感じました。
― 息子の頼通(渡邊圭祐)に対して、政治家としての見え方や託したい想いを教えてください。
柄本:期待もしているし、多分どこかで自分に似ているところも見出して、「民のための政治をやってくれ」という想いを託したと思うんです。
― 最高権力者としての父親の兼家(段田安則)との違いについてどう考えられていましたか?
柄本:やっていることは同じだけどそもそも気持ちの出発点が違うということは、以前の取材会でもお話させていただいた通りです。終わった今思うのは、道長はある地点からずっと本当に嫌で、権力を持ったり采配をしていったりすることが最後まで合っていなかった人なんだなという感じがします。だから、のんびりやで自由な異母兄の道綱(上地雄輔)のことがすごく好きで、生き方に憧れに近い気持ちがあったのかなと思います。
― まひろに愚痴を話していましたもんね。
柄本:色々ずっと用事があるていでまひろのところに行っているけど、最終的には顔を見に来ただけみたいになっていた部分もあったのではないでしょうか。まひろの存在に大きく支えられていたんじゃないかなと思います。
柄本佑、撮影が終わって実感することとは
― まひろを演じる吉高さんとの関係性について、何か意識されていたことはありますか?柄本:意識していたわけではないんですけど、今思うと道長さんの頭の中は本当にまひろかその他大勢でしたね。きっと大石先生もそう目論んで書かれていますし、「道長はまひろのことになると、周りのことは見えなくなる」と台本のト書きにも書いてあるので、自然にそういう形になったし、役者が迷わないように書かれていたと思います。
まひろと「五十日(いか)の儀」で歌を交わし合うシーン(第36回)も吉高さんは「あんな大々的に目の前でやるとは思っていなかった」と言っていて、カットがかかる度に「『ニヤリ』じゃないのよ、何やっちゃっているの!」とツッコミを入れていました(笑)。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
「光る君へ」第46回「刀伊の入寇」(12月1日放送)あらすじ
まひろ(吉高由里子)は念願の旅に出て、亡き夫が働いていた大宰府に到着。そこでかつて越前で別れた周明(松下洸平)と再会し、失踪した真実を打ち明けられる。その後、通訳として働く周明の案内で、政庁を訪ねるまひろ。すると稽古中の武者達の中に、双寿丸(伊藤健太郎)を発見する。さらに大宰権帥の隆家(竜星涼)に、道長(柄本佑)からまひろに対するある指示を受けたと告げられる。そんな中、国を揺るがす有事が…
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